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HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

『ソフィーの復讐』を観た

2010年02月17日 | 中華圏映画
 チャン・ツィイー製作、主演作『ソフィーの復讐』(09)を遅らばせながら観賞した。タイトルの響きからサスペンス物と思い込みずーっと敬遠していたのだが、日本劇場公開が始まり予告編を公式HPで観たら私好みのシチュエーション・コメディで凄く面白そうだったのだ。


 内容は二年間付き合っていた婚約者・ジェフに結婚式直前に婚約を破棄されてしまった女流漫画家・ソフィーが、もう一度彼の目を自分の方へ向けさせる為、あの手この手を駆使して奮闘するというもの。
 これが日本や韓国で製作されていたのであれば「ありきたりのラブコメか」と別段驚く事もないのだが、中国映画ともなれば話は別だ(厳密には中国・韓国合作)。ローカル色を全面に出した文芸作品や芸術性の高い作品ばかりが紹介されてきた中国映画だが、このような欧米風のモダンなロマンティック・コメディが作れるまで洗練されてきたんですね!

この作品はチャン・ツィイー自ら製作を買って出ただけあってこの作品は“俺様映画”ならぬ“女王様映画”になっていて、どこを切っても彼女が登場し、見終わった後も網膜に焼き付いているのはツィイーの笑顔だけという恐ろしい代物だ(笑)。今までは役柄に合わせてその作品にブッキングされているので、作品中の登場頻度は程よい加減だったのだが、終始彼女が出ずっぱりとなると、う~ん…可愛いから許す(←大甘)。

 これまでは薄幸の美女、武林の侠女等クールビューティーなイメージが定番の彼女だが、今作ではちょっとエキセントリックな性格の等身大な現代女性を演じていて、コメディエンヌな彼女もまた魅力的なのだ。劇中ソ・ジソブ(『映画は映画だ』)やピーター・ホーといった韓国・台湾のイケメン男子に惚れられて(作品中では)さぞいい気分でしょうね。そして恋のライバルとして敵対する役に《ポスト・チャン・ツィイー》として中華圏では人気のある若手女優ファン・ビンビンを配したりして現在進行形の華流+韓流スターが楽しめる正に一級品なのだ。


 まだ劇場で上映されている地域もあるので、ソフィーの恋の結末に興味のある方はご観賞あれ。ちなみに私の感想は「そんなのアリかよ~?!」でした、ハイ。

              
●ビンビンとツィイーの狭間で小さくなるジソブ氏(笑)。劇中北京語で演技しているのは立派!

『熊猫大侠』を観る

2010年02月06日 | 中華圏映画

 今回の紹介作品は『熊猫大侠』(09)です。動画共有サイトにアップされていた予告編を観て面白そうだったので、速攻で注文しました。


 舞台は南宋時代、都で開催されるイベントの為に遠く四川より大熊猫(パンダ)を運送する命を受けたのは、飛刀以外はからっきし駄目で冴えない風貌の鏢客・王老吉。そんな彼(とパンダ)を行く先々で待ち受けるのは、別人と間違えて結婚を強引に迫る女山賊やパンダの肉を食えば最強の侠客になれると信じている男、それにパンダ護送を利用して宋の大将軍に接近し暗殺を狙うモンゴルの刺客二人組など様々。果たして王老吉は無事にその任務を果たすことができるのか…?

              

 いやぁ~、これはマジで傑作でした。導演の王岳倫は感覚がとても洗練されていて「えっ、中国のコメディ?」と二の足を踏むお方でもすんなりこの映画の世界に入っていけるような画作りをしています。CGの使い方も効果的だし、言葉は判らなくても見た目おかしな輩たちがトンチンカンなことをするので笑えるし、そして味付け的にホロッとさせるような“泣き”の演出があったりして、まだこれが監督二作目という王導演の只者ではない才能を感じます。かつてはこの手の作品は香港が製作していたんですが…今や中国語映画の才能たちは大陸に移っちゃったんですね。

              
              

 この映画で目についたのは2人の女優さん。一人は主人公を結婚相手と勘違いいて追い掛け回す女山賊・金蓮役の阿朶。彼女はこの作品ではお色気&バカ演技担当ですごい変顔を見せるかと思うと、恋に恥らう(笑)乙女チックな演技をしてみせたりとなかなか。彼女、本職は歌手で露出度の高い衣装で人気なんだとか。あぁ、だから劇中でもそういう衣装を着てたのね。
 もう一人は女武官・阿好役の家佳。武官らしい気の強さと女らしい可愛い所を併せ持つこれまた“ツンデレ系”キャラ。阿朶と比べて正統派中華美人顔なので私は彼女のほうに一票あげたいと思います。古装もいいですけどイマ風の衣装も似合うと思いますよ、彼女。

              
              
●上が阿朶、下が家佳。どちらも美人顔ですが映画のせいで…

 他にも中国で活躍する日本人俳優・矢野浩二の奇天烈なキャラクターぶり(彼のコメントによれば志村けんをモチーフにしたとの事)など見所満載の『熊猫大侠』。願わくば日本語字幕、贅沢を言えば日本語吹替版でぜひ観てみたい!

              
●左が矢野浩二氏。衣装のせいか周星馳的


初春気分にもってこい 『老夫子』

2009年01月05日 | 中華圏映画

 今日から仕事始めの方も多いことでしょう。そんなわけでこのHIMAGINE電影房も活動を再開したいと思います。
 さて今年最初の紹介作品は正月にふさわしくアニメ作品といきましょう。1979年(81年表記もあり)の香港アニメーション映画『老夫子』です!

        

連載開始が1964年という長寿連載ユーモア漫画である王澤・著の「老夫子」であるが、日本ではあたりまえだが知名度はとても低い。過去にツイ・ハーク製作、ニコラス・ツェー主演『恋のQピット』(01)が公開された程度でしかないが、現地では何度も映像化(実写)されており、日本でいえばまるで「サザエさん」か「あんみつ姫」みたいな状況である。この映画は数ある「老夫子」映画の中で最初のカラー・アニメ化作品なのだ。

        

 ストーリーはちょいと説明が難しい。元が4コマ(複数コマの場合もある)漫画なので話があっちへ行ったりこっちへ行ったりと統合性がないのだ。(この辺も「サザエさん」と同じですね)何せこの映画、監督が三人もいるんですからアタリ前です。
 簡単にいうと主人公・老夫子がドジをして働いていたレストランを追い出され途方にくれているとき、ひょんなことで強盗団に手を貸す羽目になってしまい警察には追われ、戦利品のダイヤを奪ったとして強盗団にも追われてしまうという典型的な香港流ドタバタ喜劇なのだ。「香港市民の生活を描写」する『ミスター・ブー!』シリーズやこの時期話題を呼んでいた新浪潮(ニューウェーブ)派の作品とは根っこは同じなのである。

        

 この作品の注目ポイントは画像でも分かるとおりブルース・リー(と思われるキャラクター)を代表するクンフー・武侠映画ネタである。
 給仕として働いていたレストランで、老夫子がインネンをつけるヤクザたちと武侠映画ではお約束の“腕試し”(客棧戯)を行ったり、ブルース・リー(風キャラクター)の武館で道場破りと闘ったり、挙句の果てには擂台戦でアントニオ猪木風レスラーと対決までしてしまうというすばらしさ。あぁ!結局クンフー・武侠映画というのは香港市民にとって「あって当たり前」な存在なのかもしれない。

        

 この映画、実はラストが2通りあって、広東語版では老夫子とその仲間たちが強盗団と失われたダイヤをめぐって倉庫内での対決で(まるで『五福星』だね)、一方の北京語版では擂台戦のリングで強盗団に絡まれているときに、師父であるブルース・リー(風キャラクター)が助けに入り、それを見た各国の武芸者たちが彼を倒そうとリングに殺到するが、難なくこれを退け観客の大声援に答えエンド、というものだ。
 どちらもそれなりにいいが、スタンダードな香港喜劇を堪能したいのならば広東語版、クンフー映画的興奮に酔いたいのであれば北京語版、といった楽しみ方がベストかも。

         


少女が世界を救う時 『新十二生肖』

2008年12月01日 | 中華圏映画

 もう十二月ですね。あと数十日寝てればお正月ですよ、一年過ぎるのは早いですねぇ。私は一体何をしてたんでしょうか?というわけで今回の紹介作品は『新十二生肖』(90)です。


 古の中国。邪悪なる魔王が出現し、世界を混乱の渦に巻き込み弱き人々を苦しめていた。そんな世の中を打破しようと観音菩薩の生まれ変わりである少女・ベイマは同じく国中に散らばっている十二支の生まれ変わりを探しに、お供の戌の化身と共に山を下り俗世間へと旅立った。いくつかの困難の末十二支中十一支は見つけ出す事ができたが、最後の一人である蛇の化身は魔王に操られていて彼の参謀役でもあったのだ。ベイマと仲間たちは果たして魔王を倒して世界を平和に導く事ができるのか?!

           

 スタッフ・キャストが日本でもおなじみ『幽幻道士』シリーズのメンバーなのであのキョンシー・ブームの渦中にいた当時の少年少女であるならば確実に「懐かしい」と思える作品。作品自体は『蜀山』系のいわゆる神怪片でキョンシーものではないけれど、クンフーに化け物、それに笑いも盛り込まれており、その安定感のある作りに掛け値なしでワクワク・ハラハラでき観賞後の後味もさっぱりした傑作であった。

          


 悪玉の魔王の造形は『孔雀王』(87)を意識したような特殊メイクに腰巻つけた裸のおっさんではあったが、こちらはボディビルダーを起用しているので見ごたえもあって迫力ははるかにこちらの方が勝っている。
 この作品は特撮にも結構予算が掛けられているのか、光学合成の多用はもちろん、魔王の手下のデザインや途中ベイマたちを襲う餓鬼たちにもキチンとメイクが施されていて、数多くのキョンシー映画のような手抜きメイク(白塗りに隈)でないのが好感が持てる。

          


 でも、一番の見所は何といってもベイマを演じたシャドウ・リュウ(劉致)に尽きると思う。『幽幻道士』シリーズでは単なる話のかき混ぜ役、一服の清涼剤的存在に過ぎなかった彼女が、世界を救う為にその身を犠牲に闘う(格闘はしないけど)聖少女を演じていて、最初の水浴シーンから最後の観音様姿になるまでの間私の視線は彼女演じるベイマに行きっぱなしだった。シャドウ・リュウの少女時代の代表作にしちゃていいんじゃないの?と進言したくなるほどの名演である。
  あ~いいたい事はイッパイあるんだけどなぁ。何も言えねぇ…

          


              

一発ネタ映画バンザイ! 『少林十八銅女』

2008年11月10日 | 中華圏映画

 「いやぁ~、『少林十八銅人』は面白かったなぁ」
 「まったくです、社長。わが社でもやりましょうよ」
 「そうだな。…でもあの映画、女ッ気が全く無いな。よし、こうしよう!」
 「?」
 「あの金粉塗ったオッサンの代わりに金粉塗った女性が闘うってのはどうだ?」
 「……」
 「…………」
 「そ、それは名案です、社長!これなら男性客大幅アップですよ!!」
 「ガハハ。何年この業界で飯食ってると思ってるんだね、君ィ」
 「はいっ!早速撮影にかかりますっ!!」

 と、まぁ社長コントはさておいて、今回の紹介作品『少林十八銅女』(83)は案外こんなカンジで企画が通ったのではないかと思われる(違うか?)「見所はそれしかない」一発ネタ映画である。
              
             

 話は清朝の将軍が少林寺から拳譜を盗み出してしまい、それを取り戻すべく大僧正はから密かに育成していた「銅女功」の会得者の女性を世に送り出す。それと同時に反清復明の闘士は将軍を倒すべく同士を集め、少林寺側と衝突しながらも最終的には将軍を打ち負かし、そして銅女は拳譜を取り戻し終わり…というもの。

  はっきり言ってこの映画、清の将軍が大悪役というのは普通に分かったのだが、他の登場人物の善悪関係がいまいち分かりづらかった。普通クンフー映画では少林寺は反清のシンボルではなかったのか?なのにレジスタンスたちとは反目し合うし、切り札である銅女たちと戦わせたりともうメチャクチャ。…観てる分には楽しいんだけどね。
             
             

 この映画の最大の売りは何といっても、タイトル通り「十八銅女」でしょう。というかそれしかない。いろんな人物が登場し戦っているのだが、金粉に身を包み金色の衣装を纏った彼女たちにはどんな事をしても敵わない。

 劇中登場する「銅女功」というのは全身の皮膚を鋼のように強くし、どんな攻撃でも跳ね返す事の出来る武功で、それを白い髭を生やした大僧正の号令の元、金粉がまぶしい彼女たちが必死で訓練するサマが悲し楽しい(どっちやねん)。

              

 おおっと、普通のクンフー映画ファンにもちゃんと見せ場は用意してますぜ。大悪役の将軍には『大酔侠』(66)でおなじみのユエ・ホア(岳華)、反清闘士の女剣士にはドリス・ロン(龍君兒)、そして少林寺の僧侶にはカム・コン(金剛)だ。どうだっ、まいったか!
  
 …でもやっぱり画面のインパクトでは十八銅女には負けてるな。          
          
              

リンホー祭! 『鬼面人』

2008年11月06日 | 中華圏映画

 今回は自分でも忘れるほど久しぶりの香港クンフー映画の紹介になる(実際は台湾映画なのだが)。

 タイトルは『鬼面人』(73)、主演はシャンカン・リンホー(上官霊鳳)。何かそそられるでしょ?ゲテモノ映画好きには。
         
        

 ストーリーの概要は、醜悪な仮面を被った鬼面人と名乗る男によって父を殺され宝剣を奪われたリンホーが仇討ちの為に旅立つが、途中悪漢に襲われていた少女を助けた土地では鬼面人は人々の英雄であった。父の敵討ちで頭がいっぱいのリンホーは少女の懇願も聞き入れず鬼面人と対決するが、父を殺したのは鬼面人の仮面をわざと被って悪さをしていた悪の武道家であった。誤解の解けたリンホーは本当の仇である悪の武道家と闘い、見事勝利して劇終。というもの。

        

 この作品はインドネシアでロケが行われていて(現地のプロダクションと合作か?)、映画の所々に独特な様式美の遺跡やカラフルな民族衣装、ガムランの音色などエキゾチックなバリ文化が散りばめられ観光映画としての機能も十分にある。とはいうものの劇伴に『ウエスタン』のBGMが無断で使われているのはどうかと思う。どうせなら徹底しろよ。

 観終わった後に思ったのは「シャンカン・リンホーの為だけにある映画」だという事。現実にスターと呼べる出演者は彼女一人だけだったし、脚本も彼女中心のストーリーだ。色とりどりの衣装や明光風靡なロケーションもすべて彼女を引き立たせる為にあったといっても過言ではない。
 …なぁんて書いてますが私は別にリンホーの熱烈なファンなんかじゃないんですけどね。

「強いおねいさん」

が好きなだけですから。

 そんなわけでこの映画の本当の楽しみ方は
「シャンカン・リンホーだけを鑑賞する」
事。青い空の下、カラフルな民族衣装で派手な立ち廻りをする彼女や、敵討ちの為なら手段を選ばない彼女だけを観ていれば多少ストーリーがダルくても無問題だぞ。  
          
       

 「観ないとハイキックをお見舞よ!」
すみません、ちゃんと観させてもらいます…(涙)   

シュ・ネイさま再び!『女黒侠 木蘭花』

2007年07月29日 | 中華圏映画

 いやぁ~、60年代の香港広東語映画って面白いッスね。これまでに(当時の)神怪武侠片は観ていたけど、現代アクションものは初めてだったのでとても新鮮でした。
 購入の決め手になったのは、もちろん私にとってのヒロイン、シュ・ネイ(雪妮)さまが主演していたから。

               
               
 ストーリーはよく理解できなかったが、とにかく木蘭花と呼ばれる女義盗二人組が正義の警部(ロイ・チャオ/喬宏)の指令により殺人光線の設計図のありかを探しだすというもので、敵対する悪徳警部をセッ・キン(シー・キェン/石堅)が演じており、多数ある武侠映画のように今回も敵役を憎々しくヒロインたちを追い詰めていく姿は圧巻だ。

               
               

 21世紀の今からみれば本当にレトロな感じで(当たり前だが)、殺人光線などというアイテムからして時代を感じさせる。今や少年漫画でも使わないネタだぞ。
 あとアクション指導には唐佳と劉家良の名コンビがクレジットされていたが、剣戟アクションとは勝手が違ったか若干ぎこちない。まぁ、当時のアクションなんて洋の東西問わずみんなこんな感じでしたけどね。今みたいにどれだけ危険な事をするか?じゃなくて雰囲気重視のアクションで。

                  
               

 このシュ・ネイさまの『女黒侠』シリーズはあと2作あるそうで、どこかの動画共有サイトで彼女がマシンガンをブッ放しているシーンを観たことがある。やっぱりYesasia.comで買うしかないのか…

               

 って、ウインクされてもシュ・ネイさま…(哀)

『龍虎門』、ついに鑑賞!

2006年11月19日 | 中華圏映画
 香港マンガ界の重鎮・黄玉朗のクンフー大河コミック『龍虎門』がドニー・イェン武術指導で映画化されると聞いてもう随分たったが、この間ようやく実物を鑑賞する事が出来た。

 いやぁ~、凄ぇわコリャ。

 ここまでマンガを移し変えたような色彩や映像だと、怒るどころかかえって清々しい。何事も中途半端は良くないからね。
 内容がクンフー・アクションものということで“反ワイヤーアクション派”からは「またか…」と嘆きの声が聞こえてきそうなのだが、この映画では私はそう悪いとは思わなかった。だって原作がマンガだもん。明らかに自然の摂理に反する動きをキャラクターたちがやってナンボの世界。それを視覚的に表現するためにはワイヤー?OK、CG?OKなのである。

 個人的には『龍虎門』に改題される前の『小流氓』の愛読者で(99号目から『龍虎門』に改題)、あの何ともいえない猥雑した70年代初頭当時の香港の雰囲気をうまく出している味のある黄玉朗の絵が好きだ。今の『龍虎門』は絵がキレイすぎる!それが悪いわけではないのだが、あの頃のマンガが持っていたB級テイストが失われて何だか淋しい気がする(高級になりすぎた日本のマンガにも言えるのだが)。

 ただ、この映画には問題が一つ。マンガでは主役のはずの王小虎(ニコラス・ツェー)と石黒龍(ショーン・ユー)があまり大暴れせず、ドニー演じる王小龍が大活躍していたって事だ。映画全体を見渡しても美味しいところは全~部ドニーがかっさらっているのだ(あと、ショーン・ユーも少し)。これでは主役の片翼を担っているニコツェーの立場が無いんじゃないの?スケジュールの問題か?
 
この映画大ヒットにより、パート2が製作される事になったそうだが、次回はニコツェーの大活躍を期待するぜ!
 ホントいいとこ無かったもんなぁ、彼。

           


           

がんばっていきまっしょいっ!『9個女仔1隻鬼』

2006年01月10日 | 中華圏映画
 2006年一発目の作品紹介は、真面目に付き合うにはちょっとツラいが、こういう正月の浮かれた気分で観るには丁度いいアイドル映画の『9個女仔1隻鬼』(02)だ。

 主人公の女子高生・カカはバスケ部『COOKIES』のキャプテンだが、ライバル校には一度も勝った事がなく、今年も対抗戦を前に悶々とした日々をチームメイト達と過ごしていた。そんなある日誕生プレゼントで親から送られた車を無免許運転していたら、急に自由が利かなくなり絶対絶命か?!と思ったら車が自分で停車し、呆然としているカカの前に一人の美男子が現れた。彼はこの車に以前乗っていて、事故死したワイという人物で、事故をする以前の記憶を失っていて、気になって成仏できないでいるという。カカはワイが可哀想に思い、チームメイトと相談し、ワイがライバル校との対抗戦に力を貸すかわりに、記憶探しを全員で協力するという事になった。かくしてカカ達COOKIESの冒険と騒動の日々が始まった…!

 この作品は香港でも珍しい集団アイドルグループ・COOKIESの初主演作で、当時9名(現在は4名)いた女の子たちの魅力を引き出そうと、恋あり友情あり笑いあり涙ありと、まさにアイドル映画の王道を征くシチュエーションと演出で(演技の上手い下手でなく若々しさが画面に出てりゃOK!)で、正統派アイドル映画に仕上がっている。なので、この映画の最大の見所は彼女たちCOOKIES(と彼女たちの歌)であって、決してエディソン・チャンを始め他の共演者たちではない。そこん所を理解していないエディソンのファンはこの作品を「中味がない」とか「最低」とか言ってるけど、アイドル映画には中味なんて無いんですよ~。彼女たちのファンしか観ないんですから、基本的には。だからデビューCDまで購入した私にとっちゃ充分に楽しめました!特にデビューアルバムの主題曲である『身急人上』(イチバンのお気に入り曲)が劇中で歌われた場面なんか鳥肌モンです!って、誰も知らんか…
   

完全たる怪奇映画 『夜半歌声』

2005年11月09日 | 中華圏映画
 今でこそ中国映画は世界的名声を得ているが、第二次大戦前、まだ中華民国だった頃1930年代にも世界の映画レベルに引けを取らないほどの状態にあったという。芸術性の高い作品は研究者に任せるとして、ここでは娯楽性の高い作品を紹介していこう。
 今回は故レスリー・チャンのリメイク作が有名な『夜半歌声』(37)だ。リメイクの方はラブストーリーにウエイトが置かれていたが、オリジナル版はムードたっぷりの怪奇映画なのだ。

 人気俳優だった主人公は、舞台を観にきていた富豪の娘と恋に落ちるが、彼女に横恋慕する地主によって顔に硫酸をかけられ、ふた目と見られぬ顔となってしまう。彼は覆面を被り、事件のショックで精神に異常をきたした彼女のため夜な夜な歌を歌う。数年後ある劇団の青年がボロボロの劇場で歌の練習をしている所、主人公と出会い、彼から醜くなった自分のかわりに彼女の前で歌を歌って欲しいと頼まれる…
   
 『オペラ座の怪人』を思わせる悲恋もののストーリーだが、セット、照明、カットが見事なまでに“怪奇映画”を醸し出している。主人公のボロボロになってしまった顔のメイクも当時のハリウッド製怪奇映画にも引けをとらないほどの出来で、モノクロ画面との相乗効果により、観るものに恐怖と悲しみをあたえる。ラストの、群集により火をつけられた塔の中で主人公が息絶える場面は『フランケンシュタイン』を思わせ、ところどころ同年代のユニバーサル製怪奇映画の影響をうかがわせる。西洋的な感覚を持つ中国語を話す事以外はまったく中国らしくない洗練された映画だ。これが1937年製作って信じられます?