さて、『師走の棚卸し』と題した年末特別企画も今回で最後。最後の紹介物件は日本で公開された数あるクンフー映画の中で、傑作の部類に入る『嵐を呼ぶドラゴン』(74)の映画パンフレットだ。
これまた香港でショウ・ブラザース社の作品群がDVD・VCDリリースされる前までは観たくても観れない“幻の作品”であったのだ。特に80年代ジャッキー・ブームの洗礼を受けた私にとっては。
数々のクンフー映画関連の出版物には必ずといっていいほど紹介されていたし、上半身裸の男たちが原っぱで闘っているスチール写真には何かグッとくるものがあった。TVでやらないかなぁ、と期待はしていたのだが当時TVで放映されるクンフー映画といえば70年代後半~80年代にかけてのコメディ・クンフー物が中心で古典作品は皆無であった。とはいうものの深夜TV映画劇場では「帰って来たドラゴン」や「武道大連合・復讐のドラゴン」とか今じゃ地上波で放映しない作品なんかをやっていたのだけど。
結局ずいぶん経ってからこの作品を観たのだが、やっぱりいろいろな書籍で言われているだけあって素直に面白いと思った。数々のB級クンフー映画が原っぱで立ち回りしてるだけで“映画”と呼ばせているのに対し、こちらは大御所、チャン・チェー監督が製作してるだけあって手堅い作りでキチンと映画になっている。いろいろなシチュエーションでの立ち回りや、男同士の爽やかで熱い友情もあり(今のボーイズラブ小説に通じるモノがありますな)、ないのは女性との恋愛だけという、中学生時分に観たら熱狂するね、絶対。
『師走の棚卸し』は今回が最後ですが、実はついこの間ゴソゴソやってたら映画パンフがまた3・4冊出てきてしまい、次の機会にて紹介しようかなと考えております。ではっ!
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