HIMAGINE電影房

《ワクワク感》が冒険の合図だ!
非ハリウッド娯楽映画を中心に、個人的に興味があるモノを紹介っ!

跳べっ!《鳥人》タルマッジ 『絶海の爆弾児』

2013年09月10日 | その他の映画、テレビ
 かつてサイレントからトーキー初期の映画黎明期、スラップスティック・コメディや活劇映画の看板スターは、自ら危険なアクションを演じて映画一番の見せ場を作り出していた。バスター・キートンしかり、ダグラス・フェアバンクスしかりだ。だが、映画が“個人商店”から“企業”へと変化していくにつれ、こうした“身体で映画を作る”スターも少なくなり、今や編集と特殊効果で、観るものをを興奮のるつぼへと誘う。だが我ら観客はいつの時代でも肉体が産み出すスペクタクルに魅了されるのだ。

 そんなハリウッド黎明期に、現在ではすっかりその名は忘れられてしまったが、かつて目の覚めるようなアクションを自らこなし人気を博したスターが存在した。彼の名はリチャード・タルマッジ。まさに《鳥人》と当時のあだ名通り、高い場所へ登ったり飛び降りたりと、製作された時代の古さや劇中のアクションがベーシックすぎる事に目をつぶれば、現在のものと全く遜色ないパフォーマンスを、彼はこの時代に演じていたのだ。

          

 『絶海の爆弾児』(1935)は、彼がトーキーの時代に突入してから出演した作品で、主演作としては最後期のものである。物語はタルマッジ演じる水夫が考古学教授らと共に未開の島で宝の壺探しをするというものだが、冒険ものと呼ぶには尺が短い事もあってか盛り上がりに欠けており、お宝を探索する場面はほとんど皆無で、もっぱら映画はタルマッジのアクションの方に集中する。殴り合いはさすがに古臭いのだが(殴られる際の効果音すらない)、逃げ惑う・または追いかける場面では彼の身体能力が本領発揮する。タルマッジは高所から下に停車しているトラックに飛び降りたり、壁を軽々と飛び越えたりと現在のスタント・アクションと何の遜色もない事を、約70数年前の役者が顔色ひとつ変える事もなく平然とやってのけるのだ。

 
 同じ頃に(厳密にはもっと前だが)活躍した活劇スターにダグラス・フェアバンクスがいたが、時代劇(コスチュームプレイ)中心だった彼の映画とは違い、タルマッジ作品のほとんどが現代劇。ビルや自動車などモダンなアイテムを周りにに配置し、所狭しと飛び回るその姿は現在のジャッキー・チェンの姿を思わせる。間違いなく彼はジャッキー流アクションの元祖のひとりなのである。アクション映画好きならリチャード・タルマッジの名前は絶対に覚えておいたほうがいい。

          
          


 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿