あまりにも突然の事に、どう気持ちを整理してよいのかわからない。
人気女子プロレス団体で活躍していた木村花が5月23日に亡くなったのだ。
団体ホームページには死亡した事実だけを述べ、死因などの詳細は「調査中」と記載するに留まったが、ファンからすればあらかた予想しているに違いない。出演中だった人気リアリティ番組の視聴者で、彼女の存在を良しとしない人たちから送られる、心無い誹謗中傷に疲れた末の果て――なのだろう。
フェイスブックやツイッターに代表されるSNSというツールは、選手とファンとの心の距離を近くした半面、匿名によるアンチコメントを選手が拾いやすくなるマイナス面を生み出した。だが質の悪い事に今回のケースはプロレスファンからではなく、プロレスを全く知らない一般視聴者からのコメントなので余計に始末が悪い。暴言や流言、人格否定などの罵詈雑言を連日目にし、心の均衡が保てなくなった花の心境は如何ほどのものだったのだろうか? そしてコロナ禍による興行自粛によりこの数か月、試合がほとんど行われなかった事もこの結末に作用しているのかもしれない。積もり積もったストレスを発散させる場もなく、逃げ場のない例えようのない苦しみが爆発寸前だったに違いない。
まだ二十二歳という若さだった。これから経験と実績を積みスターダムの、女子プロレスの顔になろうとしていた矢先の悲劇に、「悲しい」「残念」というよりも「(亡くなった事実を)信じたくない」というのが今現在の正直な気持ちである。
自分自身の、そして女子プロレスの知名度を上げるために出演したテレビ番組が、花自身の心身を滅ぼす枷になってしまった事が本当に残念でならない。これならばプロレス界という狭いコミュニティでひっそりと、そして楽しく活躍していた方がファンとしてはどれほどよかっただろうか。幸せだっただろうか。
これはあくまでも私個人の見解であって、死因などの正確な情報はこれから入ってくる筈だ。だからといってどんな結果になろうとも、彼女が返って来る事は二度とない。Wrestle-1でデビューした時から木村花を見続けていだけに、私の心の喪失感はかなり大きい。人は失ってから初めて、その人の重要性に気付くものだ。
惜しい、悔しい
まだこれからだったのに
改めて女子プロレスラー・木村花さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
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