握手 黒川博士のこと
先生がガン研の総長をされていたときの話らしい。僕はある雑誌の対談で読んだ。
「ガン研に来る患者の大半は死におびえ、心が冷え切っている。
僕は患者さんに対面するとまず握手をする。そのためにズボンのポケットにいつも、カイロを入れてあり、それで手を温めてから、温かい手で握手する。
そうすると患者さんにその温かさが伝わって、安心するのか、心開いて心中のことを打ち明けてくれる。
たかが握手である。されど握手なのだ。死に怯えている人々に、少しでも暖かくなる手を差し伸べる、その心使いに僕がぐっときた。
先生はもう既に世を去られている。
だが僕は先生に手紙を書いた。本来なら御仏前に届け、供えるべきかもしれないが、その手紙はいまだに、僕の机の上でおいたままだ。
小さな心遣いと気配り。その配慮は患者の命を救うことにつながる。
これはすばらしい教訓だ。重く受け止めておこう。
先生がガン研の総長をされていたときの話らしい。僕はある雑誌の対談で読んだ。
「ガン研に来る患者の大半は死におびえ、心が冷え切っている。
僕は患者さんに対面するとまず握手をする。そのためにズボンのポケットにいつも、カイロを入れてあり、それで手を温めてから、温かい手で握手する。
そうすると患者さんにその温かさが伝わって、安心するのか、心開いて心中のことを打ち明けてくれる。
たかが握手である。されど握手なのだ。死に怯えている人々に、少しでも暖かくなる手を差し伸べる、その心使いに僕がぐっときた。
先生はもう既に世を去られている。
だが僕は先生に手紙を書いた。本来なら御仏前に届け、供えるべきかもしれないが、その手紙はいまだに、僕の机の上でおいたままだ。
小さな心遣いと気配り。その配慮は患者の命を救うことにつながる。
これはすばらしい教訓だ。重く受け止めておこう。