■【心 de 経営】 経営四字熟語004 羽化登仙 ■ マズローとPDCA
四字熟語には、いろいろな示唆がありますので、経営やコンサルティングを学ぶという視点で連載をします。
四字熟語というのは、漢字4文字で構成された熟語で、中国の故事などに基づくだけではなく、幅広い内容を持っています。
読み方を変えますと、別なものが見えてきます。それを経営コンサルタント歴40年余の目で見ますと、経営やコンサルティングに直結する示唆の多いことに気がつきました。 単に、四字熟語の意味を知るだけではなく、経営士・コンサルタントの視点から感じ取ったことをご紹介します。
■ 示唆の多い経営四字熟語 No.04
■■ 羽化登仙 (うかとうせん) ■■
■ マズローとPDCA
前回もマズローについて記述しましたが、今回もマズローに関連します。
「羽化」は「羽が生える」、「仙」は「仙人」ですから「羽化登仙」は、直訳的には「羽が生えて、仙人となり、天に登る」ということです。
酒に酔うと良い心地になります。それはあたかも天に登る様な良い気持ちです。仙人しか登れない天の心地と言ってもよい状態です。
「仙人」というのは、広辞苑によると下記のような説明があります。
1)道家の理想的人物。人間界を離れて山中に住み、穀食を避けて、不老・不死の法を修め、神変自在の法術を有するという人。
2)〔仏〕世俗を離れて山や森林などに住み、神変自在の術を有する修行者。多く外道を指すが、仏を仙人のなかの最高の者の意で大仙、あるいは金仙(こんせん)ということもある。
3)浮世離れした人のたとえ
このことから、「羽化登仙」は、「俗世間の煩わしいことを一切忘れて、仙人のように自由で気ままな心地よい境地」になるたとえと言えます。
仏教では108の煩悩を人は持つと言われています。
煩悩から脱却することは難しいからこそ、仏教が存在するのでしょうが、我々は色々な欲望の渦巻く中で生活しています。
欲望という言葉で連想することは多種多様でしょうが、私はマズローの欲求五段階説を先ず思い浮かべました。ブログのマーケティング講座の中でも紹介しました。
人間は、「生理的欲求」が満たされるようになると、自分の身を守るという「安全の欲求」を意識します。
欲求五段階説のレベルの低い間については、ロビンソン・クルーソー(イギリスの小説家ダニエル・デフォーの書いた小説)を思い浮かべながら、マズローの欲求五段階説を考えます。安全の欲求を満たすために、クルーソーは家を作ります。
家ができ、安全の欲求が満たされると一人の寂しさを覚えるでしょう。名前を忘れましたが奴隷や犬と共に生活をします。第三レベル「帰属と愛情の欲求」です。
奴隷や犬との主従関係は、「尊敬の欲求」までを充分満たし得るとは思えませんが、人間社会では人から馬鹿にされることは誰しも嫌います。
少しでも良い大学を出て、良い会社に入るというのがかつての大学生やその親の考え方でした。東日本大震災以降それが少し変化をして来ているようですが、人から尊敬されたいという気持ちは誰しも持っていると思います。名誉欲はその典型かも知れません。
尊敬の欲求を持たすために、人は自分の夢の実現を願います。「自己実現の欲求」です。「経営コンサルタントになって、困っている社長さんの手助けをしたい」というのもこの段階の欲求です。
この欲求があればこそ、人はがんばれるのです。
裏を返すと、「自己実現の欲求」を失うと人間の成長は止まってしまうのかも知れません。「自己実現」で重要なことは、「夢を持つ」その夢実現のために「計画性」ということを忘れてはなりませんね。
俗に「P・D・C・Aサイクル」というデミングサイクルと言いますが、それを回し続けることが重要です。
【 注 】
私共のブログのマーケティング講座の中で、P・D・C・Aサイクルについては私なりの考えがあることをお伝えしています。
【Wikipedia】
経済学的な視点からも注目を集めてきた。カール・マルクスは『資本論』の中でロビンソンを引き合いに出して論じており、シルビオ・ゲゼルは主要著書『自然的経済秩序』の中で独自のロビンソン・クルーソー物語を紡ぎ出している。
また、マックス・ウェーバーは『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の中でロビンソン物語を取上げ、主人公の中に合理主義的なプロテスタントの倫理観を読み取っている。
同時代の文人ジョナサン・スウィフトが代表作『ガリヴァー旅行記』を執筆したのも、本作の影響が大きいと言われている。
■ バックナンバー
これまでの経営四字熟語のバックナンバーをブログで見られるようにしました。
https://blog.goo.ne.jp/keieishi-kyokai/c/519a7840abf5dcf643227ecff6b01cef