尖閣列島問題や竹島問題を新聞・テレビは優先的に取り上げていますが、これらの問題は
中国自体経済に歪みが如実にあらわれきたことと、それにともなう地方から都市部出てきた
労働者などの貧困層、地方における政治と経済に不満を持つ若者が「反日」という名目で
デモをし暴徒化している状態は、中国政府にとっても頭の痛い問題となっています。
今の中国に住む若者から中年層のほとんどは、幼少時から「反日教育」叩きこめられており、
日本に対する悪感情は想像以上のものがあります。
また国内外の情報が得られなかった一昔と違い、空中を飛び交う電波が国を動かす情報社会の
時代ですから、現状に不満を抱える若者を国家が反日という旗印のもと中国国民を操り、日本
にプレッシャーをかけようとしても何ら不思議ではありません。
しかし、反日騒動の行き過ぎは多くの企業が進出し、そこで賃金を得ている自国民も多く、
反日から反政府運動に向かうことは中国政府が最も恐れているシナリオでしょう。
すでに、中国政府が今まで行ってきた、「共産党政権下での資本主義は諸刃の刃であり、中国
のバブル的経済成長はありえないことなのでは」という意見は過去に多くの知識人が警鐘を
鳴らしています。
今までのバブル経済で多大の資金を得た富裕層は、先を見越してカナダや豪州、東南アジアに
家族と共に財産を移しているのが現状ですから、欧州の金融危機が引き金となり中国経済にも
影が忍び寄る昨今では、政治と経済の行き詰まりは絶対に避けたいはずです。
表面上では日本に圧力をかける中国も本気で武力による紛争など考えていないのですから、
知性ある日本国民は目尻を吊り上げ挑発に乗ることなく、理性を持って見守ることが大切だと
思います。
ただし、南方の領土問題で揺れている日本には、忘れてはならない領土問題が私の住む北海道
にもあります。
ご存知の北方領土は、敗戦後ソビエトに樺太とともに占領され樺太は手放したものの、北方四島は
ソビエトからロシアに変わった現在も占領状態が続いています。
かって日ソ通商条約が締結される前、当時の鳩山一郎首相は、2島で合意する積りだったのが、
外務省が4島返還を唱え話は空中分解をした経緯があります。
その後、森首相の頃3,5島で合意直前まで行ったのです(択捉島は共同管理)。
しかし、それが壊れたのは外務省の対米従属派が、巻き返してぶち壊しました。
その延長線上にあったのが、外務省においてロシアとの太いパイプを持っていた佐藤優氏と
鈴木宗男前代議士の汚職疑惑による失脚です。
日ソ雪解けは困るとする、「獅子身中の虫」ともいえる無能な外務官僚の行動が、北方領土
返還に水を差したわけです。
もし鈴木宗男氏が二島変換論にこだわらなければ、あの事件は表面化をしなかったとも言えます。
APECでロシア大統領と会談した野田首相は、解散総選挙がなければ12月に日露首脳会談を
するとの確約を得たようです。
ロシア側にはAPEC会談前には、森元首相を中心とするグループが訪露すれば、北方領土
問題を話し合うという感触があったので「もしかしたら」の期待は持てるかもしれません。
とはいっても、果たして野田政権が12月まで持つかどうかは分かりませんが、来年は野田総理
にとっては節目の年(下野にくだる)年ですから、良くも悪くも北方領土返還への道筋だけは
付けてもらいたいものです。
今では錦のみ旗もボロボロになり、敗軍の将となるのは確実と見られる野田内閣にとっては、
北方領土問題解決の道は「起死回生の逆転打」となるかもしれません。
中国・韓国との領土問題が揺れ動くなか、日本とロシア間での「友好条約の締結」ともなれば
中・韓に及ぼす影響は大きく、日本にとっても再生可能エネルギー問題での悩みは樺太と稚内間
にLNG(液化天然ガス)のパイプラインが通ることにでもなれば、原発依存の現状に一石を投じ
ることにもなります。
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