北海道で最も参拝客が多いのは札幌市にある北海道神宮です。
この神社はかって札幌神社と言われ、北方(ロシア)からの脅威を
守る神社として作られたそうですが、唯一日本の神社には珍しく、
鳥居や本殿は真北(正確には北北東)に向けて作られています。
一方、北海道で最古の起源をもつと言われる道南・江差町の
姥神大神宮は鳥居・本殿の向きは南南東に向けて作られて
いますが、私の知る限り北海道神宮以外の多くの神社は東
もしくは南向きではないでしょうか。
江差町 姥神大神宮
姥神大神宮斜め向かいには、鰊(にしん)蕎麦で有名な横山家
(道指定有形民俗文化財)があります。
横山家は初代から現在まで200年が経過しています。
初代は1786(天明6)年、現在地において漁業、商売、廻船問屋を
営んでいました。
現在の建物は今から約160年前に建てられた家屋で、母屋と
四番倉にはニシン漁全盛期のころ使用されていた生活用具などが
陳列され、当時の暮らしぶりを今に伝える貴重な建物のひとつです。
有名な鰊蕎麦
以前このブログでも書いたような記憶がありますが、かって私は
横山家が宿泊客を泊めていた時代に、この横山家に泊めて頂い
たことがありました。
たしか、まだ二十代後半の頃だったので約40年前のことです。
その時はラッキーなことに他の宿泊客もなく、同行のH氏ともども
二人が泊まるには十分のお部屋に案内をしていただきました。
お部屋に通されて、当時はお元気であった女将さんとの面識が
あった、H氏が初対面であった私のことを紹介をして下さいました。
H氏は当時は道内の玩具問屋の営業部長であり、将来は父親んの
後を引き継ぎ経営陣の一角をなすと言われた存在でした。
その様なH氏が「彼は今駆け出しのインテリアデザイナーとして、
私の仕事を手伝ってもらっているのです」
「今回はたまたまこちらの〇〇デパートさんの改装の件でお伺い
したのです」と紹介をして頂いたところ、当時はお元気だった
女将は 「あら、それであれば今夜はお二人で大広間にお泊り下さい」
「古い建物ですから見る価値はあると思いますよ」と部屋替えを
勧めて頂き、言われるまま現在は客席として利用中の「大広間」に
泊まることになりました。
大変な幸運だったといえます。
ただ二人で泊まる大広間は、梁にせよ大黒柱にせよ、欄間の細工に
しても驚くほど立派であり、さすがに文化財として保存をされる建物
でしたが、二人で泊まるには余りにも広すぎました。
何といっても寝る時には20帖以上もあるお部屋の真ん中に、布団が
二つ並んでいるだけですから。
宿泊施設で身の置き場の無い経験は、後のも先にもあの時だけです。
たまたま〇〇デパート様の接待で食事は外で済まし、唯一江差町で
ただ一軒という「クラブ」で痛飲しなければ、きっとあの広さと静けさでは
なかなか眠りに就くことは出来なかったでしょう。
多分、今の私であれば、朝まで起きていたのではないかと思います。
古い建物には様々な方たちが住み着いていますから。
翌朝には朝食後、当時の若女将さんに一番蔵と二番蔵を案内して頂き
古い文献や骨董品を見せて貰い目の保養をさせていただいた記憶が
あります。
いま考えればこれだけの素晴らしい接待はもう受けられないでしょう。
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