7月われわれの暦で第七月であるJulyは、昔は5の月であり、ローマ人はQuinctilisと呼んでいた。その後、この月に生まれたJulius CaearにちなんでJuliusという名がつけられた。アングロ.サクソン人は七月を、この月ににちなんでJulius Caesarと名づけられた。アングロ.サク人は七を、この月にmeadow に花が咲くころからまた“Moed-monad”または”Meadーmonth”つまり、「前の温暖な月」と呼ばれる六月との対比で、「後の温暖な月」とよんだ。「林の草地は ミヤコ草で黄に染まる ベンケイ草も 苔塚も また黄に 麦は青い首をゆらし 刈り束ねられて 黄に染まる 笑い声をあげ 茂みを飛びだす 黄緑のアオゲラ 光の影のさかいは 鎌の刃のように鋭い 太地はひそかに ほほえんで 天をみあげ 私もまた 収穫に想いをはせる ”谷間の愛人”G.メデリィス。 (6月が終わり明日からは7月となる。)
カンナ(カンナ科)花言葉は、尊敬;情熱。熱帯アジア.アフリカ.アメリカ地方に広く分布する50余種ある球根植物。交配園芸品種が明治末期に渡来し、観賞花として広く栽培されている、2m近く草丈が高くなるが、最近は50~60㎝ほどの矮性種も出ている。花期は7~11月と長く、花弁は筒形、色は紅、黄などさまざま。葉は一般的な緑色が多く、花言葉通り情熱的な花姿を見せてくれる。葉和一般的な緑葉のほか、10円硬貨のような赤茶色の銅葉と呼ばれるものもある。「鶏たちにカンナは見えぬかもしれぬ 渡辺白泉」「本屋の前自転車降りるカンナの黄 鈴木しづ子」「あかくあかくカンナが微熱誘ひけり 高橋重信」「カンナ咲き畳古りたる天守閣 大島民郎」「校庭に郵便ポストカンナ燃ゆ 山田閏子」「法廷に八朔照りのカンナ見ゆ 飯田蛇忽」「女の唇十も集めてカンナの花 山口青邨」「カンナ咲く閉山の杭列正し 熊谷耿子」「耳の如くカンナの花は樂にむく 田川飛旅子」「峡の町カンナを見たり旅つづく 川崎展宏」。(梅雨時の カンナ群れは 燃えて盛り ケイスケ)
梔子の花(アカネ科)花言葉は、私は幸福すぎる。静岡県以西の海岸に近い林に自生し、また観賞用などに庭などに植えられる。アカネ科の常緑低木。幹はよく分枝し、高さ約2mになる。葉は楕円形で先がとがり、光沢があり、柔らかである。6~7月、枝の先端に径6~8cmの高盆状の花を一個つけ、豊潤な香りを放つ。花の初め純白で、後で淡黄色になる。基本種は花弁5~7個に一重咲きだが、八重咲きもある。秋に実を結ぶが、熟しても口を開かないので、「口無」の名がある。「梔子」は中国名。実は染料や薬用に利用する。「薄月夜花くちなしの匂いけり 正岡子規」「くちなしの花はや丈の褪せるごと 中村草田男」「くちなしの花撒いてあり王の墓 松尾いわほ」「今朝咲きしくちなしの又白きこと 星野立子」「驟雨くるくちなしの香を踏みにぢり 木下夕廠」「梔子を挿頭し閻魔に逢ひに行く 野見山ひふみ」「くちなしの花夢見るは老いぬため 藤田湘子」「匂いつつ花くちなしの乱れかな 宮本雅代」「くちなしの束を深夜に届けたり 和田耕三郎」「くちなしに帰化はるかなる百済仏 田辺すみゑ」「口なしの淋しう咲けり水のうへ 青 蘿」「くちなしの花びら汚れ夕間暮 後藤夜半」「梔子の花見えて香に遠き距離 八木澤高原」「くちなしの白きを園のあはれとす 田上石情」「われ嗅ぎしあとくちなしの花の錆び 山口 速」「くちなしの香や尼寺はこのあたり 黛 執」「錆びてより梔子の花長らへる 棚山波朗」。(満開の 梔子の花 匂いけり ケイスケ)
ササユリ(ユリ科;ユリ属)花言葉は、稀少価値。百合はユリ科の総称。大きな花が風に揺れて動くことに由来。「百合」の字は、球根が数十個の鱗片ッでできているので、「百片合成」の意味である。「万葉集」には「百合」「由利」「佐山理」「佐由流」などと表記されている。日本には美しい百合が数多く自生するが、どれも球根(鱗茎)から芽を出し、笹の葉に似た葉を互生。花は六弁の漏斗形で、芳香を放つ。「山百合」は各地の山地の林縁や傾斜地などに自生する。開花は6~7月、径20㎝以上の大輪城花で紅や褐色の斑点が入る。「為朝百合」はその変種で径30㎝にもなる。山野に多い「笹百合」は6~7月開花の桃や白花。「鬼百合」や「小鬼百合」は7月に橙赤色の花を多数つける。鬼百合は葉の脇に珠芽(むかご)をつけ、これでも繁殖する。小鬼百合は百合根を食用とする。純白の花をつける「鉄砲百合」は欧米の人を魅了した花。明治の頃から球根が大量に輸室された。ほかに「透百合」「姫百合}などもある。「くもの糸一すぢよぎる百合の前 高野素十」「谷風や花百合そ向きま向きして 阿波野青畝」「神の声湧くごと森の車百合 加藤知世子」「百合の香のはげしく襲い來る椅子に 稲畑汀子」「断崖の百合には日暮れの風移る 河野友人」「山霧の引きゆく迅き小鬼百合 星野恒彦」「笹百合の結界に香を放ちけり 大野今朝子」「告別ミサ百合は異端の匂ひもつ 今村潤子」「百合の花家ひろびろと香りけり 黒柳昌子」「ふれもせで百合くずれたり沖縄忌 丹波恵美子」「百合の花朝から暮るるけしきなり 一 茶」「百合咲くや海よりすぐに山そびえ 鈴木真砂女」「仏壇の中の暗きに百合ひらく 菖蒲あや」「稚児百合の丈のあはれに揃ひけり 吉田万里子」。(鬼百合は世に遠く咲き遠く散る ケイスケ)
ホタルブクロ(キキョウ科)花言葉は、正義。山地の林の縁や途に沿って生える。高さ20~80㎝。全体が粗毛がまばらに生えている。地ぎわに生える葉は長い葉柄があり、卵形で縁に鋸歯がある。茎に就く葉は長卵形で無柄。6~7月、茎の先端部の葉のわきから、先が浅く五裂した、長さ約5㎝の釣鐘形の花が数個垂れ下がって咲く。花色は淡紅色または白。子供が蛍をこの花筒に入れて遊んだところから「蛍袋」の名がある。●奥ゆかしい風情でうつむいた姿は、釣鐘にも灯火にも見えロマンがある。袋の形状におかしみを見出した句も多い。「かはるがわる蛍袋吐出して釣鐘草 島村 元」「宵月を蛍袋の花で指す 中村草田男」「夕風に蛍袋のひとかたまり 細見綾子」「どどっどどと蛍袋に蟻騒ぐぞ 金子兜太」「もごもごと虻ゐるほたるぶくろかな 飯島晴子」「眠くならぬこのごろ蛍袋かな 岡井省二」「ほたるぶくろ重たき光ひとつづつ 山田みづえ」「流人墓ほたるぶくろは白ばかり 神蔵 器」「出たがらずほたるぶくろの中の風 檜 紀代」「蛍袋出て楽し蟻の濡れてをり 須原和男」「蛍袋に指いれて人恨みけり 能村登四郎」「をさなくて蛍袋の中に栖む 野沢節子」「山の雨蛍袋も少し濡れ 高田風人子」「満月のほたるぶくろよ顔上げよ 花谷和子」「夕風に提灯花ややゝ睡し 星野麦丘人」「提灯花要所要所に点る城の径 甲斐遊糸」。(提灯花 夕日を浴びて ほの明し ケイスケ)
ザクロ;柘榴(ザクロ科)花言葉は、円熟した優美。小アジアからアフガニスタン原産の落葉高木。最も古くに利用されるようになった果樹の一つ。世界各地で栽培される。日本へは平安時代に渡来、本州以西で果樹や庭木などにされる。高さ5~6m。幹には瘤が多い。葉は倒卵形または長楕円形で長さ約4㎝、ほぼ対生する。6~7月、枝先に赤い筒状の萼と5~7個の花弁を持つ花が数個咲く。雄蕊が弁化して八重咲きになったものや花色が変わつたものは観賞用で「花柘榴」ともいう。中国名「石榴」、漢名「安石榴」。●梅雨時に、点るように咲く朱赤色の花は印象的である。その色から触発されて人生さまざまな相が詠まれた句が多い。病や生死を詠んだ句も見られる。「若者には若き死神花柘榴 中村草田男」「犇めきて石榴咲く見ゆ借りをなす 下村槐太」「花柘榴咲き天に高熱かがよへり 平井照敏」「花柘榴煌々たれば欺けず 伊藤白瀬」「愛をいふならば石榴の花の下 今井杏太郎」「妻の居ぬ一日永し花柘榴 辻田克己」「塩買つて帰る旧道花柘榴 山口みちこ」「日のくわつとさして石榴の花の数 小林篤子」「祝歌のどこかが暗し花柘榴 山下知津子」「あまだれの賑はひ終わる花柘榴 河井多賀夫」「石榴が口あけたたたはけた恋だ 尾崎放哉」「深裂け石榴一粒だにこぼれず 橋本多佳子」「石榴の粒百食はば寂しさ消ゆ 橋本多佳子」「露人ワシコフ叫びて柘榴打ち落とす 西東三鬼」「石榴割れる村お嬢さんもう引き返そう 星野紗一」「青ざくろ眼の濁りゆく齢なる 藤田湘子」「肉感に浸りひたるや熟れ石榴 鈴木しず子」「ギリシャから海の絵葉書秋ざくろ 浪野聡子」{石榴咲き天に高熱かがよへり 平井照敏」「身辺に割けざる石榴置きて愛づ 山口誓子」「昨日寸前今日また寸前熟れ石榴 林 翔」「手にとどくざくろと思ひゐて見事 下田実花」「石垣の上の兄より石榴受く 広瀬直人」「恍惚たりざくろが割れて鬼無里なり 岡井省三」「大津絵の鬼出て喰う柘榴かな 黒田桜の園」「ひやびやと日のさしてゐる石榴かな 安住 敦」「柘榴紅し都へつづく空を見て 橋本多映」「風雪の一片とある柘榴の実 瀧 春一」「くれなゐの泪ぎつしりざくろの実 和田知子」。(山の音聴こゆる石榴割りにけり ケイスケ)
オカトラノオ(サクラソウ科)花言葉は、優しい風情。「岡虎尾」を指す。山野に生え、切花や花壇用にも栽培される。高さ60~100㎝、茎は直立し、楕円形の葉が互生する。6~7月、茎の先端に高さ10~20㎝の花穂をつける。花は白色で五弁、径1㎝、穂の一方にかたよってつき、穂の尖端部は下垂する。花名はこの穂の姿を虎の尾に見立てたもの。秋に葉は美しく紅葉する。「掌に承けて虎尾の柔らかき 富安風生」「とらの尾の短きへ日が跳ねて 大石悦子」「虎の尾を一本持つて恋人来 小林貴子」「虎の尾のさゆらぎもせぬ岬に尽く 岡部六弥太」「虎尾草を摘めば誰もが撫でにけり 小島 健」「虎の尾のさゆらぎもせぬ湖のほとり 今井千鶴子」。(界隈の目こぼしのこす虎尾草 ケイスケ)
蓮華躑躅(ツツジ科)花言葉は、情熱。ツツジ科の常緑低木の総称で、単にツツジという植物はない。山野に自生し、または花を観賞するため栽培される。晩春から初夏にかけて、大形の漏斗状の五弁の花を開くが、紅、桃、紫、黄、白とさまざま。形とりどりに株全体を包むように咲き競う。「れんげつつじ」は、落葉性でまた高地性であり、花は大輪、色は橙黄、葉も草色なので明るい感じだが、有毒品種である。山つつじの仲間としては、「きりしま」「くるめつつじ」が代表品種である。霧島山、雲仙岳、赤城山、箱根、館林などは、ツツジの美観で名高い。「つゝしいけて其陰に干鱈さく女 松尾芭蕉』「死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり 白田亜浪』「花びらのうすしと思ふ白つつじ 高野素十」「きりしまや葉一つなき真盛り 富安風生」「山つつじ照る只中に田を墾く 飯田龍太」「躑躅野に塩くれて牛はなつ 渡辺立男」「花すぎて寂しかりけりつつじの木 日野草城」「つつじ咲き全山粗き風すぐる 伊木鷹夫」「日の昏てこの家の躑躅いやな色 三橋鷹女」「開かんとして躑躅たち真くれなゐ 中川栄淵」「ままごとふと躑躅の底へきえてゆきぬ 渋谷 進」「過ちの一つに昼というつつじ 津沢マサ子」「躑躅山燃ゆる一斉射撃かな 石塚まさを」。(軒先は 蓮華躑躅咲き 賑わいけり ケイスケ}
姫百合(ユリ科)花言葉ば、かざらぬ美。ユリ科の多年草の花で、きわめて種類が多く、匂いの強いものが多い。観賞用に植えられるもののほか、切花としては鉄砲百合、カサブランカなどに人気がある。「百合の花朝から暮るるけしきなし 一 茶」「起ち上る風の百合あり草の中 松本たかし」「すぐひらく百合のつぼみをうとみけり 安住 敦」「百合咲くや海よりすぐ山そびえ 鈴木真砂女」「百合ひらき甲斐駒ケ岳目をさます 福田甲子雄」「むきむきに花粉こぼして卓の上 奈良鹿郎」「献花いま百合の季節や原爆碑 後藤比奈夫」「仏壇の中の香深く吸ふさへいのちかな 村越化石」「指さしてわがものとする崖の百合 橋本美代子」「折り持てば首よりうごくかのこゆり 松藤夏山」「稚児百合の丈のあはれに揃ひけり 吉田万里子」。百合は百合属の総称で、「ゆり」は「揺り」の意で、大きな花が風に揺れて動くことに由来。「百合」の字は、球根が数十個の鱗片でできているので、「百合合成」の意味である。「万葉集」には、「百合」「由利」「佐由理」「佐山流」などと表記されている。「山百合」は各地の山地や林縁や傾斜地などに自生する。開花は6~7月、径20㎝以上の大輪白花で紅や褐色の斑点が入る。「さくら百合(別名為朝百合)」は変種で径30㎝にもなる。山野に多い「笹百合」は6~7月開花花の桃や白花。「鬼百合」や「小鬼百合」は7月橙赤色の花を多数つける。鬼百合葉葉の脇に珠芽(むかご)をつけ、これでも繁殖する。小鬼百合は百合根を食用にする。純白の花をつける「鉄砲百合」は欧米の人々を魅了した花。明治頃から球根が大量に輸出された。百合を詠んだ句は沢山あるので、今日はこれで終わりとする。『霊歌歌ひ黒人百合をいだき去る 有馬朗人』。(この句は昭和30年、新進物理学者として世界に発つ有馬氏25歳の作である。)
シモツケソウ(バラ科)花言葉は、いつかはわかる真価。落葉低木で、春咲きの雪柳や小粉団と同じ仲間。アジア原産で、各地の山野に生え観賞用に庭などに植えられる。高さ約1m。互生する葉は長さ5~8cmの半球形の広卵形で両端はとがり、縁に鋸がある。5~7月、枝先の複葉散房花序に直径径3~6ミリの小花で、色は濃紅色;淡紅.白など。五弁の花を多数つる。昔の「下野」の国(今の栃木県)で発見されたところから「しもつけ」と呼ばれ、漢名「繍線菊」があてられる。●山野の路傍などで見かけると、懐かしい感じのする花である。小花が傘状に群がり咲くさまは、しっとりとした味わいがある。「繍線菊やあの世へ詫びにゆくつもり 古舘曹人」「しもつけの花を小雨にぬれて折る 成瀬正俊」「しもつけに肩ふれらるる家の角 岡田博光」「楢線菊やえんぴつ書きの葉葉の文 山内八千代」「繍線菊や富士を纏く道やはらかし 轡田 進」。(大でまり小でまり栃木は美しい ケイスケ)