カンナ;花カンナ(カンナ属)花言葉は、尊敬;情熱。熱帯地方メリカ地方に広く分布する多年草。交配園芸種が明治年間に渡来し、観賞花として広く栽培されている。2m近く草丈が高くなるが、日本では、50~60㎝程度の矮性種が好まれている。花期は7~10月と長く、花弁は筒形。花色は紅、黄色が多く、橙、白絞りなどもある。、花言葉どおり情熱的な花姿で、葉は一般的な緑葉のほか、10円硬貨のような赤茶色の銅葉と呼ばれるものもあり、個性的で迫力がある美しさである。「法廷や八朔照りのカンナ見ゆ 飯田蛇笏」「女の唇十も集めてカンナの花 山口青邨」「カンナ咲く閉山の杭列を正し 熊谷耿子」「耳の如くカンナの花は楽に向く 田川飛旅子」「峡の町にカンナを見たり旅つづく 川崎展宏」「一群のカンナが怺ふへリコプター 後藤昌治」「鶏たちにカンナは見えぬかもしれぬ 渡辺白泉」「本屋の前自転車降りるカンナの黄 鈴木しづ子」「あかくあかくカンナが微熱さそいけり 高柳重信」「カンナ咲き畳古りたる天主堂 大島民郎」「校庭に郵便ポストカンナ燃ゆ 山田閠子」。(花カンナ摘みたる妻も今は亡し ケイスケ)
梔子の花;唇子;山梔子;花梔子(アカネ科)花言葉は、私は幸福すぎる。静岡県以西の海岸に近い林に自生し、また観賞ように庭などに植えられる常緑低木。幹はよく分枝し、高さ約2mになる。葉は楕円形で先がとがり、光沢があり、柔らかである。6~7月、枝の先端に径6~8㎝の高盆状の花を一個つけ、豊潤な香を放つ。花は初め純白で、後に淡黄色になる。基本種は花弁5~7個の一重咲きだが、八重咲きもある。秋に実を結ぶが、熟しても口を開かないので「口無」の名がある。「梔子」は中国名。実は染料や薬用に利用される。●ロマンを誘う芳香が愛され、庭や花瓶に挿され香を楽しまれる。咲き始めの際立つ白さが、次第に色褪せて黄色みを帯てくるさまなども恰好の句材となる。「薄月夜花くちなしの匂いけり 正岡子規」「くちなしの花撒いてあり王の墓 松尾いはほ」「口なしの花はや文の褪せるごと 中村草田男」「今朝咲きしくちなしの又白きこと 星野立子」「驟雨くるくちなしの香り踏みにじり 木下夕爾」「梔子を挿頭閻魔に逢いに行く 野見山ひふみ」「くちなしの花夢見るは老いぬため 藤田湘子」「八重くちなし書くために読む本の嵩 鍵和田柚子」「匂いつつ花くちなしの乱れかな 宮本まさよ」「くちなしの束を深夜に届けたり 和田耕三郎」「くちなしに帰化はるかなる百済仏 田辺すみゑ」「口なしの淋しう咲けり水のうへ 青 蘿」{梔子の花見えて香に遠き距離 八木澤高原」「山梔子の実のみ華やぐ防の垣 貞弘 衛」(梔子の花つややかに今朝の空 ケイスケ)
ササユリ(ユリ科;ユリ属)花言葉は、希少価値。多年草で種類が多く匂いの強いものが多い。観賞用に植えられるもののほか、切り花としては鉄砲百合、カサンブランカなどに人気がある。山野で見る山百合や笹百合の清しさ、鬼百合の野趣、花束にするカサンブラカの風格など、種や品種によって趣きが異なる。6~7月開花の桃、白花。「鬼百合」「小鬼百合」は7月に橙赤色の花を多数つける。鬼百合は葉のわきに珠芽(むかご)をつけ、これでも繁殖する。小鬼百合は百合根を食用とする。純白の花をつける「鉄砲百合」は欧米人を魅了した花。明治の頃から球根が大量に輸出された。他に「透百合」「鹿の子百合」などもある。「くもの糸一すじよぎる百合の前 高野素十」「百合の蕊みなりんりんとふるひけり 川端茅舎」「谷風や花百合そ向きま向きして 阿波野青畝」「笹百合の行く方行く老いにけり 永田耕衣」「食卓の鉄砲百合は素つぽむく 加倉井秋を」「生家なほ三里山中百合涼し 宇佐美魚目」「神の声湧くごと森の車百合 加藤知世子」「百合の香のはげしく襲い来る椅子に 稲畑汀子」「断崖の百合に日暮れの風移る 河野友人」「指してわがものとする崖の百合 橋本美代子」「山霧の引きゆく迅き小鬼百合 星野恒彦」「百合咲いて昼をしずかに富む家ぞ 島屋征良」「たくさんの百合添えて死を頂戴す 正木ゆう子」「風の百合ぶつかりそうでぶつからぬ 須原和男」「瓶に刺す百合は雷鳴のおとうと 四ッ谷 龍」「笹百合の結界に香を放ちけり 大野今朝子」「尼寺や喉ふつくらと百合ひらく 木村日出夫」「告別ミサ百合は異端の匂いもつ 今村潤子」「百合の花家ひろびろと香りけり 黒柳昌子」「ふれもせで百合くずれたり沖縄忌 丹波恵美子」。(立ち上がる 風の百合あり道の駅 ケイスケ)
蛍袋;釣鐘草;風鈴草;提灯花(キキョウ科)花言葉は、正義(世論)。山地の林の縁や道に沿って生える多年草。地ぎわに生える。高さ20~80㎝。全体に粗毛がまばらに生えている。地ぎわに生えるる葉は長い葉柄があり、卵形で縁に鋸歯がある。茎につく葉は長卵形で無柄。6~7月、茎の先端の葉のわきから、先の浅く五裂した、長さ約5㎝の釣鐘形の花が数個垂れ下がって咲く。花色は淡紅紫色または白色。子供が蛍をこの花筒に入れて遊んだところから「蛍袋」の名がある。奥ゆかしい風情でうつむいた姿は、釣鐘にも灯火にも見えロマンがある。「かわるがわる蜂吐出して釣鐘草 島村 元」「蜜月を蛍袋の花で指す 中村草田男」「夕風に蛍袋のひとかたまり 細見綾子」「どどどどと蛍袋に蟻騒ぐぞ 金子兜太」「もごもごと虻ゐるほたるぶくろかな 飯島晴子」「眠くならぬこのごろ蛍袋かな 岡井省二」「ほたるぶくろ重たき光ひとつづつ 山田みずえ」「流人墓ほたるぶくろは白ばかり 神蔵 器」「出たがらずほたるぶくろの中の風 檜 紀代」「蛍袋出てきし蟻の濡れてをり 須原和男」「提灯花要所要所に点る城の径 甲斐遊糸」「夕風に提灯花ややゝ睡し 星野麥丘人」「満月のほたるぶくろよ顏上よ 花谷和子」「山の雨蛍袋も少し濡れ 高田風人子」「をさなくて蛍袋のなかに梄む 野澤節子」「蛍袋に指入れて人悼みけり 能村登四郎」。( 門前の釣鐘草足音聴きて揺れにけり ケイスケ)
石榴(ザクロ科)花言葉は、円熟した優美。小アジアからアフガニスタン原産の落葉低木。最も古くに利用されるようになっタ果樹の一つで、世界各地で栽培される。日本へは平安時代に渡来、本州以西で果樹や庭木などにされる。高さ5~6m。幹に瘤が多い。葉は倒卵形または長楕円形で約4cm、ほぼ対生する。6~7月、枝先に赤い筒状の萼と5~7個の花弁をもつ花が数個咲く、雄蕊が弁化して八重咲きになったものや花色が変わったものは観賞用で「花柘榴」ともいう。中国名「柘榴」、漢名「安石榴」。◎梅雨時に、点るように咲く朱色の花は印象鮮明である。その色から触発されて人生のさまざまな相が詠まれた句が多い。病や生死を詠んだ句も見られる。「若者には若き死神花柘榴 中村草田男」「犇めきて柘榴咲く見ゆ借りを済す 岸田稚魚」「花柘榴咲き天に高熱かがよへり 平井照敏」「花柘榴煌々たれば欺けず 伊藤白潮」「愛をいふならば石榴の花の下 辻田克己」「妻の居ぬ一日永し花柘榴 山口みちこ」「日のくわつとさして柘榴の花の数 小林篤子」「祝歌のどこかが暗し花柘榴 山下千鶴子」「あまだれの賑はひ終わる花柘榴 河井多賀夫」。(愛妻の 繰り言きけぬ 花柘榴 ケイスケ」
オカトラノオ;虎尾草(サクラ草科)花言葉は、優しい風情。「岡虎尾」を指す。山野に生え、切り花や花壇用にも栽培される。高さ60~100㎝、茎は直立し、楕円形の葉が互生ずる。6~7月、茎の先端に高さ10~20㎝の花穂をつける。花は白色で五弁、径1㎝、穂の一方にかたよってつき、穂の先端部は下垂する。花の名はこの穂の姿を虎の尾に見立てたもの。秋に葉は美しく紅葉する。「虎の尾のさきゆらぎもせぬ湖のほとり 今井千鶴子」「虎の尾や防人のみち岬に尽く 岡部六弥太」「虎尾草を摘めば誰もが撫でにけり 小島 健」「掌に承けて虎尾の柔らかき 富安風生」「虎尾草の先青く刎ね子が帰る 飯島晴子」「虎の尾を踏み夜遊びの疲れかな 鈴木六林男」「虎尾草や日の通りみち子が通る 磯貝碧蹄館」「夕紅や虎尾草はまだおさなかり 青柳志解樹」「とらのをの尾の短きへ日が跳ねて 大石悦子」「青年の後ろ虎の尾草の朝なり 加藤青女」。(かげろうに 揺れて白きは 虎尾草 ケイスケ)
蓮華躑躅(ツツジ科)花言葉は、情熱。春から夏にかけて漏斗状の花を咲かせるツツジの総称。各地に自生し、花色は真紅の他に白,淡紅などさまざま。『万葉集』柿本人麿の歌に「つつじ花 にほへ娘子桜花 栄え娘子」とありふるくから日本人に親しまれてきた。山躑躅、霧島、深山霧島。「旅籠屋の夕くれなゐにつつじかな 蓼 太」「十人は居る寺男白つつじ 岡田日郎」「死ぬものは死にゆく躑躅燃えてをり 臼田亜浪」「花びらのうすしと思ふ白つつじ 高野素十」「眦につつじの色かたまれる 上野 泰」「満山のつぼみのままのつつじかな 阿波野青畝」「牛放つ蓮華つつじの火の海へ 青柳志解樹」。マンションの玄関横の蓮華躑躅の花の終末は毎年花弁が敷きつめられて掃除に追われている。(門さきに 風いで来り 蓮華敷く ケイスケ)
姫百合(ユリ科ユリ属)花言葉は、飾らぬ美。ユリ属の総称で、「ゆり」は「揺り」の意で、大きな花が風に揺れ動くことによる。球根が数十個の鱗片でできていので、「百片合成」の意味であると言われている。「万葉集」には、「百合」「由利」「佐由理」「佐山流」などと表記されている。日本には美しい百合が数多く自生するが、どれも球根(鱗茎)から芽を出し、笹の葉に似た葉を互生。花は六弁の漏斗形で、芳香を放つものが多い。園芸品種も多く、切り花は一年中出回るが、花壇などにも植えられる。「山百合」は山地の傾斜地や林縁などに自生、開花期は6~7月、径20㎝以上の大輪で紅や褐色の斑点が入る。「為朝百合=さく百合」はその変種で径30cmにもなる。山野に多い「笹百合」は桃や白花。「鬼百合」や「小鬼百合」は葉のわきに種芽(むかご)をつけ、これでも繁殖する。小百合は百合根を食用とし純白のはなである。「鉄砲百合」は欧米の人々を魅了した花。ほかに「透百合」「姫百合」などもある。「くもの糸一すじよぎる百合の前 高野素十」「笹百合の行く方へ行く老いにけり 永田耕衣」「神の声湧くごと森の車百合 加藤知世子」「百合の香のはげしく襲い来る椅子に 稲畑汀子」「山霧の引きゆく迅さ小鬼百合 星野恒彦」「笹百合の結界に香を放ちけり 大野今朝子」「指さしてわがものとする崖の百合 橋本美代子」「百合の花家ひろびろと香りけり 黒柳昌子」「告別のミサ百合は異端の匂いもつ 今村潤子」。今朝庭お鉢物を見たら鉢の周りに水溜りが出来ていた。不思議に思い裏返すと鉢底を通りこして根が廻っていた。掘り起すのに可なり苦労した。根分けをして他の鉢に分ける。香りの良い花だが、名前を思い出せない。近くの農業公園で調べる事としよう。暖かくなつて植物の成長の早さに驚く。幸いな事に柑橘類はどれも実を結びそううだ。普段の観察不足でした。梅雨時の手抜きが原因であつた。
シモツケ;繍線菊(バラ科)花言葉は、いつかわかる真価。落葉低木で、春咲きの雪柳や小粉団と同じ仲間。アジア原産で、各地の山野に生え、観賞用に庭などに植えられる。高さ1m。互生する葉は長さ5~8㎝の広卵形で両端はとがり、縁に鋸歯がある。5~7月、枝先に径約7㎝の半球形の花序を出し、淡紅色または白色の五弁の花を多数つける。昔の「下野」の国」(栃木県)で発見されたところから「しもつけ」と呼ばれ、漢名「繍線花」があてられる。小花が傘状に群がり咲くさまは、しっとりとした味わいがある。「しもつけの花を小雨にぬれて折る 成瀬正俊」「繍線菊やあの世へ詫びにゆくつもり 古舘曹人」「しもつけに肩ふれらるるも家の角 岡田博充」「繍線菊やえんぴつ書きの母の文 山内八千代」。夏至、二十四節気のひとつ。北半球では太陽がもっとも高く輝くが、日本は梅雨の最中なので実際の日照時間は短い。冬至の日より昼間が4時間50分も長いのだが、過去の統計では、太陽を見る時間は冬至より一時間あまりも少ないという。しかし曇天ながらも日がなかなか暮れないという実感は、この日ならではのもの。黄昏が長い一日である。「夏至夕べ地軸の軋む音すこし 和田悟朗」「山の木の葉音さやかや夏至の雨 鷲谷七菜子」。(雨の中 繍線菊は 濡にけり ケイスケ)(夏至という 寂しき日かな 今日の日は ケイスケ)
ユリ(ユリ科)花言葉は、純愛;淑女。ユリ属の総称。多年草で種類が非常に多い。俳句では普通山百合のことを言う。葉は細長く、平行脈が通っている。細い茎は大形の花を開き、揺れやすいのでユレといっていたものが、ユリに変わったともいう。花弁は3枚、萼も3枚で、いずれも同じ色と形をしているで、花弁が6枚に見える。ギャザーをとった白い花びらには、黄色の中心線が通り、濃い朱色の斑点をちりばめている。むせ返るような芳香がある又花粉は赤茶色でこぼりれゃすい。日本で昔からいわれているものは、笹百合をさす。白い花弁が清らかな鉄砲百合。透かし百合は花びらの元の部分が透いているのでこの名がある。「三つ咲きし鉄砲百合を好みけり 野村喜舟」「断崖を白くし百合の群れ咲けり 山口渡津女」「あら壁に百合の花粉の触れし跡 渡辺茂。(吾が家の 一鉢の百合 蕾けり ケイスケ)