ニツコウキスゲ;日光黄菅;せつていか;禅庭花(ユリ科)花言葉は、日々新たに 心安らぐ人。高原に咲く花として「日光黄菅」の名で知られているが、日光だけではなく、本州中部以北の山地草源などにしばしば群生する。長さ約50㎝の線形の葉が根ぎわから二列に扇形に出る。7~8月、高さ50~80㎝の花茎を伸ばし、その先端に百合に似た橙黄色の花を数個つける。花は径約8㎝、花弁は六個、一日でしぼむ。「禅庭花」「せつていか」の名があるが、その由来は不明。●夏の山地や高原で一面に黄色の絨毯を敷きつめたような大群落に出合うことがある。草原を渡風や夏の楽しさを謳歌した若々しい句も詠める。「日光黄菅咲き初めくま蟹漁期くる 金子兜太」「日光きすげ風の濃淡流れたり 鍵和田柚子」「荷を降ろすニツコウキスゲの風の中 松尾隆信」「日光キスゲとその名覚えてまた霧へ 加藤楸邨」。(茅野の山 黄菅流るる 山遠くなり ケイスケ)
大暑。湿度の高い日本では、気温が30度近くになると大変蒸し暑い。不快指数が80を超えると、ほとんどの人が堪え難く感じる。夜になっても気温が下がらず、寝苦しい熱帯夜となる。昨夜寝ようと思うがあまりの暑さで、室温を見ると33度であった。冷房を27度に設定して暫く様子を見るが、余り変わらないので、冷房を止めて寝る事とした。今朝4時半頃目覚める。結局なにもせずに一夜が過ぎた。暫くはこの生活を続けよう。冷蔵庫の「ポカリスエッㇳ」を飲んで暑さを凌ぐ事とする。「月青くかゝる極暑の夜の町 高浜虚子」「兎も片耳垂るる大暑かな 芥川龍之介」「玉の緒のすがりて耐ふる大暑かな 富安風生」「磯の香と梅雨晴れの日と俄かなる 藤田湘子」。(文明の利器 時には不便を持ち運ぶ ケイスケ)
蓮(スイレン科)花言葉は、清い心。原産はインドで、古く中国から渡来した多年草。池、沼などに生じ、水田に栽培される。長い柄をもった葉は、楯に似た円形となって大きくひろがり、水面が見えぬほどに重なりあう。五、六月ごろ花茎が直立して宝珠の玉のような蕾をかざす。やがて十六弁の淡紅色または白色の大輪で香りの良い花を開く。昼を過ぎる頃にはさっさと閉じてしまう。白い朝もやの中で蓮見をするのも面白い。泥の中に育ちながら濁りに染まらぬ花の気高さは蓮華といって極楽の象徴とされてる。冬に掘り出す根茎が「れんこん」である。「白蓮のあまた咲けど静かなる 水原秋桜子」「蓮の中あやつりなやむ棹見る 軽部鳥頭子」「水走る散華つと見え蓮嵐 皆吉爽雨」「葩を葉に置く風の蓮かな 加藤晩台」「蓮咲いて一羽一羽のごと白し 中川美亀」「蓮の花揺らぐとみれば朝の虻 菊谷由紀子」。(流れゆく 水場の蓮の 匂い満ち ケイスケ)
ペチニュア;衝羽根朝顔.(ナス科)。南米原産の一年草。花言葉は、あなたとなら心が和らぐ。4~10月の花壇を彩る代表的な花。1800年代から盛んに交配が行われ花色は、桃、赤、紫、白、黄色など多彩。花形は朝顔に似た 喇叭形だが、花の大きさは径3~12㎝、一重も八重もある。2004年以降新な新種が発見され、日本でも盛んに改良が行われ、引き続き新種が発表されている。草姿はこんもりと球形に茂るタイプと、茎が這うように伸びて垂れ下がるタイプとがある。ベチニュアだけで埋め尽された花壇やコンテナ、ハンギングバスケッㇳなど都市部でよく見られる。「夕風やベチュニア駄々と咲きつづけ 八木林之助」「ペチニュアの色の豊かさ人疲れ 藤村かつ子」「ベチュニアの色着て街は真昼どき 淡路歌子」。(ぺチニュアの花盛りなる役所前 ケイスケ)
山百合;笹百合;白百合、姫百合、鬼百合、鉄砲百合、鹿の子百合,カサンブラカ。花言葉は荘源。ユリ科の多年草の花で極めて種類が多く、匂いの強いものが多い。観賞用に植えられるもののほか、切り花としては、鉄砲百合の他カサンブラなどに人気がある。いずれも匂いが強い。「百合の花朝から暮るるけしきなり 一茶」「起き上がる風の百合あり草の中 松本たかし」「すくひらく百合のつぼみをうとみけり 安住 敦」「百合さくや海よりすぐに山そびえ 鈴木真砂女」「百合ひらき甲斐駒ケ岳目をさます 福田甲子雄」「むきむきに花粉こぼして卓の百合 奈良鹿郎」「献花いま百合の季節や原爆碑 後藤比奈夫」「仏壇の中の暗きに百合ひらく 菖蒲あや」「百合の香を深く吸ふさえいのちかな 村越化石」「指さしてわがものとする崖の百合 橋本美代子」「折り持て首より動くかのこゆり 松藤夏山」「稚児百合の丈のあはれに揃ひけり 吉田万里子」。(我が家の 百合一鉢 梅雨明けを待つ ケイスケ)
ノーゼンカズラ;凌霄葛(ノーゼンカズラ霄科)。花言葉は、名誉。中国原産の蔓性落葉樹。日本へは平安時代の初期に渡来し、観賞用に庭で栽培される。蔓は長さ10mにも伸びる。葉は対生し、奇数羽状複葉。5~9枚からなる小葉は卵状で先はとがり、縁に粗い鋸歯がある。7~8月、枝先に円錐花序を出し、径約6㎝の漏斗状の花をつける。花冠は橙赤色で先が不規則に5個に裂ける。中国名「凌霄花」●オレンジ色の花が空へ咲きのぼるさまは鮮やかであり、散っても華やぎがある。日盛りに風に揺れる様子は炎を連想させる。少し屈折下心情なども託される。「噴井あり凌霄花これを暗くせり 富安風生」「塵とりに凌霄の花と塵すこし 高野素十」「凌霄に井戸替えすみし夕日影 西島麦南」「凌霄は妻恋ふ真昼のシャンデリア 中村草田男」「凌霄や同じ女が二度も過ぎ 永作火童」「凌霄に吹奏楽のとどろけり 林 徹」「のうぜんや遣りし者ら顏洗ふ 岡本 眸」「のうぜん花少し愛してすぐ忘る 石 寒大」「のうぜんの落ちて人の世焦げくさき 今村妙子」「北目指し男逃げゆく凌霄花 新海あぐり」。(懐かしや 凌霄の花 吾老いて ケイスケ)
コバイケソウ;小梅草(ユリ科)花言葉は遠くから見守つています。中部以北、北海道の高山の湿った草原に群生する。高さ60~100㎝、茎は直立して、広楕円形の葉を互生する。6~8月、円錐花序に小さな白花を多数密集してつける。円錐花序は数個立ち,中心が大きく、周りは小さい。日本のみに自生する特産種で、特に親しまれている高山植物だが、毒草である。同属別種に「梅草」があるが草丈1.5mにもなる大型で、緑白色の花を多数つける。これも有毒植物である。「小梅草あらくさとして花終る 小松崎爽青」「こばいけ草触るゝや泉ほとばしり 新井英子」「小梅草行者白雲まとい来ぬ 岡田日郎」。(美しき 花多けれど 毒花は少し控えあれ ケイスケ)
スカシユリ(ユリ科;ユリ属)花言葉は、注目を浴びる。「ゆり」は「揺り」の意で、大きな花が風に揺れ動くことに由来。「百合」の字は、球根が数十個の鱗片からできているので「百片合成」の意味である。『万葉集』には、「百合」「油利」「佐由利」「佐由流」などと表記されている。日本には美しい百合が数多く自生するが、どれも球根(鱗茎)から芽を出し、笹の葉に似た葉を互生。花は六弁の漏斗形で、芳香を放つものが多い。園芸品種も多く、切り花は一年中出回るが、花壇などにも植えられる。「山百合」は各地の山地の林縁や傾斜地などに自生する。開花は6~7月、径20㎝以上の大輪白花で、紅や褐色の班点が入る。「笹百合」「鬼百合」「鉄砲百合」「小鬼百合]。鬼百合は葉のわきに珠芽(むかご)を付け、これでも繁殖する。小鬼百合は百合根を食用とする。「くもの糸一すじよぎる百合の前 高野素十」「谷風や花百合そ向きま向きして 阿波野青畝」「笹百合の行く方へ行く老いにけり 永田耕衣」「神の声湧くごと森の車百合 加藤知世子」「百合の春のはげしく襲ひ来る椅子に 稲畑汀子」「指さしてわがもものとする崖の百合 橋本美代子」「百合の花家ひろびろと香りけり 黒柳昌子」「告別ミサ百合は異端の匂いもつ 今村潤子」。(庭の百合 蕾をもてり 咲くを待つ ケイスケ)
ハマオモト;浜木綿;万年青;文珠蘭(ヒガンバナ科)関東地方以西の暖地の海岸に生え、栽培もされる。高さ約1m。茎に見えるのは偽茎で、太さ5~10㎝の光沢の円柱状になり、白色の葉鞘が互いに抱きあっている。葉は長さ30~70㎝の光沢のある広線形。7~9月、葉の脇から花茎が伸び、先端に白い六弁花が多数傘状に集まって咲き、芳香を放つ。花名は白い糸状の花が楮の皮を裂いて神事に使う「木綿」に似ていることによる。葉が万年青に似ているので「浜万年青」。◎『万葉集』で柿本人麿が「み熊野の浦の浜木綿」と詠ンだ花である。海辺に咲くため、噴き出すように咲くさまは白波に喩えられ、旅情など、愁いを含んだ句が詠まれることが多い。「浜木綿や濡れし艪櫂を軒に立て 米澤吾亦紅」「浜木綿に流人の墓の小ささよ 篠原鳳作」「浜木綿を兵立つ駅に見たりけり 沢木欣一」「遠のくものよ国生みの山も浜木綿も 金子兜太」「浜木綿の花の上なる波がしら 神尾季羊」「志士の像大いなるかな浜おもと 森田 峠」「漁火に向き浜木綿は海女の花 押尾久美子」「大雨のあと浜木綿に次の花 飴山 實」「浜木綿に大いなる濤きてやさし 村田 脩」「浜木綿も人も大振り島育ち 丹波恵美子」。(浜木綿は 余波の雨にも 逆らいて ケイスケ)
鴇草(ラン科)花言葉は、献身。山地の日当たりのよい湿原に生える野生蘭の一つで草丈15~20㎝、茎は直立する。葉は革質、披針形で長さ4~10㎝、茎に一枚つく。6~8月、頂部に苞葉を出し、花を横向きに一個つける。長さ2~3㎝の小さな花で、半開きする。花色は淡紅色のいわゆる鴇色。鴇(朱鷺)の羽根の色を思わせるので、「鴇草」「朱鷺草」という。「鴇草や唇弁雨に紅濃くす 阿部六弥太」「鴇草の雨は遥かと思いけり 加藤燕雨」「朱鷺草の見上ぐる空の青さかな 神田長春」。(湿原の紅一面に朱鷺飛立り ケイスケ)