『イエスの生涯』 E・ルナン

良い本と巡り会えたことを、神に感謝。


この本は、ルナン著『キリスト教起源の歴史』という大著の導入部を

わかりやすく書き直した普及版の訳である。

1870年に刊行されてベストセラーになった。


このルナンという人は、近代科学で証明されていない

超自然現象は信じないという立場に立っている。

えええ、と思った。

僕にとって、宗教とは超自然のかたまりだったからだ。

いったい、超自然現象抜きに宗教が語れるの？

と訝った。



僕がミサに出席するようになって、一年近くになる。

ミサの途中では、皆んなで使徒信条を唱える。

処女のマリア様がイエスを宿したとか、

イエスが葬られてから3日後に復活した、

とかいったことを頭に摺り込もうとする。

ちょっと苦しい。

だが、これを信じないと異端とされると聞いたので、

現代科学では説明のつかないことが世間にはあるもんだと

自分に言い聞かせる。

もやもやしたものが、心に残る。


そのもやもやを、この本は払拭してくれた。

超自然現象なんて信じなくとも、

キリスト教は素晴らしい。

本質は他のところにある。

別に復活したから偉いんじゃなくて、

愛を説き、神の国を預言したから偉大なんだ。


神の国は心の中にある。

この本を読まなかったら、

僕は信仰の道を誤っていたかもしれない。

奇跡が起こることばかり期待している、

厚かましい信者になっていたかもしれない。


今日から、素直に心と向き合って、人を愛そう。

そして、神に祈ろう。

よき明日を迎えられますように。