不器用な陽一は、仕事もろくに出来なくて、女からいつも振られていた。
寒い雪が降りそうなクリスマスイブ。
近くの店からはクリスマスソングが流れていた。君とは友達として付き合っていたが、今夜なら好きだと言う事を伝えられそうな気がしていた。
君は眠たそうな顔をして、ダボダボの灰色のセーターを着て、白いマフラーをしていた。
「ごめん。急に呼び出して。」
「別にいいけど。どうしたの?」長い袖の中で手と手をすり寄せていた。
「今日は、クリスマスだから君に伝えたい事があるんだ。」
「なんのこと?」少し沈黙があり、行き交う人のにぎやかな声が聞こえていた。
「実は、ずっと好きだったんだ。」出会った時から言いたかった言葉。喉から出なかった言葉。頭でグルグル巡っていた言葉。やっと声に出す事が出来た。
君は、戸惑った顔をして俯いた。遠くから毎年恒例の山下達郎の歌が聞こえて来た。歌と共にピカピカとイルミネーションが輝いていた。
「いきなり言われても。」君は困った顔をした。
「そうだよね。彼氏か何かいるの?」
「うん。一応。」
「そうなんだ。知らなかった。」
「だけど、ありがとう。陽一の事嫌いじゃないけど彼氏がいるから。」
「分かった。好きで好きでどうしようもなかったんだ。気持ちを伝えただけでもよかった。」
「本当にごめんなさい。」君は、一度も振りかえることなく帰って行った。その時、時計の12時の合図の鐘が町中を鳴り響かせていた。サンタクロースも笑っているだろう。恋人にとっては最高の日になるに違いない。家族にとっては素晴らしい日になるだろう。
陽一は、寒空の中で鐘の音を聞きながらイルミネーションの光をずっと眺めていた。
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寒い雪が降りそうなクリスマスイブ。
近くの店からはクリスマスソングが流れていた。君とは友達として付き合っていたが、今夜なら好きだと言う事を伝えられそうな気がしていた。
君は眠たそうな顔をして、ダボダボの灰色のセーターを着て、白いマフラーをしていた。
「ごめん。急に呼び出して。」
「別にいいけど。どうしたの?」長い袖の中で手と手をすり寄せていた。
「今日は、クリスマスだから君に伝えたい事があるんだ。」
「なんのこと?」少し沈黙があり、行き交う人のにぎやかな声が聞こえていた。
「実は、ずっと好きだったんだ。」出会った時から言いたかった言葉。喉から出なかった言葉。頭でグルグル巡っていた言葉。やっと声に出す事が出来た。
君は、戸惑った顔をして俯いた。遠くから毎年恒例の山下達郎の歌が聞こえて来た。歌と共にピカピカとイルミネーションが輝いていた。
「いきなり言われても。」君は困った顔をした。
「そうだよね。彼氏か何かいるの?」
「うん。一応。」
「そうなんだ。知らなかった。」
「だけど、ありがとう。陽一の事嫌いじゃないけど彼氏がいるから。」
「分かった。好きで好きでどうしようもなかったんだ。気持ちを伝えただけでもよかった。」
「本当にごめんなさい。」君は、一度も振りかえることなく帰って行った。その時、時計の12時の合図の鐘が町中を鳴り響かせていた。サンタクロースも笑っているだろう。恋人にとっては最高の日になるに違いない。家族にとっては素晴らしい日になるだろう。
陽一は、寒空の中で鐘の音を聞きながらイルミネーションの光をずっと眺めていた。
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