いつしかに 秋しる年に なりにけり
昨夜、ケベック州選挙の結果、新政府が誕生した。CALQ党ー結成後わずか7年で、まさかのマジョリテで選ばれた。移民問題など自民党より右寄りのタカ派。150年の歴史をもつ前政権PLQ自民党が野党第一党となり、かつて自民党とほぼ交互に政権を担い、野党第一党だったQCケベック党は最下位という歴史的選挙。結成後10年たつQSケベック連帯党という、これまで相手にもされなかった左翼党が大躍進した。既成政党にうんざりした州民は2新党にチャンスを与えた。これからどう展開してゆくのか。
6月の日本里帰り以来、日本で暮らしてるかのように日本語の本を読み、テレビはNHKジャパンを見まくってる。辞典を傍らにフランス語の本を読むのがおっくうになってる。生きてあとなんぼという思いがあり、本なども好きな作家以外は買うのを控えようと思いつつ、ついつい手が伸びて買った本を読みながら、やはり気が向くままにこれからもちょいちょい手を出そう。
神田古本屋巡りしながら永井荷風に手が伸びたのは、音楽評論家の吉田秀和が「おもしろい、夢中になっている」と荷風についてのべていたのがひょいと頭に浮かんだから。そして私も、たるんだ頬に柄杓で水をかけられたかのような、ひさびさに目が醒めるような思いがしてる。
以下、ちょこっと引用
明治44年7月記より
「現代の日本ほど時間の早く経過する国が世界中にあろうか。今過ぎ去ったばかりの昨日のことをも全く異った時代のように回想しなければならぬ事が沢山にある、、、銀座と銀座の界隈とはこれから先も一日一日と変わって行くであろう。丁度活動写真を見詰める子供のように自分は休みなく変わって行く時勢の絵巻物をば眼の痛くなるまでみつめていたい。」
里帰りするたびに感じる日本の変化のめまぐるしさに、明治44年を平成29年に置き換えても遜色ないどころか、荷風がみつめた明治の日本も平成も同じ絵巻物を繰り広げている。
次の文章も、最近私自身思うことでもあり、年をとるにつれ物の見方というのは変容するというか、多様になると言うか、、、
昭和7年3月30日記
荷風が衣食住に困らぬ身分で勝手気ままに暮らしてると言う噂を耳にして
「唯一言したいのは、もしわたくしが父母を養わなければならぬような境遇にあったら、多分小説の如き遊戯の文字をもてあそばなかったという事である。わたくしははやくから文学は糊口の道でもなければ、また栄達の道でもないと思っていた、、、政治を論じたり国事を憂いたるする事も、恐らくは貧家の子弟の志すべき事ではあるまい、、、」
糊口をしのぐために何でも働き、日本への里帰り貯金、半額セールで毛糸を買ったり、球根を買ったりと、ささやかな楽しみの為に日々ケチケチ節約生活(でも楽しい)をおくってる私は、荷風の言動に、うらやましい御身分のデイレッタントですねと片付けられない世界があるのを感じる。名は知れど、一度も読んだことのない、こんな作家がいたんだと目ぱちくりです。
昨夜、ケベック州選挙の結果、新政府が誕生した。CALQ党ー結成後わずか7年で、まさかのマジョリテで選ばれた。移民問題など自民党より右寄りのタカ派。150年の歴史をもつ前政権PLQ自民党が野党第一党となり、かつて自民党とほぼ交互に政権を担い、野党第一党だったQCケベック党は最下位という歴史的選挙。結成後10年たつQSケベック連帯党という、これまで相手にもされなかった左翼党が大躍進した。既成政党にうんざりした州民は2新党にチャンスを与えた。これからどう展開してゆくのか。
6月の日本里帰り以来、日本で暮らしてるかのように日本語の本を読み、テレビはNHKジャパンを見まくってる。辞典を傍らにフランス語の本を読むのがおっくうになってる。生きてあとなんぼという思いがあり、本なども好きな作家以外は買うのを控えようと思いつつ、ついつい手が伸びて買った本を読みながら、やはり気が向くままにこれからもちょいちょい手を出そう。
神田古本屋巡りしながら永井荷風に手が伸びたのは、音楽評論家の吉田秀和が「おもしろい、夢中になっている」と荷風についてのべていたのがひょいと頭に浮かんだから。そして私も、たるんだ頬に柄杓で水をかけられたかのような、ひさびさに目が醒めるような思いがしてる。
以下、ちょこっと引用
明治44年7月記より
「現代の日本ほど時間の早く経過する国が世界中にあろうか。今過ぎ去ったばかりの昨日のことをも全く異った時代のように回想しなければならぬ事が沢山にある、、、銀座と銀座の界隈とはこれから先も一日一日と変わって行くであろう。丁度活動写真を見詰める子供のように自分は休みなく変わって行く時勢の絵巻物をば眼の痛くなるまでみつめていたい。」
里帰りするたびに感じる日本の変化のめまぐるしさに、明治44年を平成29年に置き換えても遜色ないどころか、荷風がみつめた明治の日本も平成も同じ絵巻物を繰り広げている。
次の文章も、最近私自身思うことでもあり、年をとるにつれ物の見方というのは変容するというか、多様になると言うか、、、
昭和7年3月30日記
荷風が衣食住に困らぬ身分で勝手気ままに暮らしてると言う噂を耳にして
「唯一言したいのは、もしわたくしが父母を養わなければならぬような境遇にあったら、多分小説の如き遊戯の文字をもてあそばなかったという事である。わたくしははやくから文学は糊口の道でもなければ、また栄達の道でもないと思っていた、、、政治を論じたり国事を憂いたるする事も、恐らくは貧家の子弟の志すべき事ではあるまい、、、」
糊口をしのぐために何でも働き、日本への里帰り貯金、半額セールで毛糸を買ったり、球根を買ったりと、ささやかな楽しみの為に日々ケチケチ節約生活(でも楽しい)をおくってる私は、荷風の言動に、うらやましい御身分のデイレッタントですねと片付けられない世界があるのを感じる。名は知れど、一度も読んだことのない、こんな作家がいたんだと目ぱちくりです。
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