指輪を探して
ある日の朝、釜山の影島区庁環境管理課に勤務するキムジュンギルに1本の電話がかかってきました。
電話をした人は中年のおばさんでした。彼女はとても慌てて泣きながら言いました。
「子供たちが誕生日のプレゼントにくれたオバールの指輪を探して下さい。あの、、、私が間違ってゴミ箱に捨ててしまって、、」
うっかり捨ててしまった指輪を探しに行った時は、すでに清掃車が行った後だったと言いました。
「私には命よりも大事な指輪です。どうか探して下さい。お願いします。」
公務員としての責任感を感じたキムジョンギルさんは指輪を探す方法を考えました。
「清掃車が毎日10時にゴミを収集して翌日の明け方に焼却場に行って燃やすから、、、。ウン、そうだ、まずこの地域の清掃車の担当に連絡をすればいいな。」
もしかしたらという期待感で清掃車を運転する運転手に連絡を取りました。彼はキムジョンギルさんに事情を聞き、リサイクル品選別所に車を回すと言いました。それから本格的な指輪を探す作戦が始まったのでした。
デパートの包装用の紐で袋の口を縛った10リッターのゴミ袋、それが唯一の手がかりでした。
「ここにもないし、これでもないし、あ、、一体どこにあるんだ。見つけないとならないのに。」
匂いがして汚いゴミの山を一生懸命かき分けていくこと1時間、その時、キムジュンギルさんが声を上げました。
「あった。あった。指輪を見つけた。」
指輪を探してくれと電話をしたおばさんも、わらにもすがる思いで頼み、まさか見つかるとは思いもしないでいたのでした。半分あきらめていたおばさんは、指輪が見つかったという知らせにうれしくて飛び上がりました。
「私のせいでゴミの山で苦労なさったでしょ。これで何か飲み物でも買って召し上がってください。」
「いいえ。このようなことをしないで下さい。当然なことをしたまでです。おばさんがそんなに喜んでくれて苦労した甲斐がありました。ははは、、」
住民と町のために汚い仕事も厭わないキムジュンギルさんと環境美化員たち、彼らの善行のおかげで、おばさんはなくした指輪と共に、人に対する信頼を胸に刻むことができました。