退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 7

2015-07-11 07:13:14 | 韓で遊ぶ


500ウォンの鶏の丸焼き
妹と私は双子の姉妹です。
10年余り前、私たちが7歳のまだ幼い頃のことです。その頃、私たちは母から1日にもらうお小遣いは500ウォンでした。
「わあ、お小遣いありがとう。おかあさん。へへへ。」
500ウォンは、店で棒つきのキャンディひとつがやっと買って食べられるぐらいのお金でした。それでも私たちにはこの上なく価値のあるお金でした。
「私の500ウォンで飴を買って、お前のは貯金しよう。」
「うん、おねえちゃん。」
私たちは500ウォンでおやつも買って、豚の貯金箱に貯金もしました。ところが、母がちょっと外出した時のことです。
私がちょっと昼寝をしている間に妹が鶏の丸焼きを頼んだから食べようと起こしました。
「ねえちゃん、鶏の丸焼き食べよう。」
鶏の丸焼きという言葉にパッと起きた私は、夢うつつのまま、もぐもぐ食べ始めました。頬がはちきれるほどにがつがつ食べていたその時、外出から帰った母が、びくっと驚きながら聞きました。
「お前たちこれはいったい、どうしたの。」
怖くなった私が目をぱちくりしていると、妹が言いました。
「お母さんがくれた500ウォンで私が配達を頼んだの。」
500ウォンで鶏の丸焼きをひとつ頼んだという話に、母は顔が白くなり慌てて配達を頼んだ店に電話をかけました。そして電話が終わると財布を持ってあたふたと外に飛び出していきました。
お店に行った母が代金を出しながらお詫びをすると、店の主人が気にしないでと笑いました。
「子供が鶏の丸焼きの代金だと500ウォンをくれた時、はじめは慌てました。ですが、幼い子供が知らないでしたことに怒ったらいけないようで。何千ウォンかのお金で子供が傷ついたらいけないじゃないですか。だからただ500ウォンを受け取って帰りました。お母さんが来て払ってくれて、私も損害を受けた訳ではないので気にしないで下さい。」
「ええ、、でも、すみません。子供が知らずに、、、。」
店の主人の寛大な配慮に深い感謝を感じた母。もし、その時、店のおじさんが、訳がわからずに鶏の丸焼きの代金だといって500ウォンを出した妹を厳しく叱ったらどうなっていたでしょうか。
妹は幼い心に傷を受けて、もしかしたら大人に対する悪い印象を持つことになったかもしれません。妹の失敗を広い心で理解してくれたおじさんに感謝します。
コメント
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