長寿の秘訣
放送局の製作陣が、景色がよく空気の澄んだある田舎の村に行きました。
わが国の最高齢のおばあさんを取材するためでした。製作陣は、まずおばあさんの食生活を注意深く調べました。おばあさんの健康の秘訣が高価な補薬や栄養価の高い食物にあると考えたからでした。しかし、いざおばあさんの食卓を見ると、当惑感を隠すことができませんでした。
「おばあさん、毎日の食事をこうやって食べているのですか。」
「そうとも。麦飯と味噌汁が消化にとてもいいんだよ。」
麦飯と香りのいい味噌汁にナムルが数種。田舎でよく見ることができる簡単で素朴な食卓でした。食生活に変った特異点を見つけることができなかった製作陣は、折りよく村の会館で開かれた老人の集まりに、おばあさんについて参席することになりました。白髪頭の老人たちとおばあさんは、たくさんのご馳走を食べながら楽しい時間を過ごしました。
まさに、その時でした。製作陣の目におばあさんの独特な行動が捉えられました。
ご飯を一口食べてはおいしいと叫び、汁を一口飲んでは旨いというおばあさんは、まるで合いの手を入れるように言葉を繰り返しました。
「あ、おいしい。これも旨いし、あれも旨い。」
おばあさんの感嘆詞が出るたびに、あちこちから笑いがあふれ、ご馳走を作った人もおばあさんのおいしいという言葉に満足しました。食事が終わってお茶を飲む時間にも、おばあさんの神妙な感嘆詞は終わり無く飛び出しました。
「お、面白いね。面白い。とってもいいよ。ははは。」
楽しく手を叩きながら相手の話を聞くおばあさんを見ながら、製作陣はポンとひざを打ちました。
「そうだ、これだ。これが長寿の秘訣だった。」
おばあさんの長寿の秘訣を見つけた製作陣は満足した顔でその場を去り、放送局に向いました。
褒めるおばあさんとして人々に笑いをプレゼントし幸せにするおばあさん。こんな肯定的な心が、おばあさんの体と心を守ってくれる健康の根源であり、最高の補薬だったのです。
