好きな音が見つかりました
ヨイド中学校にはソウル市内の中学校の中で、唯一、弱視の学級があります。
正に私が担任を受け持っているクラスです。学生は二人だけ。男子学生と女子学生が仲良く一人ずつです。二人共にメガネではダメなほど視力が弱く本を読むことさえ大変です。
子供たちとの初めての出会いを私は忘れることができません。
子供たちが私に初めて話した言葉がとても衝撃だったからです。
「先生、ドアを閉めないで入ってきましたか。そうしたら他のクラスの子供たちが覗いて見ます。」
障害のある自分たちと一般学級の子供たちとの間に線を引き、心の鍵をかけて閉ざした子供たち。
特に男子学生のウノは固く閉ざしていました。視覚障害3級であるウノは、手探りして歩く自分の姿を、他の子に見られるかと休み時間にも教室から出ず、学校の食堂があるのに教室で一人で弁当を食べたりしました。だんだん視力が悪くなるウノに、私は小さいけれど明るい希望を与えたいと思いました。まずはウノと親しくなるために、いつも対話を試みました。
愛と関心が恋しかったのか、ウノは意外に私の差し伸べた手を歓迎しました。ウノは少しずつ心の雲を払いだしました。他の人たちには秘密だといって少し前からサックスフォンを習い始めたと言いました。
ウノは一般学級の子供たちの前に立つのが恥ずかしかったのですが、反面、その子達と仲良く遊ぶのが夢でした。私はウノの願いをかなえてやるために、弱視のクラスと一般のクラス間の1対1ペア活動を推進しました。
ペアの子と一緒に公演を見て、誕生日のプレゼントを交換する行事でした。
ウノに自信感を与える機会としては、校内合唱大会を利用しました。ウノは全校生の前でサックスフォンの演奏をすることになりました。舞台に上がったウノは息を整えて演奏を始めました。ウノが作った美しい旋律は子供たちの心を粛然とさせました。
すばらしい演奏が終わると全校生の熱い拍手喝采がウノに注がれ、ウノの顔にははじめて花のような笑みが浮かびました。自分の誕生日でもあったその日、ウノは自信感というとても大切な贈り物をもらいました。
「先生、僕、今日、好きな音が見つかりました。人々が私に向って送ってくれる拍手と歓声です。それは私が今まで聞いた人生で最高の音でした。」
私と共にした1年の間、世の中に向けて声を出すことを学んだウノ、心の中に傷があるすべての人たちが、ウノのように世の中と通じることができる鍵を見つけることができればいいと思います。