心の目で見れば
大邱、達西区にある公園では1週間に2回、疎外された人々のための無料給食が行われています。
無料給食は他の場所でもよく目にすることのできる風景ですが、じっと見ているとすぐに違う点を発見することができます。奉仕活動をしている人たちが皆、視覚障害者だという点です。
援助を受けなければならない立場であるにもかかわらず、人を助けようというこの人たちは「愛の芸術団」の人たちです。無料給食をする前にも、この人たちは老人ホームに行って寂しいお年寄りのために公演を開きました。どうせなら、もっと多くの人々に愛を伝えようという意味で、無料給食を始めることになりました。
今までの3年間バチや太鼓を持っていた手で、これからは包丁を持って、まな板を叩くことになったのです。食材にかかる費用は、街頭で公演して集めたお金と要請を受けて演奏していただいた収益金でまかないました。今でこそ、あちこちから援助をもらっていますが、はじめは人々の目がそんなに甘くはありませんでした。
「目も見えないのに無料給食をするとは、、、食事を作れるのかどうかわからないね。」
人々の厳しい言葉に傷ついてあきらめようとも思いました。ですが、がんばって決心しました。自らの手で作った暖かいご飯で隣人の寂しい気持ちを暖かくすることができたならば、それもまた感謝することだと思ったからです。
「やっぱり、食事は何と言っても手作りの味よ。」
見えないので格好はどうかわかりませんが、味だけは自信があると自負する「愛の芸術団」の仲間達。その人たちの真心がこもった食べ物はすぐにうわさになり、今は給食の日になれば、数百人の人々が公園に押し寄せる珍風景を演出しています。
「おじいちゃん、たくさん食べてくださいね。」
「ありがたいね。ご馳走さん。」
「おいしく食べていただいて、私たちの方がありがたいです。」
「愛の芸術団」の仲間の隣人に対する愛は給食で終わりません。無料給食が終わるとすぐに即席の公演が始まります。楽しいサムノリで興をそそり、美しい振りで雰囲気を盛り上げて、、、疎外された人々の虚しい心を誰よりも良く知っているので、より興が沸くように公演します。心の目で見るとこの世の中は美しく暖かいことを、私たちに体をつかって確認させてくれています。