《ニュース》

アメリカの生成人工知能(AI)より"格安"でつくったと主張し、アメリカの株価を急落させた中国の新興企業「ディープシーク」をはじめ、中国AIの発展が著しくなった背景について、「アメリカが育て上げたのではないか」という指摘がアメリカで起きています。

 

《詳細》

中国経済の分析に特化したデジタルメディア「ザ・ワイアー・チャイナ」はこのほど、ディープシークの登場により、「AI分野でのアメリカの中国に対する優位性の想定や(AI半導体大手の米)エヌビディアをはじめとする大手企業の価値を一変させた」とした上で、対中投資を制限するなどして「中国の進歩を阻止しようとするアメリカの努力にもかかわらず、(中国のAIは)近年急速に成長している」と伝え、ディープシークの成功はまぐれではないといいます。

 

同メディアはその根拠として、中国AI界を代表する起業家や科学者、政策立案者ら52人のうち、約半数が欧米で大学院教育を受け、16人が米中のいずれかで米マイクロソフト社に勤務した経験があると指摘。さらに、中国AI企業の22社のうち、8社が人民解放軍との協力やウイグル弾圧に関与しており、アメリカから制裁を受けていると分析しています。

 

具体的には、中国・清華大学スマート産業研究院院長の張亜勤氏は、マイクロソフトのグローバル副社長に就任していました。近年、注目を集める新興企業「階躍星辰(StepFun)」の最高経営責任者・姜大昕氏も、マイクロソフトに16年以上勤務。中国の検索大手・百度(バイドゥ)の最高技術責任者である王海峰氏に至っては、日本の東芝の研究開発センターで働いていた──など、西側諸国のノウハウが中国に移植され、中国AIが急成長した可能性が指摘されています。

 

ディープシークをめぐっては、利用者のログイン情報などが中国側に送信される恐れが浮上したことなどを受け、米下院議員2人が政府機関での使用を禁じる法案を提出するなど、ディープシークを包囲する動きが強まっています。

 

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