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仏教経典に基づいて悩み相談に回答できるよう京都大学の研究チームが開発した自動会話システム「ブッダボットプラス」を、ブータン王国の仏教界が導入することとなりました。

 

《詳細》

ブータンはチベット仏教が国教ですが、若者の仏教への関心が低下しつつあることを危惧し、「ブッタボットプラス」の導入を進めるといいます。2025年度には国立の寺院などで100~200人の僧侶が試験的に利用し、ガイドラインを策定。26年度以降は僧侶の一般利用を開始し、市民にも利用を広げるかどうかを議論するとしています。

 

京大の研究チームが「ブッダボット」の開発を始めたのは2021年のこと。寺院の消滅が進む中、仏典に基づき人々の悩みや社会問題への回答を打ち出すシステムの開発で、「幸せになるための教え」という本来の役割を取り戻し、仏教の原点に戻ることを目指したといいます。

 

この会話システムは、原始仏典の仏陀と弟子たちの問答を大量に学習させ、悩みに応じてAIが選んだ回答を示すものです。仏典の言葉だけでは分かりにくいという問題があり、文章そのものをゼロから作らせる生成AIも検討したものの、「それでは仏教ではなく、AI教になってしまう」と断念。そこで仏教経典の引用に、対話型AI「チャットGPT」による経典の解説や説明を表示する「ブッダボットプラス」を開発しました。

 

開発チームの熊谷誠慈教授は、「例えば、『多額のお布施をすれば極楽に行ける』というフェイク情報をAIに学習させるようなことは避けなければいけない」「ブッダ特有の厳格な言葉も多く、精神的に追い込まれた人に追い打ちをかける恐れもある」といった課題も挙げています(2023年8月28日付毎日新聞)。

 

仏教界での応用においては、「僧侶の説法の質やスキルの向上が期待できる」などが指摘されていますが、ここには大きな問題が潜んでいます。

 

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