ナラ枯れ蔓延の原因は里山放置等気候変動と無縁な環境要因の変化 森林総研の新研究
農業情報研究所(WAPIC) 意見・論評・著書等紹介
こちらの解説でも、大径木化による被害の増大を指示する結果に異議を唱えています。
森林総研の研究では、ナラ枯れの原因として、①南方系のカシノナガキクイムシが温暖化等により分布を北上し被害を拡大させた、②ナラ類が燃料として利用されなくなって、本種の寄生に適した大径木が増えたことなど環境条件の変化によって大発生しやすくなった、という2つの仮説をカシノナガキクイムシの系統解析を行うことにより、被害拡大の要因を検討したものです。
結論として、①が否定され、たぶん②が大きな要因であろうという結論になっています。
しかし、このサイトではこの結論に対し、『大径木は昔からいくらでもあった。それでも大発生はなかった。この事実はどう説明するのだろうか』と疑問を投げかけています。
やはり「里山放置説」に対して異議を唱えているわけです。
前の記事の内容と関連して考えると、「里山放置説」は政治的に利用しやすかったのではないかと勘ぐってしまいます。
○独立行政法人森林総合研究所プレスリリース
平成23年1月31日
ナラ枯れは「地元」のカシノナガキクイムシが起こしている -遺伝子解析が示すナラ枯れ被害拡大の要因-
Genetic structure of the oak wilt vector beetle Platypus quercivorus: inferences toward the process of damaged area expansion
農業情報研究所(WAPIC) 意見・論評・著書等紹介
こちらの解説でも、大径木化による被害の増大を指示する結果に異議を唱えています。
森林総研の研究では、ナラ枯れの原因として、①南方系のカシノナガキクイムシが温暖化等により分布を北上し被害を拡大させた、②ナラ類が燃料として利用されなくなって、本種の寄生に適した大径木が増えたことなど環境条件の変化によって大発生しやすくなった、という2つの仮説をカシノナガキクイムシの系統解析を行うことにより、被害拡大の要因を検討したものです。
結論として、①が否定され、たぶん②が大きな要因であろうという結論になっています。
しかし、このサイトではこの結論に対し、『大径木は昔からいくらでもあった。それでも大発生はなかった。この事実はどう説明するのだろうか』と疑問を投げかけています。
やはり「里山放置説」に対して異議を唱えているわけです。
前の記事の内容と関連して考えると、「里山放置説」は政治的に利用しやすかったのではないかと勘ぐってしまいます。
○独立行政法人森林総合研究所プレスリリース
平成23年1月31日
ナラ枯れは「地元」のカシノナガキクイムシが起こしている -遺伝子解析が示すナラ枯れ被害拡大の要因-
Genetic structure of the oak wilt vector beetle Platypus quercivorus: inferences toward the process of damaged area expansion
「温暖化の議論をしてもナラ枯れ対策は進まない」 里山放置説への疑念
農業情報研究所(WAPIC) 意見・論評・著書等紹介
最近進行しているナラ枯れ被害は、「里山放置説」が有名です。
つまり、ナラ類は新炭木として管理されていたたため、それほど大径木にはならなかったのですが、近年里山が放置され、コナラの大径木が増えたため、カシノナガキクイムシによる被害が目立つようになったというものです。
しかし、このサイトでは「里山放置説」に異議を唱えています。
『里山放置説にも一理はある。しかし、西日本はいざ知らず、筆者が直接見聞する新潟から東北にかけて蔓延するナラ枯れの大部分は、今も昔も、おそらくはマタギぐらいしか立ち入ることがなかった、急峻な岩山も含む「奥山」で起きている(下の写真)。これは里山放置説でどう説明するのだろうか。こういうところには、昔から「大径木」がいくらでもあった。ナラ枯れもあったかもしれない。しかし、ナラ枯れの「蔓延」はなかった。ついでに言えば、今も白神山地や八甲田、岩木山の山中や谷を歩けば、ミズナラの大木にいくらでも出会うことができるが、未だナラ枯れの蔓延は見られない。里山放置説の強調には政治的意図さえ感じられる』
『ナラ枯れ蔓延の原因を完全に突き止めるのは難しい。従ってナラ枯れ蔓延を食い止めるのも難しい。しかし、里山放置説の偏重は、これを一層難しくするだけだろう』
農業情報研究所(WAPIC) 意見・論評・著書等紹介
最近進行しているナラ枯れ被害は、「里山放置説」が有名です。
つまり、ナラ類は新炭木として管理されていたたため、それほど大径木にはならなかったのですが、近年里山が放置され、コナラの大径木が増えたため、カシノナガキクイムシによる被害が目立つようになったというものです。
しかし、このサイトでは「里山放置説」に異議を唱えています。
『里山放置説にも一理はある。しかし、西日本はいざ知らず、筆者が直接見聞する新潟から東北にかけて蔓延するナラ枯れの大部分は、今も昔も、おそらくはマタギぐらいしか立ち入ることがなかった、急峻な岩山も含む「奥山」で起きている(下の写真)。これは里山放置説でどう説明するのだろうか。こういうところには、昔から「大径木」がいくらでもあった。ナラ枯れもあったかもしれない。しかし、ナラ枯れの「蔓延」はなかった。ついでに言えば、今も白神山地や八甲田、岩木山の山中や谷を歩けば、ミズナラの大木にいくらでも出会うことができるが、未だナラ枯れの蔓延は見られない。里山放置説の強調には政治的意図さえ感じられる』
『ナラ枯れ蔓延の原因を完全に突き止めるのは難しい。従ってナラ枯れ蔓延を食い止めるのも難しい。しかし、里山放置説の偏重は、これを一層難しくするだけだろう』