きのこ ゼミ ブログ

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ウスバタケによる真菌症

2006年01月22日 | きのこ ゼミ
◆ウスバタケによる真菌症
    2006年1月22日 きのこゼミから


オーストリアで白血病治療中の少女(9歳)の肺から菌が分離された。
白色の気中菌糸で成長し、厚膜胞子もクランプコネクションもつくらず子実体も形成しない。
rRNAのITS領域の解析結果をGenBankのデータベースと比較することにより、ウスバタケ(Irpex lacteus Fr.)であると推定できた。
さらに、標本3点および保存菌株、野生株のITS領域の比較の結果は、ほぼ100%の類似性を示した。

過去に、真正担子菌による病例としては、スエヒロタケとウシグソヒトヨタケの例が報告されているが、本報告はウスバタケによる初めての症例である。

治療法としては、アンフォリシンBの投与により完治した。

The polypore mushroom Irpex lacteus, a new causative agent
of fungal infections
W. Buzina, C. Lass-Förl, G. Kropshofer, M. C. Freund and E. Marth
J. Clin. Microbiol. 43: 2009-2011 (2005)

アイスマンニュース

2006年01月16日 | きのこ ゼミ 情報メール
◆アイスマンの呪い? 伊の凍結ミイラ、関係者7人死亡
 asahi.com 2006年01月12日
 http://www.asahi.com/international/update/0112/003.html
        (きのこゼミ情報メール 1月16日配信)

アイスマンとは、アルプスで発見された約5400年前のミイラ、別名エッツィ、のことです。
きのこゼミ情報メールでは、アイスマンがキノコを持っていたこと、おそらくそれらは薬用として使用されていたということを紹介しました。

しかし、最近このアイスマンについて、呪いのうわさが立っています。
以下、asahi.comの記事から

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 イタリア北部のアルプスで発見された約5300年前の凍結ミイラに関係した7人が次々と死亡し、「アイスマンの呪いではないか」などと伊メディアが報じている。この男性ミイラは伊北部ボルツァーノの考古学博物館で公開されているが、宗教関係者らからは「発見場所へ戻し、手厚く葬った方がいい」との声も出ているという。

 ミイラは91年9月、イタリアとオーストリアの国境にあるアルプスの氷河で見つかった。冷凍されたミイラとしては世界最古という。弓矢に当たって死んだとみられており、「他の狩猟者に撃たれた」「戦死した」などの説がある。保存状態が良く、世界中の学者らの関心を集めた。
「エッツィ」と名付けられたが、「アイスマン」と呼ばれることが多い。

 ANSA通信などによると、最初に亡くなったのは、オーストリア人法医学者のライナー・ヘンさん(当時64)。発見した時に素手でミイラを遺体の保存袋へ入れた人物で、93年に交通事故にあった。ヘンさんを現場へ案内した登山家のクート・フリッツさん(同52)も同じころ、雪崩に巻き込まれて亡くなった。同行していた登山仲間で亡くなったのは、フリッツさんだけという。

 3人目は発掘を撮影したオーストリア人のカメラマン(同47)で、04年8月に脳腫瘍(しゅよう)で死亡した。その2カ月後には、最初の発見者の登山家ヘルムート・ジーモンさん(同67)がオーストリア山中で遺体で見つかった。滑落死とみられる。発掘チーム長だったドイツ人男性(同45)は、ジーモンさんの葬儀に参列した数時間後に心臓発作で亡くなったという。

 6人目は昨年4月、多発性硬化症の合併症で亡くなったオーストリア人考古学者(同55)。インスブルック大のアイスマン研究室長だった。同年10月にはオーストラリアの学者トム・ロイさん(同63)が、自宅で遺体で見つかった。遺伝性の血液病が死因とみられるが、アイスマンのDNAに関する本の出版を間近に控えていたため、メディアは「呪い?」などと一斉に書き立てた。

 ミイラがある博物館は、温度や湿度が氷河と同様に保たれ、来館者は小窓からのぞく形で見ることができる。

参考URL:
http://stella.cocolog-nifty.com/starchartlog/2005/03/iceman.html


「菌類・細菌・ウイルスの多様性と系統」

2006年01月16日 | きのこ ゼミ 情報メール
◆菌類・細菌・ウイルスの多様性と系統
 バイオディバーシティ・シリーズ 4
 杉山 純多 (編) (2005) 裳華房    


《佐野書店の情報メールから》

広義の菌類(プラス原核生物)の世界を最新の情報で概観できる、日本語で書かれたすぐれたテキストです。菌類にご興味のあるすべての方にお勧めです。

まえがきから(抜粋)
本書の主目的は、生物多様性研究や系統分類学の現代的視点から、非細胞性のウイルスも含め、地球のさまざまな環境に住む微小生物の世界を平易に紹介することにある。

5部構成からなっている。
第1部は総論で、細菌と菌類を系統研究の発展を跡づけながら概説する。

第2部は、菌類についての各論に相当し、菌類多様性を八つの章に分け、各分担執筆者に最新の知見を基に概説をお願いした。

第3部では菌類群ごとの生物学的特徴を可能な限り最新情報を基に体系的に紹介する。

第4部は原核生物の分子系統・生態進化や生命の初期進化時代に関する最新の仮説、さらにバクテリア・アーキア両ドメインの主要分類群の特徴などを紹介する。

第5部は、ウイルスの特性・構造・分類・進化などを解説する。

(巻末には形態レベルによる分類にも配慮しながら、分子系統学的知見を重視して体系化した広義の菌類分類表があり参考になります)