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ショウロで松林に元気を 和歌山県林業試験場

2011年04月30日 | きのこ情報
ショウロで松林に元気を 和歌山県林業試験場
紀伊民報 2011年04月21日

 松林を元気にする研究が和歌山県林業試験場(上富田町生馬)で行われている。健全な松林に発生するというキノコ「ショウロ」に着目し、ショウロ菌が定着しやすいクロマツの苗木開発に取り組んでいる。昨秋から試験場内でショウロの発生が相次いでおり、試験場は「人為的な菌の接種で定着することが確認された。今後、住民と協力して松林で実地調査したい」と話している。

 松林の潮風防止能力は高く、広葉樹林の約10倍と言われている。奥行き200メートルあれば98%の潮風を防ぐことができるという。

 同試験場は5年計画で、白浜町中区の住民らと協力して松林の保全に取り組み、ショウロの研究を続けている。2011年度が最終年度となる。中大浜の松林では地元住民が腐葉土の除去や落ち葉かきなどショウロが生えやすい環境を整え、09年2月から毎年ショウロが生えるようになるなど、成果を上げている。美浜町の煙樹ケ浜でも同様の取り組みをしている。

 これと並行し、同試験場では松林でショウロ菌を定着させるため、ショウロ菌を付けたクロマツの苗木をポットで栽培。松食い虫に強い抵抗性のあるクロマツを選び、県内産のショウロが溶けた胞子液、培養した菌糸をそれぞれ使って接種方法や根の処理方法、土などを変えて実験している。条件が違う11種類の苗木をポットで約1年間育て、試験地に植栽して観察している。

 この結果、10年11月に初めてショウロが発生。その後も次々と発生が確認されている。最も発生量が多かったのはクロマツの根を洗浄・剪定(せんてい)して殺菌砂に植え、胞子液をかけたものだった。

 同試験場は「特殊な技術を必要としない育苗方法の開発で、誰でも簡単に利用できるようになる。さらにショウロが健全度の指標となって保全活動に弾みがつく」と話している。

 ショウロ(松露) 直径2~3センチの球形。マツタケなどと同様、木の根と共生するのが特徴。ショウロはクロマツからアミノ酸や糖類などの養分をもらい、逆にクロマツに水分とミネラルなどを与えて元気にしているという。若いものは白く、成長したものは淡黄褐色になる。傘と茎の区別はなく、“日本のトリュフ”とも呼ばれる。

菌根菌と放射性物質について

2011年04月28日 | 大地震
菌根研究会のHPに以下のようなコメントが掲載されていましたので、紹介させ
ていただきます。

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菌根菌と放射性物質について

 この度の大地震で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災に端を発した福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故により、広範囲への放射性物質の拡散が確認されている。影響を受けた地域で生産された野菜等の出荷制限がなされるなど、既に農産物・食品にも広範囲への影響が出始めている。文部科学省が公表している情報からも、今後も予断を許さない状況が続くと思われる。さらに4月4日には放射性物質に汚染された水の海洋放出が開始され、海洋生態系への影響も懸念されている。

 1986年に発生した旧ソビエト連邦(現ウクライナ共和国)のチェルノブイリ原発の炉心火災に伴い大量の放射性物質が広域に飛散した結果、原発周辺のみならず、1000km以上離れたスウェーデンでも深刻な高レベルの土壌放射能汚染を生じた地域があり、それから20年以上を経過した時点でも高濃度の土壌汚染は続いている。放出された放射性核種中でも137Csの半減期は30.2年であることから、現在も継続的な調査研究が行われている(Mascanzoni 2009)。

 きのこ類には137Csをはじめ、放射性物質を蓄積しやすいものがあり、とりわけチェリノブイリ事故の影響を受けた地域で採取されたきのこ類(特に菌根性きのこ)からは、日本の食品衛生法の暫定基準を大幅に超える137Csが検出されて輸入禁止となった例がある。ただし、栽培きのこか野生きのこか、さらに前者では施設栽培か露地栽培かによって、放射能汚染の程度が大きく異なる。そのため、冷静な対応が強く求められる。

 今後、きのこ生産が直面する風評被害を最大限食い止めるとともに、消費者に安全で安心なきのこ類を届けるためには、放射性物質による汚染状況を正確に把握し、科学的に安全な範囲をしっかりと定めていく必要がある。放射性物質のきのこへの影響の把握は緊急を要するため、今回一報として、2008年に公表された過去の知見を集約した情報を提示する(Duff & Ramsey 2008)。今後、最近の情報を追加していく予定である。

 被災地の復興,災害に遭われた方々の1日も早い回復を願います。

○Accumulation of radiocesium by mushrooms in the environment: a literature review
 Duff MC, Ramsey ML (2008) J Environ Radioact 99: 912-932

○文中引用:Long-term transfer of 137Cs from soil to mushrooms in a semi-natural environment
Mascanzoni D (2009) J Radioanal Nucl Chem 282:427-431

※ 参考データとして、Duff & Ramsey 2008より引用したチェルノブイリ事故後にきのこから検出された放射性セシウムのデータ(有志により日本語化されたPDFファイル)も掲載されています。
 見応えのあるデータです。
 http://jmrs.ac.affrc.go.jp/mailinglist/FNC2011/data_table.pdf

きのこ情報 4月9日

2011年04月23日 | きのこ情報
4月9日 京都市内

トガリアミガサタケ

 例年、ここへアミガサタケ(いわゆるyellow morel)を探しに来るのですが、今年はまだアミガサタケが発生しておらず、まだトガリアミガサタケ(black morel)が発生していました。
 しかも、大量。
 この場所ではトガリアミガサタケをそれほどたくさん採ったことがなかったので驚きました。
 来年からの楽しみが増えました。
 もちろん場所は秘密です。
 公開を遅らせたのも、もちろん場所を知られないためです。あしからず。

 なお、結局今年はアミガサタケは採れませんでした。
 入れ替わったかな?


日本きのこ学会から厚生労働大臣宛に質問状

2011年04月19日 | 大地震
日本きのこ学会から厚生労働大臣宛に質問状

 4月14日付毎日新聞朝刊に掲載された「シイタケ出荷を停止」の記事中に事実と異なる厚生労働省の見解が示されました。このことに関して、日本きのこ学会は「質問状」を厚生労働大臣に提出いたしました。(2011年04月18日)

厚生労働大臣への質問状の提出について

 『4 月14 日付毎日新聞朝刊に掲載された「シイタケ出荷を停止」の記事中に,きのこの風評被害を助長するような厚生労働省の見解が示されました.このことに関して,日本きのこ学会は下記のような「質問状」を厚生労働大臣に提出いたしました.』

                   記

                       2011 年4 月14 日

厚生労働大臣 細川 律夫 殿

                 質 問 状

                       日本きのこ学会
                       会長 山 中 勝 次

 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます.
 毎日新聞社4 月14 日付朝刊の「シイタケ出荷を停止」の記事中に,シイタケの出荷制限に関する記述と,厚生労働省によるとされるきのこの放射性物質の蓄積に関する記述がありますが,以下の2 点の質問にたいし,4 月25 日までにご回答いただきたくお願い申し上げます.

質問1
 「福島県東部の16 市町村で採れた原木シイタケの出荷停止を指示した」とありますが,これらの対象地域を設定した科学的根拠を明示していただきたい.

質問2
 「厚生労働省によると,キノコ類は放射性物質を蓄積しやすく,チェルノブイリ事故が起きた86 年以降,放射性物質が規準を超えた輸入食品のうち3 分の1 はキノコ類だった」とあります.しかし,チェルノブイリ事故以降,放射性物質濃度が高くなったのは,汚染土壌のミネラルを吸収するポルチーニなどの外生菌根性の野生きのこにおいてであり,野生の木材腐朽菌きのこや腐生性きのこにおいては未検出か極めて低濃度であったことが報告されています(Smith, M.L. et. al., Appllied and Environmental Microbiology, vol.59, 134-139,1993).日本の栽培きのこはすべて木材腐朽菌きのこや腐生性きのこであるのは自明です.
 「放射性物質が基準を超えた輸入食品のうち3 分の1 はキノコ類だった」とありますが,チェルノブイリ事故の影響を受けたヨーロッパからの輸入きのこは,ポルチーニ類(Boletus spp.,ヤマドリタケなど),アンズタケ(Cantharellus cibarius),クロラッパタケ(Craterellus cornucopioides)などで,いずれも野生採取の外生菌根菌であり,栽培きのこは輸入されていません.本来,「基準を超えた輸入食品のうち3 分の1 は栽培きのこではなく,菌根性の野生きのこであった」とするべきでしょう.新聞にあるような厚生労働省の見解では,「すべてのきのこが放射性物質を蓄積しやすく,栽培きのこも放射性物質を蓄積しやすい」と一般の人には誤った解釈を生じさせます.このような誤解を生じる見解は,日本全国のきのこ生産者はもとより,きのこの研究にかかわる研究者にとって,看過できない重大な錯誤といえます.日本の食用きのこの大半が室内で栽培されており,栽培基材には土壌をもちいません.
 厚生労働省は,新聞記事にあるように日本で屋内栽培されているきのこも放射性物質を蓄積しやすいとお考えなのでしょうか.そうであればその根拠を示していただきたいと考えます.また,「チェルノブイリ事故が起きた86 年以降,放射性物質が規準を超えた輸入食品のうち3 分の1 はキノコ類だった」という見解が誤りで,正しくは「3 分の1 は栽培きのこではなく,菌根性の野生きのこであった」と訂正した見解を報道各社に提供する用意がおありでしょうか.

 上記2 つの質問について文書で回答していただきますようお願い申し上げます.
                            以 上


樹からの報告「樹とキノコのコーナー」

2011年04月13日 | きのこ ゼミ 情報メール
樹からの報告「樹とキノコのコーナー」
 
NPO法人樹木生態研究会というHPに「樹とキノコのコーナー」というページがあります。
樹木とキノコの関係を紹介しているので、普段見ていたキノコがこういう形で樹木と関係しているということがわかります。

ただ、
ちょっと見かけないキノコがいくつか紹介されているので、“?”と感じざるを得ませんが。

 1.ザクロの下で見つけたニオイコベニタケ
 2.スダジイとツリバリサルノコシカケ
 3.ウメとマンネンタケ
 4.スダジイとマイタケ
 5.エノキとエノキタケ
 6.サクラとアミガサタケ
 7.マツとヒトクチタケ
 8.ケヤキとヒダキクラゲ

樹からの報告 NPO法人樹木生態研究会
○関連書籍『街の木のキモチ 樹木医のおもしろ路上診断
 ※事務局長の岩谷美苗さんが書いた本です。

特用林産物の安定生産技術マニュアル

2011年04月10日 | きのこ ゼミ 情報メール
関東・中部地域で林地生産を目指す特用林産物の安定生産技術マニュアル

農林水産省実用技術開発事業(高度化事業)18021
成果集Ⅰ

森林総合研究所・平成23年1月発刊


目次

 はじめに
 Ⅰ.多品目を組み合わせた長期に渡る特用林産物の安定生産プラン
 Ⅱ.特用林産物の林地を利用した安定生産法
  山菜(15品目)
  木の実(3品目)
  キノコ(24品目)
 Ⅲ.防除技術
 Ⅳ.付加価値化
 その他・備考

関西菌類談話会会報 No.28 目次

2011年04月09日 | きのこ情報
表紙[キツネノヤリタケ]

カエンタケ(Podostroma cornum-damae)の毒成分研究

クワの実から発生するキツネノワンとキツネノヤリタケの観察記録

アシボソチチタケ似のLactarius sp. 観察記録

大阪南港ポートタウンに生えたカゴタケ

兵庫県で発生したベニテングタケ

関西菌類談話会第476回例会「2009年スライド大会」の記録

表紙によせて,編集後記 編集委員会

※ 詳しくはこちら

顕微鏡の基礎知識 第1回 顕微鏡とは

2011年04月08日 | カメラ・撮影 などなど
顕微鏡の基礎知識 第1回 顕微鏡とは
 
OLYMPUSのサイトで「顕微鏡の基礎知識」というシリーズが始まりました。

顕微鏡の基礎知識
 
オリンパステクノラボ編纂冊子に掲載された記事の改変のようです。
当然知っていることもたくさんあると思いますが、これを機会に復習してはいかがでしょうか?

第1回 顕微鏡とは
 1.顕微鏡で見えるもの
 2.顕微鏡の歴史