天道公平の「社会的」参加

私の好奇心、心の琴線に触れる文学、哲学、社会問題、風俗もろもろを扱います。趣味はカラオケ、昭和歌謡です。

再再度・NHKEテレ06:55の面白さについて(「ご当地再発見!ソング」 礼賛)

2016-04-19 21:41:40 | 映画・テレビドラマなど
 私、引き続き、ウイークデイ午前6時55分からのEテレ「0655」を愛視聴しております。
 たった5分間の番組であり、放送時間が秒刻みであることはよくわかりますが、そこはそれ、製作者の工夫によって私たちを楽しませてくれます。
 文字通り興味深い企画で毎度楽しませていただいておりますが、このたび、当該番組について標記の新企画がスタートしました。

 もう、二週目に入りましたが、ムード歌謡グループ、ロスプリモスによる、今週のご当地ソングは、「さらば豊橋(とよばし)」ということになっています。
 愛知県豊橋市役所前の路面電車の駐停車場の前に無表情のカップルが無言で並んで電車を待っております、やがて、路面電車がやってきて、無表情の女の子(里美)が乗り込みステップの上の段から、男の方を無表情に見返します。もう語ることなど何もない、との状況でしょうか。男は白いハイネックと黒のジャケットの上下、いまどきはやらないプラスチックの黒いロイド眼鏡をかけています。
 ムード歌謡に沿いながら、「(彼女と別れて傷心の僕は)ここに二度と来ないだろう」という歌詞が流れます。「そして、最後の思い出作りに街を歩きます」、という説明がされ、よく知らぬ街を漠然と歩いていきます。
 その時、彼は、エウレカ(われ、発見せり)ということで、豊川(とよかわ)という河に架かった豊橋(「とよばし」と発音するみたいです。)という橋を発見して、思わず手を叩くわけです。「豊橋市」という市名の市には、ちゃんと「豊橋(とよはし)」が存在したのであると、それは、一級河川「豊川」に架かる全長186メーターの「とよばし」であると。
「ほんとにあるのね、豊橋」と、腑に落ちた彼の、その発見が、彼を少し喜ばせます。

 深読みをすると、破たんして去っていく女には何も残らないけれど、失恋を契機に、男は小さな(?)「発見」と、「真理」に到達する、ということであろうかと、思われます。
 たとえば「一般的に」女性に「それがなんなのよ!!」と断じられたら、男とすればそこまでですが・・・・・。

 ムード歌謡の手慣れた歌唱と字余りの奇妙な歌詞、また、素朴で、あか抜けないドラマとのミスマッチとに相まって、大変笑えます。
 そういえば、先週、先々週と引き続き、JR高円寺駅が登場し、南口そばの純喫茶で、別れ話の末、彼女(美代子)に平手打ちをくらい置き去りにされた、例のロイド眼鏡の彼が、傷心ののち、思いで作りに高円寺駅の界隈を歩けば、本当に「高円寺(徳川家由来の名刹)」に出くわす、おお「エウレカ」と、隠された真理に逢着(でくわす)し、少しうれしくなる(その後、彼は、すぐにふさいで、ぶすっとしてしまいますが)逸話でありました。
 このパターンが、いつまで続くかはわかりませんが、次は、どこの地名がテーマになるのか、とても楽しみです。