天道公平の「社会的」参加

私の好奇心、心の琴線に触れる文学、哲学、社会問題、風俗もろもろを扱います。趣味はカラオケ、昭和歌謡です。

「ごめんね、青春」の面白さについて(完結編)

2015-05-24 15:02:29 | 映画・テレビドラマなど
 引きつづき恐縮ですが、完結編です。

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「ごめんね、青春!」のおもしろさについて 完結編
                       H26.12.23
最終回、「ごめんね、青春!」が、12月21日終わりました。
いよいよ大団円を迎えます。
前回放映分で、父(エロオヤジ)や母(今の観音菩薩です。)すら、当時、火事の真相をうすうす察し、原先生を守るためにそれを隠したことに気付いた原先生は、耐え切れず、蜂矢先生に罪を告白します。深夜、校舎の屋上に呼び出され、色々(?) 期待しつつやって来た、蜂矢先生は、当然、激昂します。「好きな男の子と夜校舎にいただけで、女の子(姉のゆう子)はあんな仕打ちを受けたの」、「私が(あなたを)好きだから許してくれるとでも思ったの」、ごもっともです。同時に、原先生は、「蜂矢先生、あなたが好きです」とカミングアウトしてしまいます。ただでさえ混乱した蜂矢先生ですが、最期は、「私は伊豆っ箱 (註1)の奇跡、ピンクのつり革伝説 (註2) を信じます。」、「二人で乗り越えましょう」、と、手を握り合い宣言してくれました。
 合同文化祭の当日になりました。笑えます。遠藤ちゃんの相撲ミュージカル、ハヤオシクイズ、海老沢たちの2つにわれた男みこし、生徒会長と成田のお化け屋敷、さすがにクドカンです。笑えます。(詳しいことは、ユーチューブでどうぞ。大変面白いです。)中井さん(三女の元生徒会長)がゲストでやってきて、彼女のデザインしたピンクのギンガムテェック(それぐらい知ってらい!)(AKBの歌にもあった、青春の柄なんですね。)のコスチュームで、かわいく喫茶店のウエイトレスです。「ありがとう」、という原先生に、「一つだけお願いがあります」、と彼女は言います。後夜祭で是非やりたいことがあるのです。
 ふたを開ければ、ファイアストームの前で、全員でフォークダンスです。だっせー、
言いながらも、みんな結構嬉しそうです。原先生と手を取り合いながら、元生徒会長は「先生と一緒で、最高のクラスでした」、といい、彼女の青春と恋にけりをつけます。 
おお青春、原先生は、いよいよカミングアウトの決意を固めます。
(詳しいことは、ユーチューブでどうぞ。大変面白いです。)
 覚悟を決めた原先生は、蜂矢ゆうこ(現在ルポライターで、原先生の親友と相愛で火事騒ぎで失踪した当時の三女の元生徒会長、蜂谷先生の姉)に、当時のいきさつを語ります、彼女に待ちぼうけをくらい、礼拝堂の屋上でキスする彼女と親友のシルエットに向けて、泣きながら、花火を20発撃ちこんだことを。
 とんでもない告白を聞いて、泣き腫らした目で去ろうとするゆう子に、「おねーちゃん、原先生を許してあげて」、「おねーちゃんが私にしたことは全て赦すから」、ゆう子も、「あなたも大人になったわね」と、長い不在と、不仲を経て、彼女たちも和解します。イタイ女、蜂矢先生も、原先生を許せば、合わない質の姉も赦せるのです。
 同じころ、原先生のエロオヤジも、息子の罪を、蜂谷父に告白していました。「俺は、全てを失ったんだぞ」、父親も憤激します。しかし、互いに飲み友達になっていたことといい、蜂矢父は「ゆう子」を信じきれなかったこと、二人とも「ごめんね!青春」で告白していたことでもあり、最期は和解します(彼らは「蒲田行進曲」での相棒です。クドカンは、よくこんないたずらをします。二人ともいい役者になったものです)。
 青春祭(合同文化祭)の最終日、ミス青春に、村井守君(性同一性障害障害である、村井理事長の息子)が選ばれました。ミスター青春に、原平助先生が選ばれましたが、固い顔でみんなの前に立った原先生は、ポケットから辞表を取りだし、告白を始めます。
 会場はしゅんとなりましたが、告白するにつれ、聖三島の校長先生(斉藤ゆき)が詰問します。「なぜ、すぐ届けなかったの」、「学校が好きだったから」、原先生は、学校が好きだったから、やり直したかったから、底辺校から、必死で、勉強して、教職を目指したのです。「社会的責任は」、「教師としての責任は」、更に続く、校長の厳しい追及に、元三女の神保ちゃんが「どうでもいいじゃん」、と言い出しました。そこの「ちんちくりん」と、見とがめた、校長に対し、「うちら皆、共学になってうれしいし、(平ちゃんの)昔のことなんかどうでもいいじゃん」、といいます。聞きとがめた、校長に、「先生が放火したわけじゃなく、放火魔が先生になったんでしょ」といい、蜂矢先生は思わず苦笑してしまいました。そのうち生徒たちから、「うちら4歳のころでしょ」、「共学になって楽しいんだからもういいじゃん」と口々に言い出し、会場が騒然となりました。
 その時、平助の元親友の、さとしが、警察を連れて乱入です。
 校長室で、刑事から、当時の捜査で、犯人の特定が出来なったこと、隣の建物から打ち上げた花火がたまたま空いていたと仮定して、窓ガラスを経由して、建物に入って火事の原因になった可能性は、0.001%くらいであることなどの説明を受けました、ロケット花火自体は現場にあったけど、隣の建物から発射されたことは証明できにくい、ということでしょうか。関係者全員で、その話を聞いて一件落着です。どさくさのうちに、校長が軽く、自分のDJ勤務を話すと、告白したみんなが大ヒンシュクです。結局、一番悪いのは、校長になってしまいました。
 皆で、会場片付けをし終わって、一列に並んだ時、落ちこぼれの成田君が、一歩進み出て、「俺ら、これから卒業して、就職して、生きていくだろうけど、これから何一ついいことがなかったとしても、今日が生涯で一番幸せな日だと思います」、と、原先生にお礼の言葉を申し述べます(皆の大拍手)。確かに、要らざることですが、今後底辺校を卒業した彼らに、そんなにいいことばかりあるとは思えない、青春時代の最期に、皆と共有する楽しい思い出ができたこと、は生涯の宝でしょう、クドカンはやっぱりうまいわ、青春ドラマの王道といいましたが、そのとおりの展開でしたね。
 後は、後日譚(たん;話)です。
 原先生は学校を辞め、校長先生はDJを辞めました。校長の代わりにDJ(二代目かば焼き三太郎)になった原先生に、校長から電話です。合併で、降格になった校長は、第三教頭ということになり、ひたすらグチ話です。打ち切った原先生に、「なにそれ、昔のDJはもっと優しかったよな。」、地域FMの「ごめんね、青春」は、これでひと段落となります。(二代目は、滑舌で、頼りなく、どうしようもないですが)
 とても上質のコメディであったこのドラマは、それゆえに考えさせられます。今後も原先生には、たとえ確率が0.001%だったにせよ、一生自らの行動の後ろめたさ(後ろメタファー(暗喩)、観音菩薩というのがあったけど:後ろめたさを感じる人には平助のか~ちゃんが顕現するそうです。)(意味不明)と、他人を巻き添えにした悔恨は一生続くでしょう、指に刺さったとげのように、気になり、彼の心は痛むでしょう。私の好きな、スガシカオの歌「ぼくの心の やらかい場所を 今でも締め付ける」わけです。皆さん、人間決していいことばかりはしませんから、皆、若いころの言葉や行動の後ろめたさや、卑怯な振る舞いだったとか、他人を傷つけたこととかありません?
この際、告らせてもらおうじゃないですか、「ごめんね!青春」と。若さゆえ、未熟ゆえ、私はあなた(たち)を苦しめ、悲しめた、と。
また、実際のところ、「反省」のないところに、救いがあるとも思えない、と思われるわけです。
三年生の卒業式の日、「原平助君」と呼ばれて、学ラン姿の原先生が登段します。
 尼僧姿の校長先生が、卒業証書授与のあと、小声で、「やっと、青春を卒業しましたね」と、はなむけの言葉です。
 年末にとてもいいドラマがあり、観ている方は幸せでした。
 原先生と蜂矢先生の行く末とか、卒業生の行く末とか含め、面白い場面をいっぱい落としていますので、是非ユーチューブでどうぞ。
 後は、皆さん、良い連休を、ということですね。

(註1) 伊豆っ箱
伊豆箱根登山鉄道の略称:聖三島女学院高校、仏教底辺校両校の通学私鉄、私も一度だけ箱根に行くのに乗りました(何を隠そう、元箱根であった、竹田青嗣のヘーゲル講座に行きました。)。彼らが通学するであろう沿線は、ローカルな雰囲気でとてもいい電車です。

(註2) ピンクのハート形つり革伝説
(話していなかったかも知れませんが)、一日に一度、伊豆っ箱の全車両の一箇所にだけ、ピンクのハート型のつり革が一個だけあり、それを握った男女は必ず結ばれるという、聖三島女学院高校に伝わる都市伝説です。先に、生徒の引率でシーパラダイスに行った両先生は偶然二人で握ってしまい、無頓着だった原先生に比べ、運命を信じる女、三女のブラックタイガーこと蜂矢先生の恋は始まり、燃え上がったのです。

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