天道公平の「社会的」参加

私の好奇心、心の琴線に触れる文学、哲学、社会問題、風俗もろもろを扱います。趣味はカラオケ、昭和歌謡です。

「ごめんね、青春」の面白さについて(その1)

2015-05-24 14:03:52 | 映画・テレビドラマなど

 少し古くて恐縮ですが、このたびアップさせてください。
    天道公平

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「ごめんね、青春!」のおもしろさについて
                       H26.11.28
みなさん、ご存じですか。日曜日9時、TYSで、東芝日曜劇場「ごめんね、青春!」というドラマがあることです。脚本はもちろん宮藤官九郎です。
熱心な「クドカン」ファンではなく、前回の「あまちゃん」以降彼のテレビドラマはみていませんが、今回もまた、テンポの速さと、切れ味のよさで勝負です。
名門のカソリック女子高と、禅宗系の底辺校の仏教高校の合併問題を絡めて、正統的な学園ドラマをベース(青い山脈から金八先生までの長い系譜があるでしょう。)に、いつものとおり徹底的なパロディと、(クドカンの)批評を加えます。
主役の、過去を引きずる気弱そうな男子教師(過去の女子高の礼拝堂の火事に責任がありそうです。)のセリフ回しのつたなさと頼りなさ、満嶋ひかりの扮する三女(聖三島女学院高校だそうです。)のブラックタイガーこと、英語教師のエキセントリックな演技、毎回とても楽しいです。合併の第一段階として、彼らは、カソリックの女子高と
隣接の仏教の男子高に派遣され、それぞれ混合クラスを担任します。
 最初に男子校に乗り込んだ、満嶋ひかりは、尼僧姿の制服の女子生徒を従え、「いいか、君たち、私たちは全員処女です。手を出したら、ぶっころす(相応の覚悟をしなさい)。」と啖呵を切り、男子生徒をびびらせます(惚れた男子生徒もいましたが)。
 喜ぶ男子生徒を引き連れ、三女の混合クラスに入った男子教師は、びびりながらも、仏教高校の生徒と、プライドの高い女子生徒の間を取り持とうとします。国語教師らしく、おずおずと、漢字をベースに相互の融和と寛容を解いていきます。この辺りは結構聞かせどころです。満嶋ひかりが行う英語の訓話をベースにした、相互理解や、協調を説く授業と同様に。この辺りは、ドタバタに終わらせない、批評と、解釈があります。
クドカンのドラマは、とにかく脇役がすごいのです。彼自身が、舞台で脇役を務めているかも知れず、脇役が主役を食うか、笑いながらも、狂気にまで引っ張っていくような凄味があります。殊に、アルバイトで、匿名で地元のミニFM局のDJをやる仏教高の校長の生瀬勝久が、番組に架かってくる電話に応えながら、毎回、ドラマの狂言廻しをやります。二面生活を演じ、怪演です。
男子教師の家族がまたすごいのです。火事の原因を引き起こし、当時の親友と相愛の三女のガールフレンドに対し恋のさや当てで陥れたかもしれない、という男性教師の後ろめたさを指摘するため、彼(男性教師)の死んだ母親が、菩薩姿で顕現(森下愛子)し、息子をあれこれ批評するのです。大根の森下愛子が、老けたなりに、とてもいい味を出しています。また、父親役の住職、風間杜夫が、エロオヤジを熱演しています。笑えます。高校生の脇役が、女子高生も男子高生もとてもいい、回を重ねるにつれ、女子高の生徒会長((黒島何とかいう人です。)がきりっとしたいい子で魅力的です。)がどんどん活躍をし始め、男子校の生徒会長(半田君)が、すぐ脱ぎたがる体育バカみたいな子ですが、家庭崩壊をアルバイトで支える長男で、バカのため、告った相手方の満嶋ひかりやほかの女の子に翻弄されます。笑えます。毎度、やり込められる彼の演技はペーソスがあるというべきでしょうか。
他には、男子高の養護教諭を務める40を超えた、いかずの養護教諭の坂井真紀先生でしょうか、高校内の相関図に介入し、なりすましメールで、彼らに助言を与え、最期は渦中に巻き込まれます。笑えます。こんないい女優さんとは知りませんでした。(前回のドラマ、「あまちゃん」で復活した、小泉今日子がとてもよかったように)
あらゆる脇役にコメントしてみたいところですが、みんな生き生きして楽しそうに演技しているように思えます。それぞれのエピソードが興味深く、ところどころ舞台俳優のような深みに届きそうな時があります。何に対しても「過剰」なのがクドカンの持ち味ですが、思わず笑ってしまう、深いセリフもちりばめられています。普段、日が当たらないような脇役たちに知らず知らずに愛着がわきます。
 学園ドラマですから、結局、恋愛ドタバタドラマになりますが、最期は「ごめんね、青春!」で、こんな高校にいたかった、若いときはよかった、とか視聴者に思わせます。上質なコメディです。生瀬勝久ではないのですが、昔の恥ずかしい思い出には、「ごめんね、青春」、と謝ればいいのです。時間の経過が、ほぼ均等に、それを許してくれるのです。満嶋ひかりのテンパった演技は笑えるし、男子教師(錦戸何とか君です。)の 気弱な演技とのやり取りは絶妙で、次はどうなるんだろうと期待を持たせます。
 いつものように達者なクドカンですから、今回も劇中で、「三島コロッケ」とか、「みしまるくん」、「みしまるこちゃん」とか地元のゆるキャラや、三島市の看板行事がドラマの中に次々と波状的に登場します。取り上げ方が上手で、サービス精神も旺盛で、たぶん今まで地味だった地元ゆるキャラが脚光を浴び、やっぱり笑えます。
彼のドラマは、既に、あちこち村おこしとか使われていると思いますが、「三島コロッケ」とか、今後、どれくらいヒットするか、それも楽しみです。
視られた方は結構ですが、このドラマは既に六回くらい経過していますが、いまからでも是非お勧めします。(詳しくは、TBS、HPをどうぞ)

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