わたしが入った中学校は当時荒廃しておりました。
不良グループが跋扈(ばっこ)し、教師連中はそれを力でねじ伏せようとしていました。校舎は破壊され、傷害事件が起こることも珍しくありませんでした。
学校はとにかく恐ろしいところでした。1年生の教室は最上階にあり、上級生は階上に立ち入り禁止になっておりましたので、ある程度の安全は確保されていましたが、実際には何度か侵入されました。あるときは、バイクで校舎内を暴走し、轢かれて負傷した生徒もあるなど、恐ろしい事件が続きました。よその学校の生徒間の抗争事件もあったかもしれませんが、わたしにとっては学校内の生徒・教師間の抗争のほかに目を向ける余裕はありませんでした。
教師達は筋骨隆々屈強の強者揃い。おまけに金属パイプで武装しておりましたから、不良達が刃物で襲いかかっても容易に撃退できました。
今でこそ肩をぽんと叩いただけで「体罰」と騒がれる世の中になってしまいましたが、当時は鉄拳制裁が当たり前の時代。教科書を忘れるなどほんの少しの事でも殴り倒されます。
わたしも一度殴られたことがあります。授業が始まったときに教科書を出すのが遅れたのです。
教科書を出すのが遅れただけでも殴られるのですから、もっと重罪なら制裁も重いものになります。
衝撃的だったのは、入学して間もない頃、全校集会と称して体育館に集合させられ、「制裁」を見せられたときです。
後ろ手に縛り上げた不良グループを壇上に並べ、教師が手加減無しに殴るのです。いわゆる「見せしめ」です。教師に逆らうとお前達も同じ目に遭うぞと脅しているのです。殴られた人が消し飛ぶのを見たのはこれが初めてでした。
テレビドラマなどでいろいろ暴力的内容のことが放送されたりしますが、実際に起こったことはとてもテレビでは放送できるものではなかったのです。
そんな恐怖状態の中にあっても、学校の行事は決められたとおりに行われておりました。わたしにとっての転機とはその行事中の一つ「新聞コンクール」でありました。
そのころにはクラスの中でわたしは「物書き」として知られておりましたから、新聞記者に推挙され、編集長まで任されました。わたしとしてもやりたい仕事でした。
新聞作成には数名が参加しておりましたが、皆やる気がなかったので、ほとんどわたしが独断で取材し、記事を書いて、紙面の作成だけを他の人に手伝ってもらいました。
新聞の最大のテーマは「校内暴力」です。
そして、そこから挫折の道へと転落してゆくことになるのです。
次回へ続く…
不良グループが跋扈(ばっこ)し、教師連中はそれを力でねじ伏せようとしていました。校舎は破壊され、傷害事件が起こることも珍しくありませんでした。
学校はとにかく恐ろしいところでした。1年生の教室は最上階にあり、上級生は階上に立ち入り禁止になっておりましたので、ある程度の安全は確保されていましたが、実際には何度か侵入されました。あるときは、バイクで校舎内を暴走し、轢かれて負傷した生徒もあるなど、恐ろしい事件が続きました。よその学校の生徒間の抗争事件もあったかもしれませんが、わたしにとっては学校内の生徒・教師間の抗争のほかに目を向ける余裕はありませんでした。
教師達は筋骨隆々屈強の強者揃い。おまけに金属パイプで武装しておりましたから、不良達が刃物で襲いかかっても容易に撃退できました。
今でこそ肩をぽんと叩いただけで「体罰」と騒がれる世の中になってしまいましたが、当時は鉄拳制裁が当たり前の時代。教科書を忘れるなどほんの少しの事でも殴り倒されます。
わたしも一度殴られたことがあります。授業が始まったときに教科書を出すのが遅れたのです。
教科書を出すのが遅れただけでも殴られるのですから、もっと重罪なら制裁も重いものになります。
衝撃的だったのは、入学して間もない頃、全校集会と称して体育館に集合させられ、「制裁」を見せられたときです。
後ろ手に縛り上げた不良グループを壇上に並べ、教師が手加減無しに殴るのです。いわゆる「見せしめ」です。教師に逆らうとお前達も同じ目に遭うぞと脅しているのです。殴られた人が消し飛ぶのを見たのはこれが初めてでした。
テレビドラマなどでいろいろ暴力的内容のことが放送されたりしますが、実際に起こったことはとてもテレビでは放送できるものではなかったのです。
そんな恐怖状態の中にあっても、学校の行事は決められたとおりに行われておりました。わたしにとっての転機とはその行事中の一つ「新聞コンクール」でありました。
そのころにはクラスの中でわたしは「物書き」として知られておりましたから、新聞記者に推挙され、編集長まで任されました。わたしとしてもやりたい仕事でした。
新聞作成には数名が参加しておりましたが、皆やる気がなかったので、ほとんどわたしが独断で取材し、記事を書いて、紙面の作成だけを他の人に手伝ってもらいました。
新聞の最大のテーマは「校内暴力」です。
そして、そこから挫折の道へと転落してゆくことになるのです。
次回へ続く…