カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ズバリ、タイムリーな本 スタンフォードの自分を変える教室

2012-12-28 | 読書
スタンフォードの自分を変える教室/ケリー・マクゴニガル著(大和書房)

 読み終えて思ったのは、まさに今のタイミングで手に取ることができた幸運かもしれない。ひょっとして僕は何か運というものを持っているのかもしれない。
 それというのも今は年末で、年が明けると今年は何をしようと毎年いろいろ考える時期だからだ。そうして正直に告白すると、それらの多くは成就されたためしがない。自分自身のふがいなさに、数カ月にわたって嫌悪を覚えながら生活し、しかしいつの間にかそのことも忘れ、そうして年が明けると、今年こそは、と気持ちを新たにするわけだ。なんというか、リセットして生まれ変わろうということかもしれない。
 この本の題名通り、そのような生まれ変わる手助けをするというか、まさにその方法が書いてある本で、しかしよく考えるとそのシステムを解説してあるだけの本かもしれない。そうであるのだが、読んだ感想として、これは絶対にイケル本だという確信がある。それほどインパクトがあるし、納得のいく内容なのだ。
 このような本というのは、一般的には似たような内容が多く、実際それは精神論というものがほとんどだ。それはそれで悪くないのだけど、実用性としてはあんがい使えないというのは多いものだ。読んで感動した自分はいるが、実行する自分は別人なのだ。非常に残念なのだが、実はそれには理由があるようなのだ。自分のことなのに自分のことを知らなかっただけのことで、そのからくりは実はごく当たり前のことだったりする。しかしその当たり前を認識している人は、ほとんど居ないということなのだろう。そのようなことを知ることによって、そしてこの本の課題に沿って(講義形式をまとめたものらしく、実際はその課題を週ごとにゆっくりクリアするのが望ましいようだ)自分を見つめていくだけで、いつの間にか自分を変える方法を身につけることが可能になっていくのだろう。僕はまだ読んだばっかりなので、その成果はずいぶん先に報告できるかもしれない。なんだかとっても楽しみである。
 さらにズバリ言ってしまうと、今からダイエットをしたり禁煙をしようという人は、ほかのハウツーものは放っておいて、なにはともあれこの本を手に取るべきだと忠告しておく。特効薬ではないけれど、数ヵ月後には成功の確率が上がっていることを実感できることになるだろう。速効性を求めている人の考えも、おそらく変えることになるだろう。
 物事を先送りにしてやれない自分にうんざりしている人も、まさにこれはうってつけである。今やるべきことが分かっていても、それを実行するのは非常に難しいことだったのだ。気分も楽になるし、そしてそういう自分をやはり変えることが可能だとも理解できるのである。
 そのように魔法のように素晴らしい内容なのだけど、実は驚くような魔法の方法が書いてあるわけではない。ある意味では、ごく当たり前のことを論理的に、実証的に考察しているということに過ぎないのかもしれない。そしてそのような態度だからこそ、心の底から腑に落ちる思いがして、そうして実際に自分を変えてみようという実験の客体に自分自身を置くことに成功して行くのだろうと思われる。そうなればしめたもので、時には自分変革の格闘もするだろうけれど、着実に歩みを進めていくことも、やはり可能になっていくのだろう。
 実際に著者の授業を受けるというのが一番いいのは間違いがない。しかしこの本を一章づつ毎週読み進むような体験を積むことができれば、おそらく似たような効果がもたらされる可能性も高い。多くの日本人には言葉の壁もあるし、ましてや物理的な距離や金銭的な問題を考えると、十分それでも合理的な選択である。
 要は読むか読まないか。その前に買うか借りるかというハードルもあるな。まあ、結局は、それに尽きるわけだが、そうしない人間を僕は別に咎めはしない。でもまあ、ちょっとばかりは、哀れであると同情するかもしれない。
 年末もあとわずか。もしくは新年の始まりに是非どうぞ。
コメント
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