カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

筆頭、日本にいて欲しい人

2014-06-20 | 感涙記

 スーダンからの盲目の留学生でアブディンさんという人がいる。詳しくはググッて欲しいのだが、日本語も完璧で非常に聡明な方のようなのだが、何よりその境遇もあってか、面白い人なのだった。ところが、そんな風に見ていると、「面白い障害者」という風に見られていることに、なんとなく不満のようなものを持っているらしいことも分かって、少しドッキリした。要するに、面白い障害者という視点が無いと、僕らは興味を抱かないということなのかもしれない。反省すべきとも思うが、まあ、ジャーナリズム的に表に出ると、そうならざるを得ないわけだ。そうした点は考えさせられるわけだが、しかしそれでも繰り返すが、面白い人なのだ。
 既に日本に16年くらいいるらしい。スーダンで法学を学ぶ学生だったようだが、奨学金などをつてに来日し、現在は東京外語大で研究者として学んでいるらしい。ドキュメンタリーでは高学歴でも就職が決まらずにピンチに陥っていた。これだけの人ならどこかの学校が採用すべき人材だと思うのだが、壁は高いということなのだろう。
 目が見えないので音でいろんなことを捉えているわけだが、まちの様子だとか人の感情だとか、実にたくみに物事を見ているものだという感じがする。日本人がどんな人たちなのかということも、批評性に満ちていて面白い。冗談も頻繁に言うし、基本的に楽観主義者のようだが、しかし、現実に不満が無いわけではなかろう。なんと日本でスーダンから女性を呼び寄せて結婚し、ふたりの娘がいる。助成を受けながらの生活で、いろいろあるとは思うが、このままでは卒業後スーダンに帰らなければならないかもしれないらしい。日本で就職が無ければどうにもならない崖っぷちだが、スーダンに帰っても職があるものなんだろうか。いや、ともかく大変に努力している風でもあり、何とか日本に留まって生活できる道が開けることを祈るばかりだ。
 本も出版しているようだし、ツイッターでも人気である。ざっと見る限り文才もなかなかで、この分野でも幾分の活路があるのではないか。
 録画していた放送を見て気になって仕方ないのだけど、その後どうなっているのかは不明だ。ツイートでは最近は広島カープの話題だった。確かにタイムリーだが、将来は分からない。
 いろいろ苦労しているだろうことと、やはり障害があるということで僕に同情の気持ちがあることは間違いあるまい。しかしながらその努力もさることながら、スーダンからの盲目の博士でダジャレも上手いとなると、それはそれで十分キャラが立っているという印象もある。それでも就職したり、タレントとして生きていけるかは、本当に微妙な問題になってしまう。
 しかしながら、それでもアブディンさんが本当に偉いなと思うところは、やはり自分の勉強した専門分野で勝負したいという思いが強いことかもしれない。葛藤があることも分かるし、現状の苦しさに負けそうな気分というのも伝わっては来る。本当に厳しいということは恐らく本人が一番分かっていることなのだろう。そうではあっても、自分の専門を生かしていきたいという姿勢を崩さない姿こそが、本当に感動の人という気がする。もちろん、適当に肩の力も抜いているように見えるが、たぶんそういう人なのだろうと思うのだ。僕にとって、今もっとも日本にいて欲しい人材なのであるが、本当に将来が心配なことなのである。
コメント
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