マッド・マックス~怒りのデス・ロード~/ジョージ・ミラー監督
シリーズの3作目ということになるはずだが、しかし内容的にはあんまり関係ない感じもした。メル・ギブソンじゃなきゃ嫌だということでは無いが、ちょっと別物作品だろう。近未来の砂漠のような場所で、何故か車だけはギンギンに走るというファンタジー映画である。もともと漫画チックな作品だけれど(これが日本の漫画だと「北斗の拳」になるわけだ)そのマンガ度が格段に上がって、ただのアクション・ギャグ作品になったと思う。しかしあまりにもバカバカしいので、ちょっと笑うに笑えない感じではあったが。でもまあ、これだけ馬鹿な人たちがたくさん出ると、それなりに味が出るのも間違いはない。ひどい作品だが、それなりに面白い。何にも残るものは無いけど。
いちおうストーリーはあるが、特になくてもいい作品かもしれない。最初からずっと車で走りっぱなしで、おどろおどろしくて、汚い。女の人たちはずっと半裸で、やはりあまり賢くない。でも男たちがさらにものすごくバカばかりなので、少しくらいはまともに見えたりはする。人間って未来になるとこれくらい馬鹿になるんだろうか。それでは猿に負けるはずだ(違う映画だが)。
思うに今までのマッド・マックスは、乾いて残酷で、さらにちょっと変で、それが世界中の人を熱狂させる魅力になっていた。しかし今回は、なんとなくウェットなのである。ちょっと人情味のようなものさえある。いや、そういうのがあってもいいけど、正義だけど非道であるというのがいいので、だからマッドでよかったのだ。これでは何か不能な特殊人のような感じもして、結局何かよく分からないのだ。人というのはいろいろ居ていいが、やはりこれはちょっとあり得ない人物像という気がする。解決策も良くないし、やはり結果的に都合が良すぎる。そういうカタルシスが足りないのが、いけなかったかもしれない。
それにしても日本人がこんな映画作ったら、たぶんやっぱり人種的に知能が足りないと思われるんじゃなかろうか。西洋人というのは(これも偏見かもしれないが)、バカでも生きてていいという特権があるのかもしれない。