昨年の象徴的な出来事として記憶されるだろうことに、Black lives matter があると思うのだが、そういうことに絡んで考えると理解が深まるだろうと思われる二本を紹介した。
ところでだが、この「グリーンブック」の方は、黒人側からは、厳しく批判を浴びた映画でもある。僕は日本人だし、肌感覚として、米国で差別される側の人間としての実感は無いのだが、そういう立場からすると、この映画、白人目線であるらしい。そういうことも含めて観ると、ちょっと考えすぎじゃないのかな、と思わせられるわけだが、実のところ皆さんはどう感じられるだろうか。おそらくだが、「ブラック・クランズマン」より「グリーンブック」の方が、一般的には分かりやすい筈である。そうしてたぶん、感動もする。どちらが優れているというのは、僕にはわかりかねる問題だが、賞の方は「グリーン」が取った。そうして審査員は、白人側だという批判が更にあるわけだ。米国のこの問題は、少なくとも僕らが生きている間は、なくならないと思う。そうして残念なことに、こうした憎悪は、再燃するはずである。それは、いまだに差別が無くならないという事より、現代人が不寛容になっているためだと思う。それは、宗教なのか、正義なのか、それとも人間の持っている根源的な欠点なのか、それともそのすべてなのか、ということである。映画を観るというのは、そういう営為でもあるわけである。まあ、素直に楽しんで観た後に、少しでも考えてみてはどうか、と思うのだった。
グリーンブック/ピーター・ファレリー監督
ブラック・クランズマン/スパイク・リー監督