「ふしぎな県境」は、もともとネットの記事を書籍化したものだ。おふざけのような、遊びのような内容だけれど、県境にこれだけのロマンがあることを知るだけでも刺激になるのではないか。以前赤瀬川原平の「トマソン」を見て面白さに開眼させられたことを思い出す。目の付け所で、世界はいくらでも面白くなる。
「番号は謎」も面白い。面白いから読んでみたら、とひとに貸したら、まったく返ってくるそぶりが無い。レファレンスしたい本なので、僕のような失敗無きよう。でもまあ、数字の謎ってまだまだたくさんありそうで、そういう目で廻りを見てしまう日常にも気を付けなければならなくなるだろう。
「教育勅語」も、なるほど、詳しく知るという面白さを堪能して欲しい。日本って天皇の国だったんだなあ、って思いました。ま、知らなくてもいいことだけど、面白いです。
「すごいトシヨリ」も、何気なく暮らす日常を楽しくすると思う。別段年寄りでなくても、楽しくなると思う。若い人なら、これからずっと楽しい時間が増えるということです。
「努力論」は、当たり前のストレートにガツンとくる一冊。著者は英語の先生だが、もう言っていることに微塵の狂いもなくその通りでございます。武骨だけど、努力に勝るものなし。人が生きる道に、努力が欠けたら歩けなくなることでしょう。
「万能感」ということを知ると、なるほど世の中の対人関係の基礎問題がスルスルと解けていくに違いない。今苦しんでいる人は、この本を手に取るだけで、ずいぶん救われることだと思う。苦しまないで生きるというのは、それだけで温かい生き方ではないだろうか。
「ゲンロン」は年末に読んで、一番楽しかった。起業する人とか、経営してる人とかに限らず、読んで損はない。というか、自分で見たくないものに、失敗の原因があるのかもしれない。身につまされるので、笑いながら反省しよう。
ふしぎな県境/西村まさゆき著(中公新書)
番号は謎/佐藤健太郎著(新潮新書)
くわしすぎる教育勅語/高橋陽一著(太郎次郎社エディタス)
すごいトシヨリBOOK/池内 紀著(毎日新聞出版)
努力論/斎藤兆史著(中公文庫)
万能感とは何か/和田廸子著(新潮文庫)
ゲンロン戦記‐「知の観客」をつくる/東浩紀著(中公新書ラクレ)