カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

酒が飲めなくなると獲得する能力があるかも

2021-08-08 | Science & nature

 日本人には、アルコールを分解することができない人が一定数いることが知られている。いわゆる下戸といわれている人だけをさして言っているわけではなく、アジア人には必ず一定数いる。アジアに一定数いるというのは、他の地域の人種ではそれがないからだ。特に人類のルーツであるアフリカ人は、もともと酒に強い。ヨーロッパ人やアメリカ人も、ほぼ100%酒を飲むことができる(アジアの移民でない限り)。あちらにも酒を飲まない人がいるが、それは飲めないからではなく、好まない人が勝手に飲んでないだけのことである。だから日本の下戸と同じではない。もちろん日本でも、飲めるけど飲まない人はいるだろうし、飲めないけど無理に飲んでいる人もいる。アル中の中には、飲めないのに無理して飲んで、なんとかアル中を維持している変な人もいるらしい。もともと飲めなくても、少しくらいは鍛えて飲めるようになる人がいるらしく、まあ、人それぞれなんだろう。
 元々人類は酒が飲める方がデフォルトである可能性の方が高い。理由はよく分かっていないが、アフリカの人種には、食事として酒しか飲まない人々がいるらしい。普通の食事はとらず、発行させた酒だけを飲んで栄養を摂っている。そういうことから考えると、発酵食品と関係があるらしいことも考えられるし、多様な栄養素を吸収するために酒を分解する能力が備わっているのが人類である、という考え方もあるらしい。
 しかしながらそうであるなら、なぜアジアの一部では酒が飲めなくなる進化の道を歩んでいるのだろう。
 それはそれでミステリなのだが、一つの仮説としては、水耕でコメを食べる文化の人々の間に、酒が飲めなくなった原因があるのかもしれないとされている。そうしてその理由として有力視されているのは、ウイルスとの関係かもしれない。
 水に近い生活をしていると、それだけ感染症やウイルスと近い状態にならざるを得ない。なぜなら空気感染よりはるかに、水からの感染の方が多いからだ。多くの感染症にかかりながら生きながらえるうちに、そのウイルスと対抗する抗体を持つ個体になる代わりに、酒を分解する酵素が消えていった人がいたのかもしれないというのだ。それらの関係が、何故そうなったのかというのは分からないのだが、そのように獲得するものと消えるものが、たまたまそういう組み合わせだった可能性があるのだという。何故なら同じアジア系でも、水耕をまったくしない人種の子孫には、アルコールが飲めない(分解できない)性質がないからである。
 コロナ禍においても、どういう訳か欧米人と比較して、東アジアの死亡率は格段に低い(数十分の一であり、この差が何故かは衛生状態などの環境面からでは説明が付きにくいのである)。単なる偶然である可能性もまだぬぐえないらしいが、しかしながら原因が分からないだけで、その差を埋めるには確率としての開きがあまりにも大きい。何かが違うことは明らかそうで、それは人種と関係ありそうだ。もともと共通というか相互に作用する何かの抗体を持っている可能性があるし、それは酒に弱いことと関連もあるかもしれない。
 もっとも酒が飲める日本人であっても、同じように致死率が低いのかもしれないが。そうであるから、今のところ酒が飲めないというだけで、安心とは言えない。だが、少しくらいは関係がありそうなことが言われていて、これはこれで何か期待できることがあるのではないだろうか。
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