国家が破産する日/チェ・グクヒ監督
1997年の韓国の国家破産危機のおりに、IMF(国際通貨基金)から資金援助を受けた経緯を社会派ドラマ化した作品。目覚ましい経済成長を遂げ、先進国の仲間入りを果たしたと考えられていた韓国において、実態としては旧態依然とした財閥などの独占的で非効率な生産性と過剰な投資による債務の超過状態にあり、それらを支える国家の財政赤字も深刻な状態にあったと考えられる。歴史的には国際支援を受ける以外に危機を脱することは難しかったと考えられているが、その内情で葛藤する人々にとっては、一筋縄では語れない苦悩があったことがドラマ化された形である。
これを観て改めて感じたのは、やはりこのIMFの介入によって再建を果たした韓国の歴史というのは、韓国自身が自国の力で再建できなかったトラウマを残した事象だったということらしい。危機を迎えていることを国家はひた隠し、その裏で安易にIMFに支援を求めたがごとく描かれていて、さらに傷口を広げたという印象を残している。実際に過酷な条件を付けられたということは言えなくはないが、それほどすでに傷口は深かったと考えられているわけで、この支援後大きな痛みを超えて、韓国経済は復興したというのが事実だろう。逆張りをして大もうけした人や、国家を信じ抜いて自殺した人などが対照的に描かれていて、経済の問題はそもそも残酷なものだというのは言えることかもしれない。
そういう認識にはどうかな、というのはあるが、映画として評価もそれなりに高かったので観ることにした経緯がある。しかしながら、そのような史実は、ちょっと漫画的に偏りすぎているきらいが強かった。知らなかった人にはそれでもいいということなのか知らないが、やはり自国を美化しすぎだろう。韓国は、今や小さな国ではないが、自分を大きく見せすぎているところもある。自国を正視することが可能になってこそ、本来的な先進国への仲間入りが果たせると思われる。まあしかし、アメリカだって中国だって似たり寄ったりなんで、韓国にだけ厳しく言っても仕方ないことではあるし、まったくそれは日本にも言えることでもあるわけで、お互いに悲しいというのが現実なのかもしれないが……。