カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

まさに悪魔の生んだカルト感   ローズマリーの赤ちゃん

2022-02-21 | 映画

ローズマリーの赤ちゃん/ロマン・ポランスキー監督

 有名なサイコホラーだが、なぜか未見だった。ポランスキー監督の背景も知っているので、ちょっと感慨深い感じもする。公開当時は大ヒットした映画だが、今の時代背景で観返してみると、やっぱりなんとなく古臭い感じもしないではない。それはファッションかもしれないし、映像の文法かもしれない。しかし、この映画を見本にして作られた作品がそれなりにあるのだろうということは、今見ていて改めて感じられることであろう。
 ニューヨークの高層の古いアパートがあって、家賃は少し高いが若い夫婦はそこが気に入り住むようになる。隣人のちょっと年配の世話焼き夫婦とも仲が良くなり、二人は幸福で子供を望むようになる。ある夜ローズマリーは夢の中で(あるいは幻覚で)悪魔に襲われる。そうして現実にも妊娠してしまう。当初は妊婦であることの幸福に包まれていたが、痩せて体調はすぐれなくなり、隣人やかかりつけの産婦人科医にも不信を抱くようになり、精神的にも不安定になっていくのだった。
 映画を見ている私たちは、このローズマリーと同じ視点から、周りの人たちに異常があるらしいことは感じられる。しかしながら病院に行ってみたり友人らに相談したところで、やっぱりそんなに気に病むことはないと言われるし、ひょっとするとローズマリーの方に本当は異常があるのではないか、という気分にもさせられる。何が何だか分からないが、事態は悪くなる一方だ。そうしてローズマリーは、静かなる抵抗を試みるのだが……。
 この映画とは直接には何の関係も無いが、ポランスキーの奥さんは(妊娠中だった)ヒッピーのカルト集団に殺されてしまう。その後ポランスキー自身も、少女強姦の罪で、アメリカに住めなくなってしまう。そういう事件とともに、この映画はなんとなく関連付けられて語られるようになってしまう。まさに悪魔的な呪いのような映画という訳だ。それは人間の思い込みによる悲劇だが、同時にやはりこの映画的な要素でもある。なんとも不思議だが、そういうやりきれない空気感とともに、カルト化される映画だと言えるだろう。
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