ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り/ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー監督
元々はゲームがあるらしく、それを原作に映画化されたものだという。様々な困難がある中、戦いながらそれをクリアしていくというものをベースにしていると考えていいのだろうか。ともあれ、怪物とか魔法使いとかが混在している世界があって、そこで盗賊一団が仲間を増やしながら、ある王国を事実上牛耳っている悪党を退治する、という物語なのかもしれない。基本的には日本の「桃太郎」と展開はよく似ている。観た感じはだいぶ違うのだけれど。
こういう映画もたまにはいいかな、という感じで観ていたのだが、監獄を脱走するくだりなどはいいと思うけれど、これもいわゆるダークヒーローのくせに、妙に制約が多い正義感であって、その考え方が今一つである。結局は人を騙したり、いくら悪人を懲らしめるにしても、結果的に人を苦しめることもしなくてはならないのだから、もう少し悪くてまったく問題ないのである。金銀財宝を奪って生活しているのだから、それを一般大衆に配ってヒーローになる必要なんて、これっぽっちもないのではないか。底が浅いのである。
でもまあそんなことを言っても始まらないのは確かで、実際に次々に難関の問題が迫って来て、特撮と必殺アクションでそれを乗り切っていく。ゲームのクリアだと考えると、そういう前進感のようなものが、映画的に楽しいということなのだろう。人間ドラマも複数に渡って伏線が張ってあったりして、なるほど脚本は練られているのである。こういうしくみを考える構成力というのは、娯楽映画作りに長けているところである。子供相手の映画であっても、そういうところは見習うべきものだろう(誰が?)。
いわゆる冒険ものだしファンタジーだし、夢のある物語だということはあるのだが、悪の描き方も重要で、相手が強く凶悪であることも大切だが、それなりに魅力がないといけないところがある。敵ながらあっぱれというか、そういうところだ。そこは元二枚目俳優がその役を担っていて、コメディではあるが脇を固めてある。そうして不思議な霊力を担う女性が居て、邪悪だが、なんとなく不幸だ。多くの人々は事実上死ぬが、人の命は主人公たちほど重くはない。そうしていわゆるハッピーなのである。もう観ないのは間違いなさそうだという確認は、できたところであった。