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ピアノラ。

え~っと、今日のお題はピアラでなくてピアラです。

話としてはプレ蓄音機としてのプレーヤーピアノ(自動演奏ピアノ)の様子が知りたい、
という、もともとは「ジャズエイジのジャズ」シリーズの派生ネタなんですが、
どんぴしゃりの本が見つかりました!
ピアノの誕生―楽器の向こうに「近代」が見えるピアノの誕生―楽器の向こうに「近代」が見える
西原 稔

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表題の通りピアノの歴史を扱った本なのですが、副題に「楽器の向こうに近代が見える」とあるように、
音楽と社会の関係についても多面的に考察された、幅広く柔軟な視点をもった著作です。
で、自動演奏ピアノにも項がさかれていて、
・前史的には「自動演奏オルガン」というものがあり、庶民にまで購買層が広がっていた。
・本格的な自動演奏ピアノは19世紀末に考案された(特許は1897年)。
・1904年からドイツで本格的に生産され、圧倒的な再現性で人々を魅了した。その商標が「ピアノラ」。
・1920年代に全盛を迎えたが、1930年代には市場から姿を消した。
・家庭、遊興場での受身の音楽享受への欲求の産物。
・コンサートホールでの一回性の芸術から、反復され、不特定多数に聞かれる複製芸術としての音楽。
などなどといった(結構ややこしくなりそうな)お話が分かりやすく書かれています。
(ピアノと自動ピアノの販売数の和はほぼ一定だった、という興味深い考察なども!)

蛇足的に付け加えれば、1930年代の衰退は蓄音機=レコードの影響もあるかもしれませんが、
より決定的なのはラジオの影響であろうと思われる点。
実際、1920年代初頭にブームとなった蓄音機=レコードもラジオの成長と共に衰退し、
1929年の大恐慌で殆ど息の根を止められそうになった後、ラジオや映画との連携の中に活路を見出し、
1930年代を通じて徐々に低迷から脱出するといった経緯を辿ったようです。

このあたりのラジオ、蓄音機、レコード、自動演奏ピアノ、磁気テープといった「メディア」と
複製芸術としての音楽、といったあたりの辺の整理はまたいずれ(出来るといいなあ)。
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