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さらば交通博物館

神田の交通博物館が移転のため閉館します。
そのお別れイベントの一環として旧万世橋駅の遺構が公開されるというので見学に行ってきました。
なかなか趣のあるスペースですが、見学時間は20分しかないので、
じっくり写真をとりたい人は一度目は下見、二度目が勝負、といった段取りが必要とされますね。
  
ところで交通博物館の建物は一見ただの白い箱に見えますが、実は由緒あるただの白い箱です(笑)。
鉄道博物館が万世橋駅に併設される事になったのは1936年。
建物は一代目の辰野金吾設計の駅舎が震災で焼失した後に、残存部分を活かして建てられた2代目駅舎を解体し、
基礎のみ再利用して・・・だから2個の長方形がずれて並んだ格好の平面は一緒・・・建設されました。
デザインは当時の最先端、インターナショナルスタイル(近代主義建築とほぼ同じ意味)が採用されています。
(設計は鉄道省=お役人さん!)
ガラス貼りの明るくて丸い階段室がモダンでカックイイ。
  
内部の大展示室は、基礎の再利用の結果生まれた鉄筋コンクリート造の箱の間のスペースに
鉄骨で梁間を飛ばして屋根をかけ、大空間を生み出す、というなかなか上手い手法で作られています。
吹抜けに面したコンクリートの箱からは先を薄くした片持ち梁で床を持ち出し、
大展示室の展示品や空間と一体感を高めるといった工夫もされていて、
(吹き抜けと廊下の間に柱があったら煩いでしょ?)
戦前の建物に時々あるなんちゃってな感じ・・・図面が立体化する際の空間の掴みの悪さ・・がありません。
右側の窓も、展示してあった当初の写真なんかを見ると壁一面が殆どガラスだったみたいなので、
明るい最先端のモダニズム空間が出現していたのではないか、と想像するだけでワクワクしてしまいます。
大展示室越しに本物の駅や電車が見えていたとすれば、それも楽しそうですし!

家族連れや鉄道ファンで大混雑の交通博物館、展示も見所満載ですので、
閉館までに是非一度足をお運びください。
で、そのときは一寸だけ建物にも注意を向けてやって下さいね。

モダニズム建築だった交通博物館
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