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ジョゼフィン・マイ・ラブ
ジョゼフィン・ベーカーって小柄だったんだそうだ。
20年代好き・アールデコ好きから入っているプラナリアは、彼女に関して
「20年代のパリで裸踊り(こんな表現ですんません)で一世を風靡したアフリカン・アメリカン」
といった程度の認識しかなかったのですが、
どうもそれだけではないらしいぞ、と去年あたりにようやく気づきまして、
で、ようやっと読んだフィリス・ローズの書いた評伝;
「ジャズ・クレオパトラ―パリのジョゼフィン・ベーカー
20年代と言えばアメリカではジャズが白人層にももてはやされ、
パリでは黒人彫刻がモダンアートに大きな影響を与えた時代。
そんな時代を黒人であるジョゼフィンを軸に活写していると言うだけでも面白い本書ですが、
著者はいわゆるハイ・アートだけでなく、ショービジネスの状況にも相当造詣が深いようで、
「芸人」としての彼女の位置も、妙な神話や幻想を取り払ってしっかり描いてくれます。
お陰で(本題というより背景説明的なことではあるのですが)、
ジークフェルド・フォーリーズ(←ググッでも大したものが引っかからない・・・)とかだいぶ靄が晴れたし、
白人層にジャスが浸透したのにはジェームズ・リース・ユーロップのマネジメントの才覚が大きかったとか、
第一次大戦のアメリカ黒人にとっての意味とか
アメリカでの黒人とショービジネスとの関係に関しても得るところ大でした。
(そもそもアメリカは半世紀前までは強烈な人種差別国家だった訳で)
もちろん文化横断的な活躍をしたジョセフィンへの理解を深めるのには
やっぱ重要な訳ですよね、こういう時代背景なんかが。
で、ジョゼフィンは20年代に一発当てて消えてしまった訳ではなく、
フランスのショービジネス界で歌手・名エンター・テイナーとして活躍し続けます。
その辺りの波乱万丈だけでも楽しく読めますが、本書は「評伝」なので、
彼女のバイオグラフィだけを手軽に知りたい向きには不適かも。
写真集+簡単な評伝、みたいな内容で小さくてかわいらしい本が出ないかしらん。
因みに日本人の書いた本も2冊読みましたが・・・。
歌姫あるいは闘士 ジョセフィン・ベイカー
・ エリザベス・サンダースホームとの関係などを知りたい人は読んでみてよいかも。
黒いヴィーナス ジョセフィン・ベイカー―狂瀾の1920年代、パリ
・ ジョゼフィンについて悶々と書いた高級与太話(←必ずしも悪い意味ではないです)。
ジョゼフィンについて知りたい人には不向き。
パリのモダンアートやオリエンタリズムについて思索したい人には・・・向いているかも。
いずれにせよどちらも最初に読むべき本ではありません。
あ、CDも買いたいなー、思って迷っていまして、英仏を中心に結構出ているのですが、
どれを買ってよいのか良く分からなくて今だ未購入です(芸歴長いし・・・)。
フランス語の発音は難しいと言われているのに、
フランスで歌手として成功したのだからやっぱり凄い。
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