仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

目覚める時の空のように

2010年08月25日 17時11分31秒 | Weblog
 それから、どれくらいの時間が過ぎたのだろう。
 一年、もっとか。


 「流魂」の名古屋が反乱を起した。
反乱といっても、武闘的な闘争ではなかった。ヒロムの後継者、娘を連れて、奈美江が執行部に乗り込んだ。

 執行部はそれまで、大政奉還を意図してきたが、ことごとく失敗した。名古屋での武闘派によるヒロムの捜索も、なんら糸口がつかめず、既に形だけのもになっていた。浮浪者の集団まではたどりついたが、その先が、徒労に終わった。
 仁についても市川の「ベース」、ヒデオ、アキコ、マサミの存在、農園、その活動内容まで調べ上げたが、仁を「流魂」に連れ戻し、宰として中心におくことについては、仁の力を知る執行部が、その力を知るがゆえに恐れ、首を縦に振らなかった。

 ヒトミも疲れ果てていた。執行部自体がいくつもの派閥にわかれ、それぞれが勝手に動き出していた。武闘派もツカサを代表とするチームと、それとは別のチームが構成され、さながら、派閥闘争の道具に使われることもあった。

 その状況が、名古屋の反乱を許した。

 名古屋から、既に、その支配下に置いた武闘派を引きつれ、ベンツを走らせ、青山に奈美江は向かった。ヒロムとその娘をつれて。