その村もその時期の典型といっていい過疎化が進んだ場所だった。おじいさんの隣の家も、そこの隣も空き家だった。先代がなくなって、葬式を済ますとその子供たちはほとんどその場所に顔を出すことがなくなった。おじいさんの土地も広かったが、空き家の周りの荒れた土地も広かった。境界線などなった。でも、荒れ方の違いでどこからがおじいさんの土地かということはわかった。
家も広かった。昔からの農家は市川の家も大きかったが、おじいさんの家はさらに大きかった。
「どうしたね。アキちゃん。」
おじいさんは、アキコが小さいころよく遊びに来た時のことをゆっくりと懐かしそうに話した。アキコもおじさんの家に来るのが好きだった。おじいさんのひざの上の感触やおばあさんが抱いてくれた胸のぬくもりを肌の記憶として覚えていた。だから、というのも変だが、おじいさんはアキコの話を半分ぐらい聞いて、後は、全部許してくれた。
次の日から、ヒデオと仁が家の手直しをはじめ、キヨミと新しい仁とアキコとマサミは農地の状況を調べた。
「ミサキがいてくれたらな。」
ふっと、マサミがもらした。
「なに言ってのよ。私たちだってできるわよ。」
アキコが言い聞かせるように言った。それでも、使われていない農地はひどかった。
「時間はかかりそうね。」
アキコも軽い嘆息を漏らした。
家も広かった。昔からの農家は市川の家も大きかったが、おじいさんの家はさらに大きかった。
「どうしたね。アキちゃん。」
おじいさんは、アキコが小さいころよく遊びに来た時のことをゆっくりと懐かしそうに話した。アキコもおじさんの家に来るのが好きだった。おじいさんのひざの上の感触やおばあさんが抱いてくれた胸のぬくもりを肌の記憶として覚えていた。だから、というのも変だが、おじいさんはアキコの話を半分ぐらい聞いて、後は、全部許してくれた。
次の日から、ヒデオと仁が家の手直しをはじめ、キヨミと新しい仁とアキコとマサミは農地の状況を調べた。
「ミサキがいてくれたらな。」
ふっと、マサミがもらした。
「なに言ってのよ。私たちだってできるわよ。」
アキコが言い聞かせるように言った。それでも、使われていない農地はひどかった。
「時間はかかりそうね。」
アキコも軽い嘆息を漏らした。