仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

割れ目に落ちて8

2012年01月31日 17時33分39秒 | Weblog
夜になるまで何もなかった。

ドアをノックする音で目が覚めた。

「白鳥さん。」

女が口を押さえた。
首を横に振った。

「白鳥さん。いるんでしょ。さっきまで、電気がついていたんだから。」

女は口の前に人差し指を立ててた。
押さえ込むように上にのってきた。

「白鳥さん、今年の分の利子は入っているんですけど、去年の分がもう期限なんですよ。」
「コラァ、ドアを開けろって言ってんだよ。」
ドアを蹴る音がした。
「やめろ。」
「白鳥さん、皆さん、寝てる時間ですよ。回りの方に迷惑になりますよ。ドアを開けましょうよ。」

女は、首を振り続けた。

それから、一時間くらい、ドアの外で罵声が響いた。