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原油安止まらず NY市場、一時36ドル台 新興国減速に追い打ち

2015年12月09日 | 資源・エネルギー
原油安止まらず
NY市場、一時36ドル台 新興国減速に追い打ち
2015/12/9 3:30 日経朝刊

 原油相場が再び下げ足を速め、世界経済の波乱要因になってきた。ニューヨーク市場の指標原油は8日の取引で一時1バレル36ドル台に下げ、6年10カ月ぶりの安値をつけた。産油国の市場シェア争いは激しさを増す一方で、原油価格(総合2面きょうのことば)の低迷は長引くとの見方が多い。原油安は新興国通貨や資源株にも下落圧力をかけ、減速が鮮明な新興国景気を一段と冷やしかねない。



通貨が急落
 米市場の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は史上最高値(2008年の1バレル147ドル)の4分の1になった。アジア市場の指標のドバイ原油は8日に1バレル36ドルまで下げ、7年ぶりの安値を記録した。
 下げ加速の契機は4日の石油輸出国機構(OPEC)総会。協調減産を探る国とシェア維持を優先する国との溝が埋まらず減産が見送られた。イラクのアブドルマハディ石油相は総会後「なぜOPECだけがシェアを犠牲にしなければならないのか。非加盟国もそうすべきだ」と述べた。
 シェア争いはさらに激化しそうだ。イランは欧米の経済制裁緩和後に輸出を増やす腹づもりで、中国企業と大型の長期契約を結ぶ。その中国ではロシアとサウジアラビアがつばぜり合いをし、価格競争に拍車をかける。
 先安観を強めた投資ファンドは原油先物への売りを増やし、1日時点の売り持ち高は17万枚(1枚千バレル)超と過去最高水準に達した。「荒い値動きは続き、WTIは30ドルまでの下げ余地がある」(みずほ銀行デリバティブ営業部の佐藤隆一氏)
 原油安を受け、8日の外国為替市場では産油国通貨が軒並み急落した。対米ドルでカナダドルが11年半ぶりの安値、コロンビアの通貨ペソは過去最安値を更新した。第一生命経済研究所の西浜徹・主席エコノミストは「通貨安で外貨建て債務が膨らみ、経済規模の小さいコロンビアなどで悪影響が出る」と懸念する。
 欧米の株式市場では英BPや米シェブロンなど石油株の下落が目立ち、8日の米ダウ工業株30種平均は続落して始まった。日本市場も資源関連株に売りが先行した。
 石油元売り首位のJXホールディングス株は4%安。原油安で16年3月期の石油天然ガス開発事業は8割の営業減益が避けられない。三菱商事のエネルギー事業の純利益は33%、三井物産は59%減少する。4~9月期の決算発表にあわせJXは通期のドバイ原油価格の予想を1バレル60ドルから53ドルに、三菱商事は65ドルから53ドルに見直したばかり。それでも実勢価格の急落に追い付かない。
 社債市場では元利払いが滞るなどして債務不履行(デフォルト)を迫られる資源関連企業が続出。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズによると11月27日時点の世界のデフォルト件数は101と09年(268)以来の多さになった。その4割を石油・ガス、鉱業の資源関連が占める。
消費を刺激
 深刻なのは産油国の財政だ。国際通貨基金は、世界最大の原油輸出国サウジアラビアが15年に国内総生産(GDP)比22%の財政赤字に陥ると予測。準備資産が5年内に枯渇すると警告した。
 同様に財政赤字を見込むアラブ首長国連邦は国内向けガソリン・軽油への補助金を撤廃した。サウジなど近隣の産油国も補助金カットを検討。大盤振る舞いで国民の不満の芽を摘んできた中東の君主国は、緊縮に動かざるを得なくなった。
 一方、原油安は先進国の消費を刺激する面がある。11月の米新車販売台数は同月として01年以来の高水準だった。ガソリン安が消費者の購買意欲を高めた。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「昨年9月から今夏までの資源安は世界のGDPを0.13%押し上げる」と、差し引きでプラスの効果があると試算する。
 資源の多くを輸入する日本にも恩恵がある。みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは「中堅・中小企業は、円安より資源安の方が業績改善につながる」とみる。

【医師募集】川崎市、東京都小平市

2015年12月08日 | 再生医療

医療法人社団 恵美会は、訪問医療を行っておりますが、
事業拡張につき下記条件での医師を募集しております。

お気軽に下記までお問合せ下さい。

MAトラスト(株) メディカル事業部 
 Tel: 03-5564-5122 担当 浅野

 

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常勤医師

 
募集科目 内科、呼吸器科、消化器科、神経内科、循環器科、
外科、整形外科、脳神経外科、リハビリテーション科、
在宅医療、健診・保健指導
募集人数 2名(管理者候補)
勤務場所 川崎、小平の何れか
勤務内容 木下の介護施設への訪問診療中心
勤務時間 月曜~金曜 午前9:00~午後6:00 ※シフト制1日8時間勤務 
週5日勤務
休日休暇 土曜・日曜・祝日 
夏季休暇・年末年始休暇 年次有給休暇
研究日等 週1日、
学会参加は当初年1回出張扱い(参加費用支給)(業績により応談)
給  与 医師免許取得後の経験3年以降で、年俸1500~2000万円(年齢、経験により応談)、
オンコール10,000円/日、出動20,000円/日
その他 単身者社宅応相談
家庭医・総合診療医 大歓迎
訪問診療は運転手、看護スタッフ同行、複数名診療時は薬剤師同行
   
非常勤医師
募集科目 内科、呼吸器科、消化器科、神経内科、循環器科、
外科、整形外科、脳神経外科、リハビリテーション科、
在宅医療、健診・保健指導
募集人数 複数名
勤務場所 川崎、小平の何れか
勤務内容 木下の介護施設ご入居者への訪問診療中心
勤務時間 月曜~金曜 午前9:00~午後6:00 ※1日8時間以内勤務(1日3時間からでも可能) 
週1〜5日(半日からでも可能)
休日休暇 土曜・日曜・祝日 
夏季休暇・年末年始休暇 年次有給休暇
給  与 医師免許取得後の経験3年以降で、時給1万〜1.2万(年齢、経験により応談)、
交通費別途支給
オンコール10,000円/日、出動20,000円/日
その他 単身者社宅応相談
家庭医・総合診療医・女性医師 大歓迎
訪問診療は運転手、看護スタッフ、複数名診療時は薬剤師同行

インド、新幹線採用 首脳会談で合意へ 円借款1兆円 インフラ輸出巻き返し

2015年12月08日 | 国際ビジネス
インド、新幹線採用 首脳会談で合意へ
円借款1兆円 インフラ輸出巻き返し
2015/12/8 3:30 日経朝刊

 日本とインドは12日の首脳会談で、ムンバイとアーメダバードを結ぶインド初の高速鉄道建設を巡り、日本の新幹線方式の採用で合意する。総事業費約9800億ルピー(約1兆8000億円)のうち、1兆円超の円借款を供与する方針だ。世界の高速鉄道計画で、日本はインドネシアで中国に競り負けたばかり。インドでの巨額案件の受注により巻き返しを図る。



 安倍晋三首相は11~13日にインドを訪れてモディ首相と会談し、高速鉄道建設に充てる円借款の供与を伝える。首脳会談でまとめる共同声明にインドによる新幹線方式の採用を盛り込むため、詰めの協議をしている。
 1兆円超の円借款は約1000億円を10年間程度にわたって供与する形式で調整中だ。外務省によると、2013年度までに日本が供与した円借款の累計額はインドネシアの4兆7220億円が最大で、2位がインドの4兆4564億円。新幹線の採用が決まれば、インドへの供与が最大になる可能性がある。
 海外で日本の新幹線方式が採用されているのは07年に開業した台湾のみ。日本は車両や線路、運行システムといった技術を一括でインドに提供したい考えだ。インド政府は正式に採用を決めた後、入札を実施する。東日本旅客鉄道(JR東日本)や川崎重工業、日立製作所などの日本企業連合が共同受注をめざす。
 高速鉄道の事業化については、国際協力機構(JICA)やインド鉄道省が13年12月に共同で路線に適した鉄道の使用などの調査を開始。今年7月に日本の新幹線が持つ技術を推奨する最終報告書をまとめた。
 今回の対象路線は最大都市ムンバイからグジャラート州のアーメダバードまで、インド西部の南北に延びる505キロメートルの区間。最高時速は320キロメートルで、所要時間は現在の約8時間から2時間程度への短縮を見込む。17年に着工、23年に完成予定だ。インド政府は今回の計画を皮切りに7路線の高速鉄道を計画する。
 鉄道受注を巡る各国の競争は激しさを増す。日本と中国が競っていたインドネシアの高速鉄道計画では、9月に同国政府が中国案の採用を決めた。新幹線輸出を狙ったベトナムでは約5兆円の建設費に反対論が出て、10年に国会が否決した。安倍政権はインフラ輸出を成長戦略の柱に据えており、世界で相次ぐ計画の受注に弾みをつけたい考えだ。
 首相のインド訪問に先立ち、両政府は事務レベルの折衝を続けている。日本政府は7日までに和泉洋人首相補佐官や外務省幹部らを現地に派遣し、日本の融資条件などについて話し合った。

農地に植物工場、全国で

2015年12月04日 | 農業
農地に植物工場、全国で
農水省、来春に全面解禁 企業参入に追い風
2015/12/4 15:30 日経夕刊トップ記事


 農林水産省は2016年度から植物工場を建てやすくする。現行の法令は農地に建てられることを明文化していない。建てられるかどうかの判断は自治体任せで明確な基準や指針もないため、実際には地価の高い住宅地や工業地に建てる例が多い。省令で農地に建てられることを明確に示し、全国の自治体で建設を解禁する。生産コストを引き下げ、耕作放棄地の有効活用や企業の農業参入も促しそうだ。

 植物工場は季節や天候に左右されず、安定した数量を生産できる。無農薬レタスやトマト、糖度の高いイチゴなども栽培しやすい。企業や大規模な農業法人が手掛けることが多く、2015年3月末には185施設と4年前の3倍に増えた。
 農水省は全農地の9割を占める「農用地区域」で植物工場の建設を認める。今年度内に農業振興地域整備法の省令を改める。
 同区域は地方自治体が農地を守るために指定しており、全国に474万ヘクタールある。勝手に農業以外の用途に使うことはできない。植物工場については自治体が個別に建設できるかどうかを判断している。企業などには「不許可となれば準備が無駄になる」と建設をためらう動きがあり、普及の妨げとなっていた。
 規制を緩めるのは富山県の面積に匹敵する42万ヘクタールもの耕作放棄地の活用につなげるためだ。耕作放棄地は土壌が荒れたり用水路が老朽化したりしており、耕作を再開するのは簡単ではない。植物工場ならば問題ない。
 輸出拡大につなげる狙いもある。植物工場は無農薬のレタスなど付加価値の高い農産物をつくりやすい。これらの農産物はアジアを中心に海外での人気も高い。
 課題は採算だ。植物工場を建設するには数千万~数億円の投資が必要とされ、空調や電気代もかさむため露地栽培の2倍のコストがかかるとの試算もある。
 日本施設園芸協会の調査では植物工場の約6割が赤字という。収量を増やす栽培技術の開発や販路開拓も重要になりそうだ。

車が「車」でなくなる日

2015年12月04日 | 企業研究
日本車前へ 動き出す百年の計(上)車が「車」でなくなる日
2015/12/4 3:30 日経朝刊

 日本車メーカーの技術革新競争が激しさを増している。「燃費1キロメートル改善」という従来手法の延長ではない。ハンドルがない自動運転が視野に入り、クルマ誕生から100年続いた動力源も大きな転換点を迎えている。次世代技術は人々の生活を一変させ幅広く産業構造の転換を迫る。次の100年も成長を狙う各社の取り組みを追った。



日産のコンセプト車は自動運転時にハンドルが収納され座席がやや内側に




東京モーターショーでトヨタの豊田社長はイチロー選手(左)と「変わることの大切さ」を訴えた

 「高カロリーの食事が続いたので、ランチは軽くソバなどにしてはいかがでしょう」「いいね、お薦めの店はある?」「5分ほどの場所に評判の店があります。移動しますか?」
 202x年。日産自動車がイメージする人とクルマのやりとりだ。店への移動は自動運転。ハンドルは存在しない。モニターには目的地の天候や近くにいる友人の情報が載る。人工知能(AI)が気分や健康状態を検知し食事のメニューまで提案してくれる。車内では皆で映画を楽しんだり本を読んだり。移動するリビングや仕事部屋だ。クルマがクルマでなくなり、呼び方も変わる可能性がある。
 日産は10月、自動運転の市街地走行実験を初公開した。歩行者や信号の色を12台のカメラと5台のレーダーで感知する。自動運転は米ゼネラル・モーターズ(GM)など海外勢も力を入れているが、先行技術担当の浅見孝雄専務執行役員は「我々は世界のトップ集団にいるという自負がある」と断言する。
 「総理、私がモルモットになります」。11月に首相官邸で開かれた未来投資に向けた官民対話。自動運転ベンチャーのZMP(東京・文京)の谷口恒社長は安倍晋三首相に切り出した。
 モルモット発言は安倍首相の「イノベーションに挑み続けるモルモット精神を持つ企業にチャンスを創る」という考えに呼応したもの。官民対話では自動運転の規制を緩和する方針が示された。17年には公道で、運転手操作がほぼ不要な実験が可能になる見通しだ。
 ZMPはすでにディー・エヌ・エー(DeNA)と無人タクシー会社ロボットタクシーを設立。20年の東京五輪で会場、空港などをつなぐ計画だ。ベンチャーが生まれにくかったクルマ業界だが、ZMPは米インテルやソニーなどが出資し急速に存在感を高める。「日本車」とはもはやトヨタ自動車、日産などの大手8社を指す時代ではない。
 JR渋谷駅近く。あるビルにトヨタの未来プロジェクト室がある。約10人が詰める部屋の壁に貼られているのは年表だ。
 3Dプリンターで食料を作り、脳の微弱電子から人間の考えを読み取れる時代に、トヨタが何をするかを考えるのが同室の使命。その時代でも日本車メーカーは強さを維持できているのか。「現在は米グーグルなどから一目置かれる存在かもしれないが、5年、10年後は分からない」。トヨタの豊田章男社長は語る。
 リーマン・ショック、東日本大震災、タイ洪水、超円高。危機が連続したここ数年、日本車メーカーは受け身の経営を強いられた。円安による輸出採算改善、北米での販売増などで今、最高益を記録する。次世代技術を追い求めるのは、急速なIT(情報技術)化の進展だけでなく、経営環境の激変から抜け出たことが大きい。ここでの優勝劣敗が次の100年を決める。

パソコン3社 事業統合 東芝・富士通・VAIO交渉へ 国内シェア首位浮上

2015年12月04日 | 企業研究
パソコン3社 事業統合
東芝・富士通・VAIO交渉へ 国内シェア首位浮上
2015/12/4 3:30 日経朝刊

 東芝、富士通、ソニーのパソコン部門が独立したVAIO(バイオ、長野県安曇野市)の3社はパソコン事業を統合する検討に入った。実現すれば国内シェアで3割強とNECレノボグループを抜いて首位のパソコン企業が誕生する。会計不祥事を受けて東芝が進めるリストラを機に、日本のパソコン勢が生き残りをかけて結集する再編が動き出す。



 3社は近く統合に向けた具体的な交渉に入る。年内にも基本合意し、来年4月に新体制を発足させたい考え。実現すれば国内のパソコンシェアで計3割強とNECレノボグループ(26.3%)を抜いて首位に躍り出る。VAIOが存続会社となり、各社が出資して事業を移管する案が有力。関連する人員も移し、国内外で開発から製造、販売までを一体運営する案を軸に検討するもようだ。
 東芝、富士通とVAIOの筆頭株主である投資ファンド、日本産業パートナーズ(JIP、東京・千代田)はそれぞれ3割前後を出資する意向とみられる。
 東芝は世界初のノートパソコンを世に送り出し市場をリードした老舗メーカー。現在も「ダイナブック」ブランドのノートパソコンが主力だ。富士通も個人向けの「FMV」ブランドやタブレット(多機能携帯端末)などを持つ。
 東芝は中国・杭州の製造子会社や海外販社を持ち、北米市場に強い。富士通は島根県出雲市やドイツに製造子会社があり、欧州市場が得意だ。2014年7月にソニーが切り離して発足したVAIOもブランド浸透度が高く、根強い人気がある。
 米調査会社IDCによると、14年の世界のパソコン出荷台数は3億836万台。中国レノボ・グループ、米ヒューレット・パッカード(現HP)、米デルが市場の約半分を占める。富士通と東芝、VAIOの3社のシェアは約6%で世界6位の米アップル(6.3%)に迫る。
 東芝のパソコン事業の売上高は14年度に6663億円だったが、白物家電などとともに赤字が続く。不適切会計問題が発覚した09年3月期から14年4~12月期のパソコン事業の利益水増し額は578億円にのぼり、事業の売却を含めた大幅リストラを検討していた。
 一方、富士通はパソコン事業を来年春に分社すると10月下旬に発表済み。14年度に470万台だったパソコン出荷実績は15年度は420万台に減る見通し。2社の事業とVAIOを統合することで間接費の削減や部品調達の交渉力を高める。3社は統合に向けてリストラ素案を作成中。統合効果が乏しいと判断すれば、白紙に戻る可能性もある。

農地、10年貸せば固定資産税半減 企業参入しやすく

2015年12月02日 | 農業
農地、10年貸せば固定資産税半減
企業参入しやすく
2015/12/2 3:30 日経朝刊

 環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意を受け、政府が検討してきた農地集約対策が1日固まった。農家が農地中間管理機構(農地バンク)を通じて企業などに農地を10年以上貸し出せば、農家が支払う固定資産税を一定期間半減する。貸出期間が長いほど減税期間も延ばし、農業を手がける企業などに農地を移しやすくする。



 TPPで流入する安価な外国産の農産物に対抗するうえでカギを握るのが農地集約だ。農地が広いほど生産性も高まり、外国産に近い価格で販売できる。政府は2014年度に農地を借り、やる気のある農家に貸す農地バンクを新設したが、初年度の利用は目標の2割にとどまっている。
 テコ入れ策として打ち出すのが農地の税制改正だ。まず農地バンクに貸す農地の固定資産税を半減する。所有する農地を全て貸すことを条件に、貸出期間が10~14年間の場合は3年間、15年間以上では5年間減税する。企業や農業生産法人は長期の利用希望が多いが、長期の貸し出しに慎重な農家が多かった。市町村が農業推進地域として定める「農業振興地域」の農地が対象になる。
 優遇措置を設ける一方で、耕作放棄地の固定資産税は1.8倍に引き上げる。農業委員会が耕作地として再生できると判断し、農地バンクと協議すべきだと勧告した農地が対象になる。税金の安さから耕作しない農地を持ち続ける農家が多いことを踏まえ、税制面から企業や意欲の高い農家に農地を移しやすくする。与党の議論を踏まえ、16年度の与党税制改正大綱に盛り込む。早ければ減税は16年度、増税は17年度から実施する。

JX・東燃ゼネ統合合意 17年メド発足、石油2強に 合理化効果1000億円

2015年12月02日 | 資源・エネルギー
JX・東燃ゼネ統合合意
17年メド発足、石油2強に 合理化効果1000億円
2015/12/2 3:30 日経朝刊

 石油元売りで売上高首位のJXホールディングス(HD)と3位の東燃ゼネラル石油が経営統合で大筋合意したことが1日、明らかになった。2017年をめどに統合する見通し。両社が持つ製油所の統廃合など合理化を進め、5年後に年1000億円規模の統合効果をめざす。国内需要の縮小が続く中、石油元売りはJX・東燃ゼネ、出光興産・昭和シェル石油の2強体制に収れんする。

 両社は対等の精神で統合することで大筋合意しており、週内にも発表し条件を詰める。14年度の両社の売上高を単純合算すると約14兆3000億円と合併を決めた出光と昭シェル(合計約7兆6000億円)の2倍近い巨大元売りが誕生する。



 JXHDは傘下に石油元売りのJX日鉱日石エネルギー、石油・天然ガス開発のJX日鉱日石開発、金属事業のJX日鉱日石金属の3社を持つ。統合比率などは今後詰めるが、東燃ゼネ株主にJXHD株を割り当て、その上で東燃ゼネとJXエネを統合する案を軸に検討する。ブランドは当面継続使用し、将来的には一本化も検討する。
 12年に米エクソンモービルから株を買い取って独立した東燃ゼネも原油安で経営環境は厳しい。JXとの統合をテコに経営基盤を強化し、勝ち残りをめざす。
 国内ガソリン販売数量シェアはJXエネが約33%、東燃ゼネが約20%で統合後は50%を超える。出光・昭シェルの約32%を引き離す。ガソリンスタンドの数もJXの「エネオス」、東燃ゼネの「エッソ」「モービル」「ゼネラル」の合計約1万4000カ所に達する。


 国内シェアが5割を超すだけに公正取引委員会との協議を経た上で、17年中の統合をめざす。
 統合後は地域で重複する製油所を統廃合して固定費を削減。生まれた収益を元手に海外展開を加速して、収益基盤を強化する狙い。
 製油所はJXエネと東燃ゼネを合わせて全国に11カ所。原油をガソリンや軽油に精製する能力は日量で計約200万バレルと国内の過半を占めるが、少子化などを背景に過剰感は強い。両社がそれぞれ製油所を持つ神奈川県や大阪府で設備の統廃合を進め、合理化効果を引き出す。スタンドにガソリンを供給する油槽所の重複解消や、給油所の収益改善にも取り組む。
 海外ではJXが原油や天然ガス、銅など資源開発を手掛け、東南アジアでは製油所や給油所運営も検討中。東燃ゼネもオーストラリアで石油製品の合弁事業を計画する。国内の収益基盤を固めて海外展開を急ぐ。
 かつて10社以上あった石油元売りは10年のJXHD誕生で大手5社に集約されたが、経営環境はなお厳しい。経済産業省も「エネルギー供給構造高度化法」をテコに業界の原油処理能力削減を求め、各社はさらなる再編を迫られていた。
 7月に出光と昭シェルが経営統合の協議入りで合意した後、JXHDが東燃ゼネに統合を持ちかけ、交渉を進めてきた。

人民元、第3の国際通貨に IMF採用決定、円上回る比重

2015年12月01日 | 国際政治
人民元、第3の国際通貨に
IMF採用決定、円上回る比重
2015/12/1 15:30 日経夕刊

 【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は30日の理事会で、通貨危機などに備えてIMFが加盟国に配るSDR(特別引き出し権)に中国・人民元を採用することを正式に決めた。世界的に決済や投資に使われる国際通貨のお墨付きを与えたかたちで、実際の組み入れは2016年10月。元はドルや円などに次ぐ5番目の通貨としてSDRに加わるが、構成比でみると巨大な経済規模を映して円を上回る3位に一気に浮上した。




 IMFがSDRの通貨構成を見直すのは現在の仕組みが発足してから約35年ぶり。中国が世界第2位の経済大国に台頭したことで、元も主要通貨にふさわしい貿易量や取引の広がりがあると判断した。日米欧の主要先進国が主導してきた戦後の国際通貨体制は、大きな歴史的節目を迎える。
 SDRに入っていないスイスフランやカナダドルでも現実には準国際通貨としての機能を持つ。SDRになるとIMFからいつでも換金可能な「自由利用可能通貨」とみなされる点で信用度が高まる利点がある。
 5大主要通貨に位置づけられることで貿易・投資で中長期的には元の利用に弾みがつきそうだ。ただ、中国の金融資本市場の改革は道半ばで、SDR入りに伴い、通貨取引の自由化や市場の透明性向上など厳しい課題をつきつけられる。
 IMFのラガルド専務理事は理事会後の記者会見で「中国当局は数年にわたって通貨・金融制度を改革してきた」と一定の評価を示した。
 一般の投資家らは実際に市場でSDRを購入できない。IMFは一定の比率で加盟国にSDRを配分し、もしある国が資本収支危機などに陥ったら、手持ちのSDRを米国や日本などに持ち込んで現金に換えてもらい、外貨繰りをしのぐ。
 ドル不足などに見舞われた際にこうして主要通貨国から現金を「引き出せる」仕組みから、加盟国の間で有事に備えて取り決めておく一種の「通貨の請求権」の性格をもつ。現行はドル、ユーロ、円、英ポンドの主要4通貨で、ここに来年10月から元が入る。
 SDRには国際準備通貨としての象徴的な意味合いも濃く、採用されてもただちに元の取引市場が拡大したり、使い勝手がよくなるわけではない。それでもSDRに入ることで外国政府の外貨準備への元の組み入れが増え、市場シェアが伸びる可能性がある。加盟国はSDRとの交換に備え、構成通貨を積み増す傾向があるためだ。
 通貨ユーロの発足で構成を見直した01年を除けば、新しい通貨の採用は1981年1月からの現制度で初めてだ。

 採用審査をクリアするうえで「貿易量」と「通貨取引の自由度」の2条件を満たす必要がある。課題だった「自由度」を巡っては、中国が欧州やアジアで元建て商品に投資できるよう自由化を徐々に進めるなどした取り組みを評価した。
 SDRの価値はドルや円など構成通貨を組み合わせて決める「通貨バスケット方式」で計算する。30日には来年10月以降の新たなバスケットの構成比も公表し、ドル(41.73%)、ユーロ(30.93%)、人民元(10.92%)、円(8.33%)、ポンド(8.09%)とした。人民元の構成比は3位に入った。