2002年4月7日(日)
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クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル「BAYOU COUNTRY」(FANTASY FCD -4513-2)
(1)BORN ON THE BAYOU
(2)BOOTLEG
(3)GRAVEYARD TRAIN
(4)GOOD GOLLY MISS MOLLY
(5)PENTHOUSE PAUPER
(6)PROUD MARY
(7)KEEP ON CHOOGLIN'
さて、新年度に入ったので、このコーナーもこれまでと少し違ったスタイルでやってみたい。
従来は週に1回更新、1~2枚を取上げていたが、今後は週3回(月・水・金)更新を目指して行きたいと思う。
さて第一弾はこれ。CCRのセカンド・アルバム、69年1月リリース。
最近の筆者は、アルバムを既にお皿(LP)で持っていてもCDで買い直すというパターンが多いのだが、これもまたその手の1枚。
個人的には5枚目の「COSMO'S FACTORY」に次いで好きなアルバムでもある。
当時彼らは昇り調子で、出す曲出す曲すべて両面ヒット、アルバムも年に2枚(!)くらいのペースで平気でリリースしていた。
それこそ今年の阪神タイガースを思わせる(!?)「破竹の勢い」が感じられる1枚なんである。
さて、彼らの代表的ヒットシングル(6)とそのB面(1)をフィーチャーしたこのアルバム、当時ポップスのLPは普通10~12曲くらい収められているのに7曲と少なく、購入した当初「なんか割高だな~」と子供心(当時筆者は中1)に感じた記憶がある。
もちろん(6)はヒット曲の王道通り、3分少々なのだが、8分前後と当時としては異様なまでの長尺な2曲、(3)と(7)があるために、7曲というごく少ない曲数になっているのだ。
ポップスのヒット曲の長さは平均3分前後、という時代に、これはかなり挑戦的な試みだったといえそうだ。
曲調も、ヒット曲の(6)の路線が中心かと思って買うと、全然ハズレ。
(6)のような、健康的で明るいカントリー・タッチの曲は他にほとんどなく、基本的にはドス黒いブルース・R&B路線なのだ。
(1)はタイトル通り、南部サウンドへの志向をはっきりと打ち出した一曲。
重たく、うねりのあるビート、アンプでトレモロのかかったギター・サウンドが印象的。
そして、なんといってもジョン・フォガティの迫力あるシャウトに圧倒される。この人、ホントに白人?と誰もが驚愕したあの「濃い」歌声である。まさにサザン・ソウルな声。
でも彼ら、実は本拠地L.A.を一歩も出たことがなしにこの曲を作ったというから、可笑しい。
(2)は(1)よりは少し軽め、ロカビリー調のギター・サウンド。でもヴォーカルはロカビリーというよりは、見事にブラック・ミュージックのそれ。
(3)はその無気味なタイトルから察することが出来るように、とにかくドス黒い、100%ブルーズィな一曲。
これを聴いた筆者は、なんか子供が聴いてはいけないものを聴いてしまった(笑)、そんな印象を受けた。
かなり重心の低いビート、気だるさをたたえたギター、そして極めつけは地獄の底から響いてくるかのような、ハープの音色。
ブルース・ハープなるものを、このアルバムを初めてじっくり聴いたという記憶がある。
"厨房"にはキツ過ぎる刺激。そのせいで、今の筆者があるのかもしれん(笑)。
(4)は一転、アップテンポのロックン・ロール。おなじみリトル・リチャードの自作ヒット。
このヴォーカルもスゴい「エグさ」だ。ある意味、黒人以上に黒人的とゆーか。
エルヴィス的な白人向けにリファインしたロックン・ロールではなく、原酒そのもの、という感じのR&B。
(5)はヘヴィーで粘りのあるリズムが印象的な、ブルース・ナンバー。
これもまた、名唱&名演。ことにピンと張りつめたような、高音のギター・ソロがいい。
一般に、ジョン・フォガティの才能はヴォーカリスト、コンポーザーとしてのそればかり評価されているが、ギタリストとしても、もっとクローズアップされていいのではないかと筆者は思っている。
エリック・クラプトン的な「巧さ」とはまた違った、アメリカン・ミュージックのエッセンスを熟知した「旨さ」のギターという意味で、彼もなかなかの名手である。
ぜひ、アルバムならではの熱演、聴いてみてほしい。
(6)は説明不要の大ヒット。ちなみに、タイトルのプラウド・メアリーとは人名にあらず、ミシシッピ川を上り下りする蒸気船の名前とのこと。
なんとも、のどかな発想の一曲。ジョン自身は意外にラヴ・ソング的なものは自分で書いておらず、こういう「非色恋」的な世界を描く方がお得意のようだ。
(7)は、(3)と双璧を成す、壮絶なロング・ナンバー。
シンプルなビートに乗せて、ワン・コードで延々と展開される、これぞ「ブルーズ」という世界。ジョンお得意のハープも堪能できる。
ライヴでも必ず、ハイライトとして長時間演奏された名曲だ。
(6)のようにメロディアスではないし、決してとっつきやすいとはいえないが、これもまたCCRの魅力の一端である濃厚な世界。
"厨房"がいきなり聴くのはきついかも知れないが、それでも何回か聴けば聴くほど、「味」は出てくる。
CCRのアルバムは、他にも名盤ぞろいではあるが、その独特の「臭み」をトータルにまとめあげたということでは、この「BAYOU COUNTRY」は白眉なのではないかと、筆者的には思っている。
ぜひ一日に10回くらいリピートして、その、「くさやの干物」的魅力にハマっていただきたい。
〈独断評価〉★★★★☆(5段階評価。☆はおまけ)