2004年10月23日(土)
#246 NOBUYUKI, PONTA UNIT(清水信之&村上秀一)「THE RHYTHM BOXER」(MIDI MIS-503)
「NOBUYUKI, PONTA UNIT」こと清水信之と村上秀一による12インチ・シングル、85年リリース。
日本のポップスの中にもいくつかの流れがあるが、YMOに代表されるYENレーベルを源とした、インストゥルメンタル主体の音楽、これも無視しがたい大きな勢力をなしている。
ふだんはスタジオ・ミュージシャンとしてシンガー・ソングライターやアイドル歌謡なぞのバッキングをする一方、独創的な音楽をそういったインディーズ風味のレーベルから出す。日本特有の現象でしたな。
RVC傘下のMIDIレーベルもその流れを汲むもので、YENが85年に終焉を迎えた後は、その手の音楽をもっぱら手がけてきている。
この「信之=ポンタ・ユニット」もそのひとつ。
売れっ子スタジオ・ミュージシャンの東西横綱的なふたり(彼らの関わったレコーディングの延べ曲数は万単位にもなるだろう)が送り出す音楽、これが刺激的でないわけがない。
A1のタイトル・チューンはふたりに加え、当時人気のシンガー・亀井登志夫がヴォーカル、YMOでもおなじみ、詩人兼画家のクリス・モズデルがラップで参加。
亀井はデヴィッド・ボウイばりの無機質な歌声を聴かせてくれる。
アルバムの帯に「ポップ・ゲリラ」と謳っているが、大方の予想に反したポップではじけた音が面白い。どことなく、ウルトラヴォックスっぽい。
ポンタのドラムを除くすべての楽器を清水信之がやっているのも聴きどころ。このひとは、ホント、オールラウンド・プレイヤーだね。
B1「DIGI-VOO」には、今をときめく佐橋佳幸がギターで、ミカンちゃんこと新居昭乃とペッカーがヴォーカルで参加。
最初のうちには、わりと普通なアメリカン・ロック風の曲かいな~と思っていたら、途中モダンジャズっぽい展開になったりして、そのへんは、やはりこのふたりならではですね。
B2「THE RHYTHM BOXER II」は、A1の別アレンジによるテイク。アレンジのせいで、全く違う曲に聴こえる。
アンビエント風味の、ゆったりとした雰囲気。でも、リズムはバッチリ。
特に後半部のポンタの躍動感に溢れたドラム・ソロ、これは聴かせます。まさに「リズム・ボクサー」のタイトルにふさわしいプレイ。
いわゆる「王道」の歌ものばかり聴いていないで、たまには、こういうふうにインスト系に「寄り道」をするのもいいもんだ。耳の、そして頭のリフレッシュになりまっせ。
<独断評価>★★★