NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#166 A・C・リード「These Blues Is Killing Me」(I'm In The Wrong Business!/Alligator)

2023-09-14 05:00:00 | Weblog
2011年3月26日(土)

#166 A・C・リード「These Blues Is Killing Me」(I'm In The Wrong Business!/Alligator)





テナーサックス奏者、A・C・リードの1987年のセカンド・ソロアルバムより。彼自身の作品。

A・C・リードは26年、ミズーリ州ワーデルの生まれ。第二次大戦中にシカゴへ移住して、プロとなる。アール・フッカーやウィリー・メイボンなどのバックを経て、バディ・ガイやアルバート・コリンズ、マジック・サムなどのバンド・メンバーとして世間に知られるようになるが、その一方で、60年代からはUSA、エイジなどのレーベルで、個人名義のシングルも地道にリリースしていた。つまり、シンガーとしても活動していたのだ。

82年、ようやくファースト・アルバム「Take These Blues and Shove」を発表。リード、56才のことであった。

以後、4枚のアルバムを出して、2004年78才にて亡くなっている。

楽器をこなすブルースシンガーといえば、フツーはギタリスト、ピアニスト、ハーピストといったあたりだが、まれに管楽器奏者もいて、A・C・リードはその代表格といえよう。

彼のボーカル・スタイルは同姓のブルースマン、ジミー・リードの影響を強く受けていて、ホノボノ系といいますか、ちょっとトボけた味わいが非常に似ている。

きょう聴いていただく一曲は、ゲスト・ギタリストとして、スティーヴィ・レイ・ヴォーンが参加している、「ロケット88」に通じる雰囲気をもつロックン・ロール・チューン。ワンコードでグイグイと押し通す、ドライブ感満点のナンバーだ。

聴きどころとしては、やはりレイ・ヴォーンのシャープでソリッドなギター・ソロではあるが、リード本人のサックス・ソロも素晴らしい。ひたすら図太く、タフで、これぞブルース・サックス!と唸りたくなる。

彼の歌そのものは、飄々としているが、それもまたブルースなんだよなぁ。シブくリキむだけが、ブルースじゃあない。ジミー・リードもそうだが、肩の力を抜いたブルース、これも意外とイケるんである。

日頃「歌わないブルースマンはブルースマンに非ず」とうそぶいている筆者なので、A・C・リードのように積極的に歌おうという姿勢の感じられる楽器奏者は大いに評価したい。たとえ、技術的にはあまり高くなくても、である。

なんたって、ブルースは個性で勝負する音楽だけんね。A・C・リードのユニークな歌心を、感じとってほしい。