NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#176 リッケ・リー「Get Some」(Wounded Rhymes/Atlantic)

2023-09-24 05:06:00 | Weblog
2011年6月11日(土)

#176 リッケ・リー「Get Some」(Wounded Rhymes/Atlantic)





スウェーデンの女性シンガー、リッケ・リーの最新曲。リーとビョルン・イットリングの共作。

リッケ・リーは86年ストックホルム生まれ。今年25才になる。ミュージシャンの父、画家の母という芸術家一家に生まれ、若くして自己表現に目覚めた。2000年代の初頭よりネット上に自作の曲を発表し、次第に注目を集めるようになる。

2007年には最初のシングル「Little Bit」でインディーズ・デビュー、そしてテレビにも出演。これによりメジャー・ブレイクのきっかけをつかむ。

翌08年には米アトランティックと契約、ファースト・アルバム「Youth Novels」をリリース。

これが各国で話題を呼び、そのメロディのセンスや、独特の歌声がおもに玄人筋で高い評価を得るようになる。

3年ぶりのセカンド・アルバムをリリースするにあたって、きょうの「Get Some」のPVを制作。これがyoutubeなどで200万回近く再生されている。非常にインパクトのある映像と共に、そのユニークなサウンドが日本でも大いに注目されているのだ。

スウェーデン・ポップスといえば、当然その頂点にたつのはABBA。でも彼ら以外にもさまざまなアーティストが世界的な活躍をしている。「ファイナル・カウントダウン」でおなじみのロック・バンド、ヨーロッパ。ロクセット、エース・オブ・ベース、メイヤ、カーディガンズ、リッケ・リーのプロデューサー、イットリングも参加しているピーター、ビョルン&ジョンといったアーティストたちがそうだが、彼らに共通しているのは、基本英語で歌い、アメリカン・ポップスのビートを強く意識しながらも、ヨーロッパならではのメロディアスな要素もしっかりと折り込んでいること、独自のヘタウマ系ボーカル・スタイルで個性をうち出している者がけっこう多いことかな。

リッケ・リーのきょうの一曲など聴くに、そのあまりにアメリカンな指向には驚く。完全にニューオーリンズですよ、このビートは。

でもボーカルは決してアメリカ風でない。それが面白いところだ。ちょっと舌ったらずで甘い、ウィスパー・ボイス。ジャングル・ビート×フレンチ・ロリータ・ポップスの遭遇ってとこか。これは新鮮だ。

25才にしては、見た目は小柄細身でどことなく幼女っぽく、未成熟な感じ。でもそれでいて、みょうにエロい。それがリッケ・リーのアンヴィバレントな魅力だといえる。

ブードゥー教の儀式をイメージしたかのようなおどろおどろしい演出、扇情的な衣装、むき出しの太もも、きわどい歌詞など、マニア心をくすぐる(笑)PVにも、ぜひ注目していただきたい。

聖女のようで妖女のようでもある。一筋縄ではいかない新星、リッケ・リーの問題作。チェックしてみてちょ。