NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#215 ニール・セダカ「Bad Blood」(The Hungry Years/Varese Sarabande)

2023-11-02 05:18:00 | Weblog
2012年5月6日(日)

#215 ニール・セダカ「Bad Blood」(The Hungry Years/Varese Sarabande)





ニール・セダカ、1975年の全米ナンバーワン・ヒット。セダカ、フィル・コーディ、ジェリー・リーバー、マイク・ストーラーの共作。セダカとグレアム・グールドマンによるプロデュース。

ニール・セダカといえば説明するまでもなく、50年代後半から60年代前半にかけて、数々のヒットを出し、ポール・アンカとともにトップ・アイドル的な存在だったシンガー。

しかし彼にも不遇な10年間があった。ヒットも出ず、ドサ回り、後輩人気シンガーの前座をやらざるをえない、しんどい日々が。きょうの一曲が収められたアルバム・タイトルが、まさにそれ。

彼の没落には、それなりの理由があった。ビートルズの人気だ。

若くイケメン揃いの英国軍団の侵攻に、大国アメリカもあえなく陥落してしまったのだ。

トップ・シンガーの座を明け渡し落ち目の三度笠、このままではなるまいぞと思っていた10年目、セダカにようやく起死回生のヒットが出た。

74年、当時人気絶頂の英国人シンガー、エルトン・ジョンのロケット・レコードに移籍、出したシングル「Laughter in the Rain(邦題:雨に微笑みを)」が大ヒット、全米ナンバーワンに昇りつめたのだ。

以後、60年代のヒット「悲しき慕情(Breaking Up Is Hard to Do)」のバラード・アレンジによる再録音、そしてこの「バッド・ブラッド」の3連続ナンバーワンヒット達成という、見事なハット・トリックをキメたのだった。

さらにおまけとして、新人デュオ、キャプテン&テニールにも曲を提供、「愛ある限り」「ロンリー・ナイト」が大ヒットした。

「ニール・セダカ、王者として完全復活!」であった。

復活の鍵は、やはり、彼が単なるシンガーでなく、佳い曲を書けるソングライターでもあったことに間違いない。

見た目はすっかりオジさんになってしまったが、その紡ぎ出すメロディは、いまだに多くのリスナーを魅了するものがあった。

デビュー時より、自作自演のスタイルを貫いてきたセダカならではの、快心の逆転打、それがこれらのヒット群なのだ。

さて、きょうの一曲はセダカにしては珍しい、メロディよりもビートに重点をおいたナンバー。

この曲を聴いた当時、17~18才の筆者はこのビートをなんとよぶのか、知らなかった。でも、とてもノリのいいリズムなので、いたく気に入ったものだ。

その数年後、筆者はそれを「セカンドライン」とよぶのだということを、リトル・フィートの存在とともに知ることになる。

バックで、セダカに負けじと目立っているボーカルは、エルトン・ジョン。ドラムはエルトン・バンドのナイジェル・オルスン。そしてプロデューサーは10CCのグレアム・グールドマン。いずれも英国人だ。一方、ソングライティングに参加しているのは、超がつくヒットメーカーのリーバー&ストーラー。

英米トップ・ミュージシャンによるネオ・ニューオーリンズ・サウンド、それがこの「バッド・ブラッド」なのだ。

クラビネットのイントロにはじまる、ファンキーなことこのうえないサウンドに、身も心も委ねてほしい。

セダカの声の明るさ、軽さに、永遠の青春を感じる一曲であります。

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