NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#229 ハウリン・ウルフ「Down In The Bottom」(Live In Cambridge, MA./New Rose)

2023-11-16 05:45:00 | Weblog
2012年8月12日(日)

#229 ハウリン・ウルフ「Down In The Bottom」(Live In Cambridge, MA./New Rose)





ハウリン・ウルフ、1966年のライブ盤より。マサチューセッツ州ケンブリッジでの録音。

ウルフのライブ・アルバムとしては、以前「一日一枚」で「Live And Cookin' At Alice's Revisited」を取り上げたことがあるが(2001.2.24)、チェスから出ている公式ライブ盤はその一枚のはずだ。だが、実はもう一枚、市中で堂々と売られているライブ盤があるのだ。

それがこの「Live In Cambridge, MA.」。発売元はフランスのニュー・ローズというレーベル。

アメリカでの録音なのにフランスからリリースとは、まったくもって???なのだが、まあ、事実上ブートレッグ(海賊盤)だからなのだろう。

だから、音質のほうははっきりいってひどい(笑)。筆者のようなウルフマニアでもない限り、購入の必要はないかな。

でも聴いてみるとなかなか興味深いものがある。演奏メンバーは、ウルフ&サムリンに加えて、アリスでのライブにも登場していたエディ・ショウ(t.sax)のほか、ベースは不明、ドラムスは当時バターフィールド・ブルース・バンドにも参加していた、サム・レイ。

アリスでのライブと聴きくらべてみると、一番際立っている差異は、ドラム・プレイだと思う。「静のアリス」に対しての「動のケンブリッジ」。そんな明白な違いがある。

ちなみにアリス盤におけるドラムスは、フレッド・ビロウ。彼は典型的なブルース・ドラマーのひとりといえるだろうが、細かいテクニックには凝るが、さほどパワフルとはいえないタイプ。一方、サム・レイは白人中心のバターフィールド・ブルース・バンドに、同じく黒人のジェローム・アーノルド(b)とともに参加していただけに、ロックなプレイもOKで、非常にパワフルなタイプのドラマーだった。

同じ黒人ドラマーといっても、だいぶんプレイ・スタイルが違うってことだ。これが、各時期のウルフ・バンドの音を大きく左右している。

きょうの一曲「Down In The Bottom」もその好例で、とにかく、サム・レイのプレイが熱いのだ。

まずは聴いていただこう。音質はきわめて悪いが、それでも彼のハッスルぶりが十分伝わってくると思う。

曲調は聴いてすぐおわかりいただけると思うが、ウルフ版「ローリン&タンブリン」。ハイテンポで切れ味鋭いサム・レイのビートに煽られてか、ウルフのボーカルやハープ、サムリンのギター、ショウのサックスもヒートアップ気味なのがよくわかる。

アリス盤における同趣向の曲「When I Laid Down I Was Troubled」と比較すると、一目ならぬ一聴瞭然だ。

66年当時、これだけ熱い演奏をしていたバンドが、どれだけあったか?といいたくなるくらい。そのテンションの高さは、同時代のクリームのライブにも負けていない。

結論。バンド・サウンドの決め手は、ドラムス。その演奏いかんで、バンド全体のテンションさえ、まったく変わる。

サム・レイのハイテンション・ドラミング、ぜひ体験してみて。



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